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田山花袋『蒲団・重右衛門の最後』(新潮文庫)

近代日本自然主義文学の大家である田山花袋の、名作「蒲団」ともう一つ、「重右衛門の最後」が収録された文庫を読んだ。

「蒲団」は、高校や大学の授業で学んだように、複雑な心情やその葛藤、包み隠さない表現の仕方で描かれていたのだが、
自分の経験が浅いせいか、時代がまったく変わってしまったせいか、あまり心に残る作品であると言いがたいと感じた。

どちらかと言えば「重右衛門の最後」の方が、結末が凄まじく、いろいろ考えさせられるところの多い作品だと思う。

人生はどうなるか最後までわからない。

自然の有り様や、村という閉鎖的共同体のなかで暮す人々を眺め暮す主人公は、傍観者たり得ようとする現代の典型的な人間に当てはまるのではないかと感じた。

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