体のバランスを整える野球用スパイク
球春到来、特に今年はWBCも開催中で野球が盛り上がっています。野球の用具といえば先ずはバットにグローブとなりますが、足元を支えるスパイクも非常に重要な用具です。
2017年、縁があり高校野球部に所属する選手のスパイクを調査をしたことがあります。そこで分かったことについて説明します。
足部からの閉鎖運動連鎖(へいさうんどうれんさ)
野球の動作は、打つ、投げる、走るですが、ジャンピングスローなどの限られた動き以外は足部からの閉鎖運動連鎖により下肢、体幹、上肢へと下から上に運動が連鎖します。
運動連鎖の始点は足部からですが、その足部にメカニクス不良があると正しく骨盤が回旋しなかったり、その代償は肩や肘にも及びます。
大谷翔平選手の筋トレが注目されていますが、闇雲に体幹トレーニングをするより運動連鎖のメカニクスを正常化させるトレーニングが必要です。
足部機能を正常に保つためのスパイク選びは野球動作を最適にしてスポーツ障害から体を守る上でも非常に重要なことになります。
サイズ感と実際のサイズ
スパイクを製造しているメーカー担当者によれば、スパイクは表記サイズが足長の0~+1㎝以内で購入して欲しいとのことです。
理由はスパイクの歯、ポイントが足底の適正な位置からズレて怪我のリスクが高くなることとスパイクの性能を活かせない。
そこで実際は選手たちがどの様なサイズ感でスパイクを選び、実際のサイズと足長の差はどうかを調べてみました。
多くは感覚的にやや大き目を選んでいる結果であり、やや大き目を選んでいる選手は+1.48㎝とメーカーの理想からは0.5㎝も大きい結果となっていました。※様々なメーカーのスパイクが履かれていましたがこの調査ではM社、A社で90%以上
アンケートから分かる部分は選手の習慣性(脱着性など)でやや大き目を選んでいるケースもあり、パフォーマンス性が第一ではないことがわかる。
何故、大き目のサイズを選ぶのか
市販されているスパイクは、幅広タイプはあってもつま先の形が考慮されたスパイクはありません。
スパイクのつま先形状はラウンド型でつま先の真ん中から丸い形状となっています。ただ、日本人の多くは親指が長いエジプト型であり、つま先形態のミスマッチになっていることが分かりました。
ギリシャ型の足のは比較的足が細い方も多く、ピッタリ意識が強い傾向にあります。
野球の怪我は肩、肘だけではない
調査結果では選手の多くが高校入学前までに怪我やスポーツ障害を経験していました。どうしても野球では肩や肘がクローズアップされますが、足部、特に捻挫や肉離れは多い怪我となっています。
その中でもスパイクサイズが大きい(オーバーサイズ)場合に肉離れをしている選手が多い傾向にありました。
陸上でのスポーツ全般にいえることですが、足部機能を発揮できるピッタリなシューズ、スパイクを選んで欲しいのですが傾向として競技にもよりますがやや大き目にスポーツシューズが選ばれている様に感じています。
また、野球のスパイクではベルクロモデルが人気であることは承知していますが、脱着性が優先されてはスパイクの本質からズレてしまいます。ベルクロが増えた影響か野球をやっている中学生が靴紐を結べないケースもあり驚くばかりです。
ベルクロも機能的に大きく靴紐に劣ることはありませんが、細かくフィットさせたいなら靴紐の方が有利です。スポーツシューズの歴史を考えてもスポーツシューズの役割は怪我から足部を守り、少しでも速く走れ遠くに飛べることですからトップアスリートを目指すなら足元の意識から変えてみて欲しいと思います。