哲学的キャリア論のススメ5~受ける企業は広げる?絞る?~
「働く、生きるを、HAPPYに」をビジョンに掲げる株式会社ミライフで、キャリアデザイナー兼事業企画として働いている菅野(かんの)による「哲学的キャリア論」第5回です。
「ジョブホッパー転職」を考えた第4回はこちらをご覧ください!
※内容はどこから読んでも大丈夫ですのでご安心ください。
なお、このnoteでは「哲学的」という言葉をとても広い意味で使っています。
もう少しちゃんとした哲学の話が知りたいよ!という方は、Voicyで配信しているこちらの番組をお聞きいただけると嬉しいです。
それでは、さっそく始めていきましょう!
究極の選択「広げるか絞るか」
今回は、実際に転職活動を進めるぞ、という場面の話です。
転職支援をさせていただいている中で色々な質問・相談をいただくのですが、その中でもTOP5に入るのが
「もう少し受ける企業を増やした方がよいですか?」
というものです。
普通に考えれば「たくさん受ける=受かる可能性が高まる」なので、増やした方がよい気がしますよね。
逆に、「もう少し減らした方がよいですか?」という相談はそこまで多くはいただかないものの、こうした疑問を持つ方も当然おられます。
果たして受ける企業は、広げるべきか絞るべきか。
当然これも、「答え」や「万人向けの正解」があるわけではありませんので、自分なりの考え方を少し整理してみたいと思います。
広げた方がよい3つの場合
前提として、中途の転職活動の場合、新卒のように「100社エントリーする」といった考え方はしない方がよいですし、一般的でもありません。
ではみんな何社ぐらい受けているの?というと、こちらのマイナビさんの記事によると
といった記載があります。
この数字はそこまで違和感がなく、ミライフでご支援をしている感覚でも「5社ぐらい並行して進めると、1社内定を取れる」という風にご案内することが多いです。
これは「内定率が20%である」といった確率的な話というよりも、
といった複合的な要因から起きることかな、と感じています。
さて、前提が長くなってしまったのですが、こうした背景から「受ける企業を広げた方がよいと考えられる場合」にはどんなケースがあるのでしょうか?
これもざっくりですが、以下のような場合が当てはまると考えられます。
1についてはそのままで、自信が無いのに受けている数が少ないなら、「もう少し受ける企業を広げられないか?」ということを考えるのが良い選択肢です。
「内定をとるため」もそうなのですが、そもそも「自分のキャリアの軸」や「面接でどう伝えれば強みが伝わるのか」なども見えにくい状況かと思いますので、この場合は「転職軸に重なりながら、まだ受けていない企業はないか?」を考えることが大事です。
ちなみに「ということは、練習台で適当に受けてもよいのですか?」と思うかもしれませんが、それはオススメできません。
これも新卒の頃と異なり、中途の転職では「これまでの経験と転職理由・志望動機の一貫性」が強く求められます。
ですので、そもそもその企業に転職する理由がない(転職軸と重ならない)場合、受けたとしても面接のコミュニケーションが上手く成り立ちませんし、落ちたとしても理由が明らか(転職理由が自社では叶えられないから)なので、まったく「練習」にならないのです。
そのため、日頃のご支援の中でも同様のケースの場合、「仮に志望度が低くて練習をしたいと思っても、最終的に受かったら行くと思える企業を受けましょう」ということをオススメしています。
さて、この調子だとずいぶん長いnoteになってしまいますので、サクサクいきましょう。
2についても分かりやすいですが、一番起きうるケースかもしれません。
例えば年齢一つ切り出してみても、以下のページにあるように、年齢が上がれば上がるほど平均の応募者数が増えている、というのが見て取れます。
これも「その方の能力」というよりは、デジタルな「年齢」によって書類選考の合否に影響が出ているので、その分多く応募しないと面接以降のフェーズに進めない、と考えてよいと思います。
同じように短期離職や経験者数が多い場合や、異業界・異職種への未経験転職なども、書類選考が通りにくいため必然的に「内定を取るためにはたくさん応募しなければならない」というケースとなるでしょう。
一方3については、逆に企業を「デジタルに見る」というケースです。
例えば「年間休日120日以上」というのがどうしても譲れない条件だ!という場合は、その軸で引っかかった企業を出来るだけ広く受けた方が、実現できる可能性は高まります。
もちろん、そうした条件だけで企業を選ぶことは現実的にはほとんどないですが、どうしても「知らない業界だから」とか「何となく聞いたことがない企業だから」という理由で「受けない」という判断をしている場合も結構あるものです。
この場合はぜひ食わず嫌いせず、「可能性がある企業を広く受けてみる」ことで、想定外の良い企業に出会えることもあります。
絞った方がよい3つの場合
さて、ここまでは「広げた方がよい」場合について見てきましたが、ここからは「絞った方がよい」場合です。
普通に考えると「広く受けた方がよい」と思われがちですが、個人的には以下3つのケースについては、明確に「絞って受けた方がよい」と思っています。
1については、声を出して言いたいのですが、中途の転職で、誰かに言われるがままに15社以上を一度に応募するのは本当にやめた方がよいと思います。
もちろんケースバイケースだとは思うのですが、理由としては、その場合転職軸が明確になっておらず、例え面接に行ったとしても転職理由や志望動機をクリアに伝えられず、結局お見送りになってしまうことが多い、と感じるからです。
実際、「言われるがまま多くの企業に応募したが、まったく転職活動がうまくいかず困っている」という方の相談に乗ることもあります。
そうした方は、「たくさん受ければどこかは引っかかる」と思っており、実際そう言われていたりするのですが、これまで見てきた通りそんなことはまったく無く、「どこかに引っかかればよいだろう」という人を採用するほど、企業の面接も甘くはありません。
(一部、本当に人手が足りない企業ならありえるかもしれませんが、そうした企業に行きたいか・行くべきかはまた別の論点が出てきます。)
ですので、むやみやたらに「受ける企業は広げた方がよい」と思っている方に「絞る」ことをオススメするのは、キャリアデザイナーとして当然のスタンスと思っています。
さて、2については人によっては想像しにくいかもしれませんが、転職活動はするものの現職に残ることも考えている場合、基本的には受ける企業を広げる必要はない、と考えています。
これもゴールから逆算するとイメージしやすいのですが、最終的に内定を取ったとして「その会社に行くか現職に残ることを選ぶか?」という決断をするわけです。
だとしたら、受ける時点から「現職を辞めてでも行きたい会社か?」というフィルターを通しておく方が、スマートに転職活動を進めることができますよね。
いざ転職活動!となると、「せっかくの機会なのであれもこれもチャンスがあれば見ておきたい」という気持ちになることもありますが、どこまで行っても隣の芝生は青く見えるもの。
だとしたら、「何となく気になる会社を受ける」よりも「そもそも何が実現できたら、自分は現職を辞めるという意志決定をするのか?」を明らかにした方が何倍も有意義ですし、そのために受けるべき企業はきっと5社以内に収まるはずです。
最後の3は当然といえば当然ですが、行きたい会社や仕事がほぼ定まっているケースですね。
この場合は、ありとあらゆる手を使って、まずは面接の機会を作りましょう。
もちろん実績のあるエージェントを頼ってもいいですし、友人・知人やもしかしたら大学の教授のつながりなど、自分が取りうるあらゆるコネを使うべきです。
私自身、知り合いの人事の方にお願いしたり、受けたい会社のイベントに参加して、そこで社員の方とつながって採用の可能性がないか?を尋ねたこともあります。
(どちらも内定には至りませんでしたが、少なくともお話する機会をいただくことはできました)
このケースで重要なのは、「本当に行きたいなら、その本気度を相手に伝えないとチャンスは生まれない」ということです。
そして、そのチャンスを生むためには、あれもこれもと色んな企業に手を広げている暇はないはずです。
本気だからこそ、絞る。
受ける時点で、すでに決断している。
こうしたスタンスが、非連続なキャリアを切り開くのも、多くの人のご支援をしていると奇跡ではないと分かります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「受ける企業を広げるか狭めるか」という問いを手掛かりに、実際に転職活動を行う際にどのように受ける企業の数を決めていくのが良いか?について考えてみました。
「自分の転職活動の軸を明らかにして、適切な進め方をクリアにしたい」という方がいましたら、ぜひ気軽にこちらのフォームからご連絡いただけたら嬉しいです。
それでは次回も、どうぞよろしくお願いいたします!
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