【日記】日常
新しいアパートに引っ越してきて一週間が経った。前の家よりも家賃が三万円安く、古くて狭い家になったが、ユニットバスが使い辛いこと以外、特に不満はない。日当たりのいい二階で、家の周りは静かだし、前の家みたいに夜十一時以降の洗面所に幽霊が現れることもない。平和である。
別に隠す必要もないので、言ってしまうが、今年の一月に離婚した。それで二人で住んでいた家から一人用の家に引っ越した。
日々記事や音声を投稿していると、その事実を隠すという作業が必要になる。これは意外とストレスで、引っ越すことは書くのに、あれは書かない。みたいな選別にエネルギーを要していた。
このままだとモヤモヤするので言ってしまったほうが楽というか、言ったほうがいい気がした。
愛していた。ずっと一緒だと思っていた。が、上手くいかなくなった。それだけのことだと思う。今の僕の胸の内側は空っぽではない。ちゃんと肺と骨と心臓がある。ギリギリと締め付けられるような苦しみは消えたが、時々一人になったことを、日常の光景がトリガーになって思い出す。そういう時、まだスムーズには笑えない。でもきっと普通に戻る。そんな気がしている。
六月になり、夏雲が膨らんできた。大きくて綺麗だと思う。
子供がアスファルトの道を駆ける様が絵になる。美しいとさえ思う。
いや、これこそが美しい光景だと思う。その直後に強い不安や悲しみがやってくることもない。
僕だってその美しい日常の一部だ。そう思っていいと自分の感情で決めてから少し楽になった。自分を世界を分断すると不幸になるような気がする。
分断さえしなければ、きっと一人ではない。
小説を書きまくってます。応援してくれると嬉しいです。