電子契約書って有効なの?
こんにちは、弁護士法人えそらの弁護士の鹿野です。
昨日めっちゃ雨でしたね☔
でも、そのあときれいな虹🌈が見れましたね!
職場からも見れましたが、実家の母から送られてきたお写真がお気に入りです^^
じゃん!!
微妙に2本かかっているような…♡素敵でしょ♪
自然っていいですよね🌵いつかは自然の中で仕事する生活もいいな〜なんて密かな夢を抱いております😀しかも最近はテレワークが進んでそれが可能になりつつあるじゃないですか✨
そもそも少し前から、ペーパーレス時代ということで電子化がすすんでいましたが、コロナ禍となってテレワークがより一層浸透して、電子化に一層力を注いでいる会社さんも増えてきたみたいですね。
私の事務所でも基本的にペーパーレスで仕事しています(私は紙の手帳派ですがw)
そんな中で電子契約書を導入しようという会社の方も多いようです。私のまわりでも電子契約書でやりとりさせていただいていいですか?なんてお声もチラホラ…😋
そこで、今日のテーマです。電子契約書って法的に有効なの?
「…ん??法的有効に有効ってどういうこと?」「無効な可能性があるの?」ってなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、
・契約ってどうやって成立するの?
・契約書ってなんの意味があるの?
・電子契約書はどう?
という流れでいきたいと思います😀
契約ってどうやって成立するの?
答えから先に言います!
基本的に、契約は「いい?」「いいよ」という会話で成立します(口頭合意といいます)。
もう少し細かく言うと、契約内容についてお互いに合意がとれた時点で成立するのです。
契約書は契約の成立に必須条件ではありません。
ちょっと予備知識としては保証契約という契約は書面による合意がないとダメですよ〜って法律に書かれているので、契約書が必須条件になってくるんですけど、その他基本的な契約は全部契約書はいらないんです。
だって、考えてみてください。
スーパーでネギ買うのだって、立派な売買契約です。
いちいち契約書なんて作らないでしょ?
レシートあるじゃん。って声も聞こえそうだから、もっとローカルな八百屋さんとか、あるいはアメ横とか!!
私「おじちゃん、このチョコも2袋買うからお願い!アーモンド2袋とあわせて4袋で1000円にして!!」
おじさん「しょーがないなー、いいよ。ほい、1000円ね」
なんて会話でお金払って終了…でも、これも立派な売買契約なんです。ペーパーレス!w
要するに基本的には契約の成立に契約書はいらん、ということです。
契約当事者間(アメ横のおじさんと私)がチョコ2袋とアーモンド2袋を1000円で売り買いするという合意がとれた時点で契約は成立します。
契約書ってなんの意味があるの?
となると、みんなが、とりわけ社会人が一生懸命作ったり、内容を確認したりする契約書は何の意味があるのでしょうか。
またまた結論から言います!
ただの確認書です。
「私たち、この内容で合意したよね」、とお互いの意思を確認するための書類です。
口頭で確認しあっただけだと、後日「言った」「言わない」でもめます。
お母さんが子供に「洗濯物たたんでおいて〜」といい、子供がテレビを見ながら「は〜い」と適当に返事をする…本当はこの時点でお母さんと子供との間には、洗濯物をたたむという契約が成立しています。が、1時間後
母「洗濯物たたんでおいてって言ったじゃないーーーー👹👹👹」
子「聞いてない!急にどなるな😠😠😠」
とこんな感じです。
お母さんと子供ならそれでもいいけど、他人同士、とりわけ社会の場面でこれは許されないですよね。
A社社長「おたくの会社にネジ1万本を1ヶ月後納期でお願いしたい。支払いは完成後ネジと引き換えにさせてもらえないか」
B社社長「光栄です!ありがとうございます!!」
〜1ヶ月後〜
A社社長「ネジはまだかね?」
B社社長「え?支払われてから取りかかるって約束で入金を待っていましたが、入金されなかったのでキャンセルかと」
A社社長「んなわけないだろ!これはとっても大切な※■△★@☆▼…どうしてくれるんだ!!!」
こんなことにならないように契約書を作成します。
契約書を作成し、その内容を確認することで、お互いに意思疎通の齟齬がないかどうかを事前にチェックすることができます。
もし、そこで意思疎通に齟齬があれば、
B社社長「あ、全額後払いなんですね…勘違いしていました。それだとうちも材料費がまかなえないので一部前払いをしていただかないと厳しいな。」
A社社長「そうだったんですね、それなら、その内容でうちも対応します。先に○○円お支払いするっていうのはいかがでしょうか」
B社社長「ありがとうございます!!助かります」
といった具合に調整することができます。
また、しばらくたって、契約の内容を見返すこともできますよね。
相手が約束を守っていないのでは!?と思ったときに、契約書を確認して「あ、自分の勘違いだった」とかあるいは、「あいつーー約束やぶってやがる」となるわけです。
裁判沙汰になるケースでは契約書の存在はとっても大切です。どんな内容で約束をしたか、口約束だけだと誰も真実を知らないからです。
あの日あの時あの場所で、僕たちはこういう約束をしたんだ…
それを教えてくれるのが契約書ですw
電子契約書はどう?
電子契約書もそういう意味では普通の契約書とかわらなそうじゃないですか?
でも例えば、こういう場合はどうでしょう
【文書の真正について】
太郎「次郎くんさ〜、いつお金返してくれるの?」
次郎「え?金?なんのこと?」
太郎「勘弁してよ、1ヶ月前に10万貸したじゃん。契約書だって作ったじゃん。ほら、ここに『令和3年1月10日、次郎は太郎から金10万円を借りたことを確認する。次郎は太郎に対し、このお金を令和3年1月24日に全額一括で返済することを約束する。』って印刷してあるし、そこに『1月10日○○次郎 印』って自分で書いてハンコ押してるじゃん」
次郎「何その紙、偽物だ〜。それか俺をだまして書かせただろ」
太郎と次郎の契約は金銭消費貸借契約と言うのですが、要するに太郎の次郎に対する貸したお金を返せという請求ですね。
せっかく確認書である契約書をつくったのに、その確認書が偽物と言われてしまうと、太郎もタジタジです。だって、それがホンモノだって示す証拠が太郎にはないからです。
そもそも民事訴訟法には「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない」と書かれています(民事訴訟法228条1項)。
要するに、民事訴訟法が「その契約書がホンモノだって証明しなさい」、と太郎に言っているわけです。
太郎からすれば、
勘弁してよ。ホンモノって次郎が(だまされたとかじゃなく)心からその書類を作ってるかどうかでしょ、そんなの次郎じゃないんだから無理よ…
って感じですよね。
そこで民事訴訟法は助け船を出しています。「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」(民事訴訟法228条4項)
要するに、契約書に本人直筆のサインをしているか、印鑑をおしていれば、その人本人がサインしている、あるいはその人本人が押印しているってことだから(ハンコは本人しかもっていないだろうっていう前提)、その人が心からその書類と向き合っているんだろうから、そんな書類なら、その書面は「真正に成立したもの」といっていいよと言ってくれているのです。
つまり、今回太郎が持っている契約書は『1月10日○○次郎 印』って次郎自身がで書いて次郎自身がハンコを押してるので、民事訴訟法228条4項によって「真正に成立したもの」といえ
次郎の反論(何その紙、偽物だ〜。それか俺をだまして書かせただろ)は、よほど次郎がだまされた証明、あるいは次郎が書いていないという証明ができない限り、とおらない反論ということになります。
さて電子契約書の場合は?
自分の筆跡で書くこともできないし、ハンコも押せない…
民事訴訟法228条4項に助けてもらえないのでしょうか😱😱😱
これが電子契約書の有効性の問題として取り上げられているものなんです。
電子契約書の有効性は?
結論からいえば、まだ課題がある状態です。。
じつは民事訴訟法228条4項みたいな規定が電子署名法という法律の3条に規定されていて、そこには、「本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と書かれているんです。
助け船あったーーーー
んじゃ、書面と何が違うの?って思うじゃないですか。
実は、電子契約は
・当事者型
・立会人型
の2種類があるんです。
この当事者型というのは、当事者双方が認証機関で電子署名について電子認証を受けている状態でやる電子契約です。
要するに印鑑登録済みの実印で印鑑を押している状態です。
他方、立会人型というのは、サービス提供会社が当事者間の契約に立ち会って契約を成立する様子を見届ける役割を果たすものです。
「ちゃんと二人とも契約の内容確認してサインしてたよ」っていう証人がいる状態ですね。
当事者型の場合は、しっかり認証を受けているので、「本人による電子署名が行われている」と考えられているので、電子署名法によって守られるわけです。
が、立会人型の場合には、ちょっと危険・・・
ほんとに見守ってるの?っていうね。
実際は、当事者がそのサービス提供会社の電子契約書を使用する時にメールアドレスとかをそのサービス提供会社に登録するじゃないですか。そこで本人確認とってます、だからうちのアカウント使っている以上、立ち会っているも同然です、というスタンスなんです。
どこまで本人確認とれているのだろうという問題と
そうだとして、契約で使用したのは登録した本人?
という問題が残ってしまうんです。
おわりに
電子契約書って圧倒的に便利じゃないですか。
遠隔で契約もできるし、リモートワークの進歩には必須だと思うんです。
だからこそ、上記の課題
・立会人型の場合の本人確認
・本人じゃない人がそのアカウント使用していないか問題(アカウントの管理)
はしっかりクリアにしていきたいですね☆
今日はここまで〜
どうもありがとうございました!!
ほいじゃ!
弁護士法人えそら
弁護士 鹿野 舞