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ゆるゆる靴の問題

十人十色の足に靴を合わせるのが我々シューフィッターの役割です。ところが最適な靴を出しても“窮屈だから”と1サイズ程度大きいサイズに変更することはあります。ただ、足部の感触は人それぞれで男性であれば足長26.0cmの方が29.0cmを履いたり、女性でも足長21.5cmの方が24.0cmを履いたりする場合もあります。主観ですが5%程度はこの様なサイズ感の方がいるのではないかと思います。

何故、ゆるゆる靴を好むか


巷ではCM効果もあり手をかけないで履ける靴が大ヒットしているようですが、日本では下駄や草履の時代から突っかける履物文化でゆるゆる靴は突っかけやすいメリットがあります。

ただ、脱着メリットより足の感覚として靴はゆるゆるがいい、足をしめられる感覚は嫌だと訴える方がいます。これは年代のかたよりなく一定の割合で存在しています。何故か・・・足の感覚の慣れ、味覚と同じような慣れと考えていただくと分かりやすいかと思います。

東北人である私の周囲では牛丼屋のお新香にドレッシングのように醤油をまわしかける方が多くいます。・・・血圧が高くても、慣れとは怖いもので幼少期の味覚はなかなか変えられません。

三つ子の魂百まで


子ども靴売場では、3歳の子どもに靴を履かせて靴のつま先を親指で押して、さらに、確信がもてない親は3歳児に『窮屈でない』、『痛くない』と聞きます。・・・これは全部間違えています。

先ず、3歳児が窮屈という意味を理解しているか、痛くないと言っている3歳児は痛くなくても痛いというかもしれないし、本当に痛いのかもしれません。

本当に痛い場合は靴を履かせて歩行できないか、何時もと違う歩き方をしてしまいます。痛いといって快適に歩けていたのなら、痛いといった理由がデザイン的に好まない、好きなキャラクターや色ではないからかもしれません。

問題は子どもに「痛い」といわれてサイズを大きくすることです。

子どもは成長するし直ぐに大きくなるからと、大は小を兼ねると考えるのか次から次へと大き目、大き目に靴を買い与えられ、高校に入る頃には足長21.5cmの方が24.0cmのスポーツシューズを履くようになってしまいます。

これは女性がオシャレをしたい年頃になってもパンプスを履くことは余程感覚をもどさないと履けないことになります。

例えば3歳児にカレーの辛さを確認しますか、味噌汁がしょっぱいか確認しますか、ママの味が子どもの味覚に影響を与えます。靴のサイズ感もママが選んだ靴が影響します。

これからの常識 子どもの足を守る靴教育 早稲田大学 吉村眞由美氏

F-WORKS webより

ゆるゆる靴が体に及ぼす影響


写真のモデルが履いているこのスポーツシューズでは24.0cm、大き目で24.5cmが許容されるサイズで、姿勢も整っているのがわかります。23.5cmでは小さく、25.5cmでは大きいサイズで姿勢が崩れていることがわかります。

足部機能が確り作用することで片脚立位は保てますが、大きいサイズでは適正に足部機能が作用せず、足趾は浮き後方荷重になっている状況です。学校の校内履きなど長時間履くシューズが不適だと成長期の子どもにとって靴が体にあたえる影響は少なくありません。

姿勢だけではなく足部の筋力低下や歩行のメカニクス不良から下腿や足部にも影響が及びます。

ゆるゆる靴の怖さ、恐ろしさは直ぐに腰痛になったり外反母趾になったりはしないのでゆるゆる靴が関与しているとは誰も考えないことです。

しかしこれは間違いなく生活習慣病であり、ロモコティブシンドロームにも関係してくることでゆるゆる靴は体に大きな負担を掛けています。

子どもの足を守ろうと親は大き目、大き目と靴を履かせて大事なお子様の体を蝕んでいるならとても不幸なことです。適正サイズの靴を履くことは間違いなく人間の健康寿命を延ばすことに寄与しますので、今一度、大きい靴を履いているのならお近くのシューフィッターにご相談ください。

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