哲学的キャリア論のススメ4~ジョブホッパー転職の難しさって?~
「働く、生きるを、HAPPYに」をビジョンに掲げる株式会社ミライフで、キャリアデザイナー兼事業企画として働いている菅野(かんの)による「哲学的キャリア論」第4回です。
「未来を考えるメリット」を考えた第3回はこちらをご覧ください!
※内容はどこから読んでも大丈夫ですのでご安心ください。
なお、このnoteでは「哲学的」という言葉をとても広い意味で使っています。
もう少しちゃんとした哲学の話が知りたいよ!という方は、Voicyで配信しているこちらの番組をお聞きいただけると嬉しいです。
それでは、さっそく始めていきましょう!
未来を考えろって言われても・・・
前回のnoteでは「想定未来」「理想未来」「最悪未来」の3つを考えてみませんか?ということを書かせていただきました。
一方で、こんな風に思った方もおられるのではないでしょうか。
そうなんです。
未来を考えるのはもちろん大事なのですが、当然「過去~現在~未来」とつながっているので、過去にも目を向ける必要があります。
そして過去を考えるとき、どう頑張っても変えられない事実が、それまでの「職歴」。
その中でも転職というシーンでテーマにあがりやすいのが「短期離職」や「複数転職」といった「ジョブホッパー」の問題です。
ちなみに私自身が世間的には「ジョブホッパー」で、これまでの12年ほどの社会人経験で
という刻み方をしています。
いま「刻み」と書いたのですが、30代半ばで5社経験、最長でも4年半という職歴だと、基本的には「結構刻んでるね」と思われてしまう職歴かな、と思います。
そんな私の実体験と、日々転職市場に向き合っている観点から、この「ジョブホッパー転職の難しさ」について考えてみたいと思います。
ジョブホッパー特有の難しさって?
前提として、「1社に長く勤めることがいつでもどこでも良いことだ」という感覚は、だいぶ薄れてきているように思います。
後ほど詳しく触れますが、例えば「新卒から10年勤めたが、担当業務がほとんど変わっていない30代」の方を考えた場合、それまでの経験で選べる選択肢は「その業務を3年務めた20代」と比べると、どうしても狭くなってしまいます。
とはいえ、企業からすると「一定期間は働いて、自社に貢献してほしい」と思っていることは変わりません。
というのも、当然企業側も採用に際して様々なコスト(私達のようなエージェントに支払うフィーはもちろん、面接などの稼働コストや入社手続き~教育など)を支払っているわけで、その分は頑張っていただきたい、という風に思うものです。
そうした想いを持って採用をしている企業の側から考えると、もしほぼ同じような経験・スキルを持っている候補者が2名いるとしたら、「長く働いてくれそうな人」を採用するのも、当然の判断です。
そして、その判断の根拠になるのが職歴、つまりはこれまでの「在籍の記録」です。
ちなみに、採用選考の場においては「発言より行動」という原則があります。
いくら言葉で「御社で長く働きます」と伝えたとしても、これまでの在籍期間が(私のように汗)1年半しかない、となると「もしかするとうちも1年半ぐらいで辞めてしまうんじゃないか」と思われてしまうことは、なかなか避けようがありません。
これがジョブホッパー転職特有の難しさで「変えようがないこれまでの行動・事実」を「どのように相手に納得感を持っていただくか」というテーマに、応募書類や面接を通じて向き合わないといけないのです。
「ジョブホッパー転職」3つの戦術
こうした特徴を持つ「ジョブホッパー転職」ですが、大きく分けて3つの戦術があると思います。
構造としては「この人長く働けるの?」という企業側の疑問に対して、「自分の行動や事実では説得力を持たせられない」という課題があるわけで、そこをどう乗り越えるか?という風に考えてみると、大きく以下3つの方向性が見えてきます。
それぞれはシンプルなのでさらっと説明していきますが、①については「企業側も2~3年で辞めることを気にしない環境がある」ということです。
例えば平均勤続年数が短い企業や、立ち上がったばかりのスタートアップの場合、むしろ「環境を変えながらキャッチアップして生きてきた」こと自体が有利に働くケースがあります。
(環境が合わず、成果が出る前に辞めてしまった、という場合だとなかなか当てはまりにくいのですが・・・)
そういった会社ですと、企業側も「いまの課題を解いてくれればOKで、数年自社で経験を積んだら次の環境で頑張ってくれても大丈夫」と考えている場合もあるので、その価値観がフィットすることもあります。
ただ、この場合のデメリットとして「次の会社でも短期離職になりやすい」というものがあるため、「とりあえず働ければいいや」ではなく「次の会社の経験を活かして、次の次をどうするか?」という観点も、同時に持っておく必要はあると思います。
②については、自分で証明できないなら他の人に証明してもらおう、というものです。
いわゆる「リファラル転職」ですが、友人や知人を頼ると、「本来なら長く働きたいのだが、致し方ない理由で転職を繰り返してきた」という部分について、仕事以外の価値観も含めて伝えることができるため、不足している説得力を補うことができます。
一方で、そうしてつながったご縁でも短期で辞めてしまうと、その友人・知人にも迷惑をかけかねませんので、「助けてもらったからには恩返しをする」という気持ちで働くことも大事かもしれません。
③については、周囲ではなく自分を変えよう、という方法です。
これが一番本質的ではあるものの、一番難しいので最後に持ってきたのですが、行うべきは「自分の離職パターンを他者に伝わるレベルで明らかにする」というものです。
例えば私の場合、1年半で辞めてしまった会社が2社あるのですが、後から振り返るといずれも以下のようなパターンにハマってしまっていました。
つまり、「背伸びをして成果を出しても長続きせず、結局自分の首を絞めてしまう」という経験を繰り返したことで「背伸びをしすぎず中長期で成果を出せる環境が良い」ということが見えてきたのです。
こうした現象の奥にある背景が見えてくると、面接でも「過去の離職はこういう理由で、御社ではそのパターンに陥る懸念がないので、長く働けます」ということが、ある程度の説得力を持たせて伝えることができますよね。
とはいえ、この3つのどれかを選ぶというよりは、それぞれを掛け合わせながら「自分が貢献でき、受け入れてくれる環境」を見出していくことが大事なのかな、と思います。
「ずっと居る=良い」わけでもない難しさ
さて、ここまでは「ジョブホッパー」=「比較的短期で、複数回の離職を重ねる人」の転職について考えてきました。
最後に改めて触れたいのが、いまのキャリア形成が難しくなっているのは「だからといって、1社に長く居ることが必ずしも良いわけではない」からだ、ということです。
1社の中で様々な経験を積むことができ、自分のキャリアの可能性を最大化できるという時代は、多くの人にとってはすでに過去のものと考えた方がよいと思います。
その要因は「企業の体力」や「育成機会提供の難しさ」など色々あると思いますが、個人レベルで重要なのは「異なる環境に適応できるというのも、立派なスキルである」ということです。
転職まで行かずとも、まったく違う部署に異動する、関連会社に出向する、副業をしてみるなど、自分を異なる環境に置く手段はいくつかあります。
こうした経験をしておかないと、いざ転職!と考えた際に「本当にキャッチアップできるかが分からない」という理由でお見送りになるケースが、特に30代半ば以降の転職活動において、実際に起きています。
自分のキャリアにおいて、いつ「変化」を起こすか。
「変化」を起こしすぎても説得力に欠けてしまう一方で、「変化」がなさすぎても説得力に欠けてしまうという難しさ。
この辺りをいかにコントロールしていくか?が、今の時代に求められる「キャリア論」ではないでしょうか。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「ジョブホッパー転職の難しさ」を手掛かりに、キャリアにおける「変化」と向き合うことの重要性についてお伝えしてみました。
「過去・現在・未来という時間軸の中でどんな変化を起こしたらよいか考えてみたい」という方がいましたら、ぜひ気軽にこちらのフォームからご連絡いただけたら嬉しいです。
それでは次回も、どうぞよろしくお願いいたします!
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