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【物語の現場037】本当は登場させたかった恵林寺庭園(写真)

「狩野岑信」の第四十五章で、吉之助と竜之進が向かった崖の上の恵光院。その前に登場した恵春院ともども恵林寺の塔頭という設定。どちらも架空の寺院です。

 当初、恵林寺と有名な庭園を物語に登場させたかったのですが、実際に行ってみると、やはり恵林寺そのものが大き過ぎ。江戸時代には今より大きかったはず(武田時代はさらに大きく、上の放光寺まで一体だったとのこと)。
 従って、ここを占拠したり家探しするとなれば、数名の潜入部隊では無理。また、惨劇の舞台とするにも架空の塔頭とした方がいいかな、と。

 さて、せっかくなのでお庭紹介。

 恵林寺の庭園は、夢窓疎石の代表作のひとつに数えられる名庭。正直、この庭を見に行ったと言っても過言ではない。

 豊かな自然を活かした池泉回遊式。緑が目に優しく、とても静かで、水の流れる音と鳥のさえずりだけが聞こえてくる。武田信玄や麾下の名将たちもこの雰囲気を楽しんだかも。吉之助も山役人時代、志乃を連れて訪れていたはずです(山梨県甲州市塩山小屋敷、2022.4.21撮影)。

 ちなみに、写真左上の小窓は、雰囲気のある三門。左の柱に例の「滅却心頭火自涼」の文字が。右側は「安禅不必須山水(安禅必ずしも山水をもちいず)」

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