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『バサラオ』観劇感想(8/18)ネタバレあり①疑問点

2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』、
明治座公演を観てきました。

こちらではネタバレありの感想・・・、というか、疑問点とか、1回見ただけでは、イマイチしっくりこなかったところの備忘録。
基本的に観劇(というか新感線?)は、「おもしろかったー!よくわかんないとこもあったけど、全体の勢いでたのしく観れた!!」でいいと思ってるんですが、ついつい細かいところをあれこれつついたりこねくり回したくなってしまうのが、私のサガです・・・。

・「バサラ」の定義


辞書で「ばさら」と引くと「勝手・派手にふるまうこと」「南北朝時代に流行った風潮」といった意味合い。

しかし『バサラオ』の作中では、「バサラ」はヒュウガひとりに属するもの、というかオリジナル、みたいな感じですよね。
「俺は好き勝手生きる」とヒュウガが歌ったあと、カイリが「それがバサラか」と言ってるし。
サキドがいわゆる「バサラ大名」なんでしょうけど、派手なものを「サキド好み」と言って、「バサラ」という言葉は使ってない。
この作品世界では、「バサラ」ってヒュウガのオリジナルのライフスタイルということなのかな・・・。
『バサラオ』とはまさしく「バサラ」な「男」の物語、なのか。

・狂い桜とはなんだったのか

(注・『朧の森に棲む鬼』のストーリーにふれています)
この物語は鎌倉の狂い桜の下でヒュウガが歌い踊るシーンではじまる。
ヒュウガのために狂い桜の下で死んだ女たちは、桜の栄養になるのだという。
執権キタタカも桜の下で殺し、ゴノミカドまでもわざわざ鎌倉に呼び寄せて、桜の下で殺す。
そして幕府もミカドもなくなった混乱状態の中で、狂い桜を京都に運ぶ。
(桜を京都に運んでから、その下でゴノミカドを殺せば良かったのでは?と思わないでもないですが、まあ、最高権力者になってからでないと、大木を根っこつきで鎌倉→京都に運ぶ、なんてできないか)
・・・狂い桜って、なんなの?

なんとなく、狂い桜には意志があり、ヒュウガをあやつって自分の元に死体を集め、その栄養(恨み?)を得て成長しているのではないか・・・、とか考えてしまう。
『朧の森に棲む鬼』では、森に棲む朧たち(棲む、というか、森の意志そのものが「朧」という女性の姿をとって現れてる、みたいな感じ)と主人公・ライが契約して、”王になる”野望を叶える手助けをしてもらうのですが、この話ではそういう「超自然的なものとの契約・同盟」みたいな描写はぜんぜんない。
でも、「桜狂い咲いて 俺は輝く」のだから、やっぱり狂い桜とヒュウガに因果関係はあると思うんですが、そこらへんは明示されてないですよね?
なんなの、狂い桜。

ラストシーンでカイリが”お前の美貌さえも、この国を浄化しようという神の意志、お前もまた神の意志で操られただけ”というような歌詞を歌うのですが、ひょっとして狂い桜の目的、というか所属はこっちなのか・・・?

・ラストの展開について
裏切り・裏の裏をかきあう策略合戦の果て、「解毒はするが顔がただれる」薬をヒュウガが飲んだ、と見せかけて、カイリにむりやり口移しする、という展開に。
私はこの前段階の「カイリに刺さったアキノの矢(毒塗ってある)を抜いてヒュウガに刺した」ことを忘れていたため、(カイリに飲ませてどうするんだ・・・、何の変化もないし・・・)と思ってたんだけど、終演後、友人に「二人とも毒が回ってる」ことを指摘されて、あっそうか!ってなりました。
”俺は美しいまま死に、お前は美しい俺を殺した罪人として顔がただれたまま生き残れ”という呪いなんですね。
しかしそれならばやはり、むりやり薬飲まされたあと、カイリの顔がただれる演出が欲しかった。
すぐラストシーン&カーテンコールになっちゃうから、倫也さんの顔をあまり汚すわけにいかなかったのか・・・?
いやでも、それこそ(ヒュウガに使ったような)ぺろっとはがせる特殊効果のマスクあるわけだし。
やっぱりラストシーンのふたりはきれいな顔のままでやりたかったのかしら。

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