高校2年の時しっかり者の可愛い幼馴染を後輩に取られた話。
僕の幼馴染は山下カスミと言います。
物心ついた頃から、カスミとは仲が良くいつのまにかよく遊ぶようになっていました。その時分は性別関係なく気軽に遊ぶことができてました。
山が囲うその場所は清涼で、初夏、風が稲穂を揺らし始めると、ゆったり丸一日かけて入道雲が流れつづけるのんびりした場所。
そこで日が暮れるまで、カスミと遊んでいた記憶があります。
ただ、カスミとの関係性はこの辺りがピークなのかなと思います。
・・・
小学校高学年。
カスミはいわゆる発育が良い子でした。胸が膨らみはじめてて、周りより背も高くなっていました。
僕は今までの感じたことのない、感情をカスミに抱くようになっていて、カスミとの接し方を変えたような気がします。
ただ不器用に口数が減っていき、カスミもそんな僕の気持ちをどこかで察していたのか自分から話しかけることはなくなっていったと思います。
もちろん、仲が悪くなった訳ではなく、必要なら普通に会話なんかはしてました。
中学生になるころ、カスミは学年のアイドルになっていました。
手足がそのまま長くなって元々可愛かった顔立ちはメイクをすることで、より磨きがかかってゆき小さくて白い顔は他の女子と一緒にいても一際綺麗でした。
・・・
ここからが、本題です。
寝取られとかが苦手な人にはおすすめしません。
それと、当時のことを思い出して書くため、客観的に見たところと心理描写が折り混ざった読みづらいものになると思います。
それを踏まえて読んで頂ければ幸いです。
僕たちは田舎でよほどのことがない限り、地元の高校に通います。
カスミも同じように、地元の高校に通いました。
カスミはまだ成長を続けていて、身長は170センチに届きそうで、女の部分もそれに引っ張られて大きくなっていました。
高校2年になりました。
一見すると
僕は小学生からやっていたバスケを続けていて、カスミもバスケをやっていて高校ではマネージャーとしてサポートする形で貢献してました。
我が高校のバスケ部はそれなりに強いこともあって、自己紹介みたいなのもきちんとします。キャプテン、顧問、と順番に自己紹介していった後にカスミが一年生の前に出ていきました。
ジャージ姿ですが、膨らんだ胸、華奢な肩、長い脚は新入生には生まれて初めてみる「綺麗な女の人」に映ったようで、ざわざわとした感じがこちらにも感じられました。
そんな雰囲気に動揺したカスミですが、咳払いをした後、若干顔を赤くして
「山下カスミです。マネージャーやってます。よろしくお願いします!」
とよく通るソプラノボイスであいさつをしたのでした。
そういった彼女に、新入生は顧問に対してよりも1トーン高い
「おねがいします!」
をするのでした。
1年生も順番に自己紹介していって、この前まで中学生だったこともあって、少しあどけなさみたいなのを感じたりしました。僕は初々しい気持ちになったと思います。
ただです。
少し気になる奴が、1年生にいました。
名前は藤沢というやつでした。
身長はそこまで高くなく、カスミと同じくらい。体もガリガリで態度も良くありません。実力もそれほどで小手先の技ばかり。
しかし、噂によると中学時点で20人以上の女の子と付き合ってきたらしく初体験もとっくに済ませていて、女を落とすテクニックなどの話をいつも自慢するような奴でした。腹が立つことに話は上手くて何というか、つい笑ってしまう様なことを、話の間、間に挟んで飽きさせないような感じでした。
藤沢はバスケ部に入るや否や、カスミのことを目で追っているのがわかり、そこで胸がざわつきました。
ある日のこと、着替えをしていた時
「カスミさんいいよな。。」
とぽつんと言いました。その時は下級生の中で話しているような感じで、それが僕の耳にも届いてきました。僕は内心ドキドキしながら、耳をそば立てました
その場にいた一年生は
「いや、無理無理!」
「俺なんて、声かけられただけで心臓破裂しそうだもん」
「いやー、でも、なんか隙ありそうなんだけどなあ」
女を落としてきた自信からか、藤沢はカスミでさえ落とせると思ってるフシがあり、その日も1年生の中で盛り上がっていました。
その後、藤沢はカスミに対して積極的に声をかけていきます。
「ちっす、おはようございます」
「あっおはよー、はやいねー」
カスミは献身的なマネージャーで朝練の時も顔を出して部員のサポートをします。
運動神経がよく、身長だけで言えば166センチあり、練習でも足を引っ張ることはありませんでした。だから、たまにパス出しなんかもします。小さいポニーテールが揺れます。
そのときに汗をかくのですが、むしろ汗をかいた方が清潔感を感じるほどの美人になっていて、普段は大人の雰囲気なのですが、男子にまじってバスケットボールをバウンドさせる時だけ見せるあどけない笑顔にみんなやられてました。
そんな幼い笑顔と一緒に揺れる重たい胸も見逃せません。
ともかく朝練をそれを目当てに来る奴もいました。藤沢は間違いなくその1人でジャージ姿に揺れる胸を追っていたのでした。
僕はその視線を見逃しませんでした。
5月ぐらいになって、藤沢のアタックが目につき初めて、この時の記憶は鮮明です。練習の休憩時間や部活終わりにカスミに話しかけ、一緒にいる時間が増えました。
藤沢の話にカスミは常に笑顔を絶やしません。付き合いが長い僕からすればそのほとんどは愛想笑いなのが分かるのですが、たまに見せるやや前屈みになって笑う姿勢は、本気でウケている証拠でもありました。
それから直ぐのこと、藤沢はコツを掴んできたのか、本気で笑わせる回数が増えてき、足を立ち止まらせたり、作業を止めて、談笑させるようになってました。
「お前、カスミさんとどうなの?」
「これからかな?とにかくまあ可愛いよな。近く行ったら顔の小ささとか際立つもん。まぁ。オレのテクでなんとか落とすべ!」
「こいつ!笑ま、なんかあったらおしえてくれよ!」
まあ、会話を聞く限り進展は無さそうだし、カスミは恋愛には奥手で、聞くところによれば藤沢も恋愛対象には見えず、自分にアタックしてくる男の1人のように捉えていたようです。それを聞いて僕は胸を撫で下ろしました。
6月になったときです。藤沢がロッカーまで来て、
「大ニュース!!!おれ、今週の土曜カスミさんとデートすることになった!」
!!!!!
僕は、一瞬耳を疑いました。周りも声にならない声で反応をしました。しかし、少し間が空いて
「マジかよ!!」
「おまえ、どうやったんだ?」
「くわしくきかせろよ!!」
次々に質問します。
「いや、おれ、毎日朝練出てるじゃん」
「うん」
「でも、ぶっちゃけカスミさん目当てなだけで、本気ではやってないんよな」
「しってるよw」
「で、練習が終わった後に、カスミさんにも言われちゃって
『ちゃんと練習しないと、危ないよ』
って。いや。美人な分怒ったときもすごい迫力なんだけど、強気なとこもそそるよなあ。この強気な女メロメロにして言うこと聞かせられるようになったら最高だろうなって。」
そう言う藤沢に僕は明らかな不快感を募らせますが、周りは興味深々で話は続きます。
「まあ、それに対して
『俺も頑張ってるんだけど、いまいち、本気になれないんです』
『でも最近、やっとやろうかなって気になってきて。』
『あと一歩のところなんですよね。』
って言ったらカスミさんちゃんと俺の目見て聞いてくれてて!で、このタイミングでいっちゃえって
『すみません!今週の土曜日練習休みですけど、空いてますか?』
って聞いたらびっくりして、目丸くしながら
『空いているけど、なに?』
って、言ってきたんですよね。」
周りはほーん、と言っていました。
「本当はもう何を言われるかわかってるくせに聴いてくるあたり、この人はそういう経験ないんだろうなー、って思って。多分イケるなって。
そこから、
『おれ、カスミさん目当てで毎日、部活来てます!だから一回だけでいいんで、俺に時間ください!!!』
って!」
「そんなの無理だろ!」
僕と同級生のやつが突っ込みます。
「そうですね、流石にいきなりすぎるし、すぐにオッケーは無理かって思ってました。だから、ちょっとだけ、言い方変える感じで」
『おれ、カスミさんへの思い抱えたまま練習したら余計に怪我すると思います!だからチームメイトを手伝うと思って!』
「って感じで男じゃなく、あくまでもマネージャーとして頼む感じで、お願いしたんですよ」
「そんなんで、行けるわけねえべ笑笑」
僕の横にいたやつが、つっこみました。
「まあ、そうなんですよね。だから、そこから間髪入れず、泣き落としって言うか、『もう、これでデート出来なかったらどうなんの』ってくらい、縋り付くように何度もお願いします!って感じで、しつこくお願いして!」
確かにカスミは昔から面倒見のいい部分もあってそう言ったふうに頼まれると弱かったのです。僕は嫌な予感がしました。
「で、縋り付いてたらカスミさんちょっと黙りこんだ後、
『・・・しかたないな』
ってちょっと呆れた顔でしぶしぶOKしてくれて!!!」
「ようやるわ!」
という声も上がりましたが、周りは驚きと不満が混じった声でいっぱいになりました。その声には僕も含まれてました。
「なんでお前がカスミさんとデートいけんだよ~」
しかし、当の本人は
「いや、女は押しに弱いんすよw」
と、自慢げに語っていました。カスミのことを「女」と呼んだことに、僕は怒りを燃やしましたが、周りはそれに対して何も言い返しませんでした。
土曜日の夜僕は眠りにつけませんでした。
そして日曜日、練習試合でしたが、藤沢もカスミも来ていて、特に変わった雰囲気もなく、内心ホッとしていました。
ちなみに相手チームの視線はたまにカスミに向けられることもあって少し嫌な気持ちになりました。それでも、僕は頑張ってBチームの試合でガードを務め。派手さはないけれど堅実なプレーで、味方をアシストします。 1on1でも期待の1年相手に何とか食らいつきました。
相手チームの監督さんも
「ナイスガッツ」
と褒めてくれて、心が踊ります。その試合はAB共に勝ちました。相手は県でも毎年ベスト4ぐらいに来る強豪で、全国にも2回行ったことのあるチーム。大金星です。僕たちの代もかなり強いですが、ビッグネームに勝てたという事実はやはり格別でした。
チーム全体が上機嫌でロッカールームで着替える時、藤沢が話を始めました。まだ、バスが到着するまで時間がありました。
「いや、勝ててよかったっすね!」
汗一つかいてない藤沢は言います。
「まあ、僕は昨日頑張ったんでw」
と続け、それを聞いた周りは勝ったテンションもあって上機嫌で藤沢に質問しました。僕は先ほどまでのテンションも急降下。内心ドキドキしながら耳を傾けました。
「山下とのデートどうだったんだよ?」
「いや、まあまあ、かな」
といいつつ、
「まあ、連絡先だけはゲットしましたw」
周りはおおおー!と、歓声を上げました。まあ、僕たちもカスミのLINEは持っていたので、その出来事はそこまで驚くようなことじゃなかったのです。
僕も
「そのぐらい、俺だってもってるよ」
と思ったりして、無理に気にしないようにしていました。
6月になって、異変が起きました。
それは、カスミが藤沢と一緒に帰り始めたからです。
練習が終わって自転車置き場にいると、いつもカスミが待っていて、そこに藤沢がやってきます。カスミは家が近いので歩きですが、藤沢は自転車です。
最初のうちはそういった日もあるよな、と思っていたのですが、それが毎日続き、結局1週間ずっと一緒に帰っていました。
藤沢と歩くときのカスミはどこか、照れ笑いをするようで、この時点で嫌な予感はしてました。
そんな中、周りは気になっていたのですが、いまいち聞き出せない状況でした。
しかし、ある日練習終わりに同級生が口を開きました。
「ぶっちゃけ、カスミさんとどうなの?」
周りの目線は藤沢に注がれます。この時僕の心臓は自転車置き場のこともあり、ドクドクドクドクと早鐘を打つようでした。
そして、藤沢が口を開きます。
「まあ、付き合ってますw」
は??????
僕はその場で崩れ落ちそうになりましたが、周りを見ると何が起きたのか分かっていない奴がいて、僕よりも衝撃を受けている奴もちらほらいます。
しかし、僕みたいなやつだけじゃなく、盛り上がる奴もいました。
「おい、どうやって落としたんだよ!!!www」
「おら、全部話せよ!!」
「なんで、おまえ、いや、なんでお前!?ww」
と、興味津々でした。
「ぶっちゃけ、カスミさんの連絡先ゲットした時ちょろいなーと思って」
「おお、こいつ!!笑」
「デート行ったんですけど、何もかも初めてって感じで、いやーかわいかったな」
「で、プリクラとか取るんだけど撮り方も知らなくて俺が教えてあげたら、めっちゃ感激してて」
『えー実はめっちゃ撮りたくて♡』
ってやっぱり街に出てそういった遊びしたことないんだなって思って。そこから、都会デートを満喫しました。ゲーセン入ったり、クレープ買ったり。マネージャーとして、とか言ってたんですけど、結局、俺にリードされっぱなしで内心、征服感で興奮しまくり!」
そうして藤沢はプリクラを見せてきました。
「カスミ♡ユウマ」
という、デコレーションされた可愛い文字が写真にあって、僕の胸を抉ります。カスミは自然の中で育ってきただけあって、こういった女の子として胸がときめく経験なんてなかったのでしょう。
「で、その日の終わりにLINEゲットしてそこから、毎日連絡取り合って。
毎日学校で会えるじゃんって思うかもですけど、こうやって2人だけでコミュニケーション出来る機会増えると、一気に距離詰めれるんで良いっすよw」
まるで、僕たちに講義するように自慢げに語ってきました。しかし、僕たちの中で藤沢よりも経験のある奴はいなかったので、周りは聞き入っているようでした。
「そんで!カスミさんいろんなところに連れ出して、マジで隣歩かせるの優越感で!たまに手繋ごうとしたら、最初は拒否するんだけど、LINEで連絡とり合って、駆け引きするうちに打ち解けるじゃないすか!で、予め向こうも俺の気持ち知ってたから、ぎこちなく手、繋いでくれて。その内2人でいるときはタメぐちになったりしてw」
「やるなあ」
と先輩が言っていたのですが、つぶやく程度の声でした。
「で、先週の日曜日の練習試合休んだじゃないすか?あの時にディズニーランドに連れ出してたんすよね。で、キレイなパレードの最中。告白!!」
「そこ、詳しく聞かせろよ!!」
「もうその日はカスミさん、最初っからテンション高くて、人生初のディズニーで。頭にネズミの耳なんかつけたりしてはしゃぎまくり。で、さりげなく手つないだら、恥ずかしそうにしながら、手、握り返してきて。それで俺が色々なところに連れ回す感じなんだけど、内心、この時点で『あ。今日でいけるわ、この女落とせるわ』と思って。」
もう、ゲーム感覚でカスミを落とそうとしている藤沢に僕は怒りがふつふつと湧いてきたのですが、その空気では話せませんでした。
「で、夜まで一緒にいたら、お待ちかねのパレード始まって。いやあのパレードはすごいっすよw女だったらほぼイチコロにできるから!その時、周りの人はパレードに集中してるんだけど、どう見てもカップルだらけでみんな思い出作りに来てる感じだったから、ここだなって。『カスミさん』って俺が真剣な声で言ったら、パレード見ながら顔真っ赤にして、ソワソワした感じwそこから、俺が『カスミさん話あるんだけど、』って繰り返す感じで言ったら、
『…はい?♡』
って、語尾にハートマークつくような甘い返事して!
そこから、
『カスミさん、こっち見て』
って言ってカスミさんこっち向かせて熱い視線で顔見つめて、
『俺、ほんとにカスミさんが好きです。俺でよかったら付き合ってください…』
って、ちょっと涙目になりながら告白w」
僕の心臓は口から出そうなぐらバクバク言っています。周りの奴らも黙って聞きます。
藤沢はそこから間をとって、話します。
「カスミさんも、一世一代の男の告白に感じたんだろうな。おっきい目うるうるさせて、
『練習…ちゃんとやるよね?』
って、俺が
『やります』
って言ったら」
僕自身、この時点でもう結論はわかっていて、やめろ、やめろ、やめてくれ!という心からの懇願を繰り返しました。
「そこから涙一筋こぼして、唇キュッと締めた後決心して、俺のこと見つめながら、
『お願いします』
ってwwオレ、その時点で我慢できなくてキス。そしたら、カスミさんもゆっくり目つぶって、受け入れてくれて。ファーストキス奪った事実からチンチンガチガチにしながら、延々にキスしちゃって。」
周りはアホだろ!と突っ込みますが、先輩の1人が締めくくるように、
「で、カップル成立ってわけね?笑」
と言いました。
こともなく藤沢は
「ま、そうなりますw」
と、
あああああ。
いつも僕の前を歩いていた憧れの幼馴染。綺麗で、可愛くて、高嶺の花。それが、出会って3か月の下級生に落とされてしまいました。
僕が絶望の淵に立たされたその時、周りはさらに追及して、
「その後やったのか?」
という、質問を繰り出したのですが、藤沢は間をおいて
「いや、そこは流石にガード堅くてw」
と、言った後。
「まあ、でもそこは、時間かけてやることヤるつもりっすw」
と、にやつきながら言いました。
その日、そこからの記憶は全くありません。
カスミが他の男と付き合っている。付き合っている、、、彼女に。
オンナにされた
ただ、それだけが僕の胸を占めて、なんとか現実から目をそらそうとしていたのでした。そして、涙で枕を濡らしながら、ベッドについた、と思います。
しかし、これはまだ始まりにすぎませんでした。
本当の絶望はここから始まるのです。
https://note.com/kannou/n/nec4c1e3aa05d
https://note.com/embed/notes/n504b397f33f2
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