LGBTQ+ とウエディング
カナックスは90年代からアフターブーケというお花を残すサービスを行なっています。「Mx.カナックスコンテスト」は私たちの新しい試みで、今回で2回目の開催です。2022年7月20日に世田谷区のスタジオにて撮影を行いました。以下はその際にインタビューをさせていただいた内容です。
Mx.カナックス コンテストは、弊社のウエディング向けカタログやウェブサイトのトップを飾る、アフターブーケの想いに共感していただけるモデルの公募です。「Mx」という言葉にカナックスとしてLGBTQ+フレンドリーへのリスペクトを込めています。
今回はMx.カナックスコンテスト2023グランプリのMinoriさんとパートナーのSanikaさんにこれからのお二人と「ウエディング」についてお話を伺いました。
Mx.カナックスコンテストについてはこちらをご覧ください。
次回のMx.カナックスコンテスト2024は2023年3月応募開始予定です。
多数の応募をお待ちいたしております。
今回のMx.カナックスグランプリであるMinoriさんが表紙を飾るカタログは、2023年1月にリリースを予定しております。
カナックスのウェブサイトからダウンロードが可能です。
撮影の様子はこちらからご覧いただけます。
ウエディングは、二人のため、祝福する・祝福される。もっと身近であってもいいのでは
カナックス代表の菅野健です。よろしくお願いいたします。
カナックス アフターブーケカタログ2023 撮影をありがとうございました。
撮影を終えていかがでしたか?
Minoriさん:とにかくとても楽しかったです。あんなに大きなお花を手にしたのは初めてで、お花のパワーを感じた撮影でした。ウエディングドレスを着てブーケを抱きしめた瞬間、涙が溢れ出しそうになりました。こんな感覚は初めてです。
菅野:Sanikaさんも今回、Minoriさんのパートナーとして、カタログやWEBサイトへのご参加ありがとうございます。MinoriさんからSanikaさんへ出演オファーの話があったと思うのですが、お聞きになった時はいかがでしたか?
Sanikaさん:MinoriがMx.カナックス2023にエントリーしました。もちろん応援をしていたのですが、ブライダル業界のコンテストなので、面談の際には同性のパートナーがいるということはあえて言わないほうがいいのではないか…とも話していたので、私もパートナーとして一緒に出演することができると聞いてびっくりしました。
Minoriさん:選考が進んでいくにあたり、もしかすると、同性パートナーの存在を受け入れてもらえるのかもしれないと思い、ありのままの自分を見てもらいたいと思い、パートナーのSanikaのことを話しました。このコンテストに「Mx」とついていたのも大きかったかもしれません。大きな勇気をもらいました。
菅野:これからのお二人のご活躍がとても楽しみです。将来の夢をお聞かせください。
Sanikaさん:二人でやりたいことは、世代や背景を越えて、こういうかたちの二人っていいよねって思ってもらえるような存在になりたいです。
私たちのような関係性を、否定する人がいることもわかっています。理解できない人もいるかもしれませんが「こういう関係性もいいね」と思ってもらえるきっかけになりたいです。
カップルとして、メディアにもどんどん出ていきたいと思っています。
菅野:お二人にとって理想的なカップルの関係はどのようなものですか?
Minoriさん:私は自分が大切にしたいと思う人、一緒にいたいと思う人に性別は関係ないと思っています。そのような純粋な気持ちを、それぞれの人がお互いを大切に、尊重できれば様々な困難を乗り越えて、前向きに進んでいくのではないかと思います。
Sanikaさん:自分と違う考え方に出会った時に受けとめることができたり、自分が知らないことを知ろうとすることができれば成長につながると思っています。
菅野:お二人が等身大の同性カップルとして、ご活躍されていることが、ポジティブで生きやすい世の中を生み出すと思っています。
Sanikaさん:今回の撮影で担当してくださったメイクさんは、ニューヨークでお仕事をされていて日本に戻った時に、みんな考えすぎかなと感じられたようです。
確かに私たちも『私たちはLGBTQ+だ!』と思って生きているわけではありません。自然体に生きること。お互いがお互いを思い合う気持ちが、ポジティブな未来を作っていくと思っています。
周りの人たちにも今まで恵まれており、実際に私とMinoriの関係を否定をされたことがありません。
様々なカップル、家族のかたちがあって、その多様性こそがよりよい社会につながると考えています。
菅野:自治体ベースではパートナーシップ制度を導入する地域が増えています。それについてどのように考えていますか?
Sanikaさん:そういった動きはありがたいと思うのですが、その反面、異性のカップルだったら普通に結婚できるのにと思ってしまいます。
Minoriさん:自治体のパートナーシップをポジティブに受け止めています。ただもう少し国会でも私たちの声に耳を傾けて欲しいなと思っています。窮屈な思いをする人が減り、より良い生活ができる社会になって欲しいです。同性婚に向けて大きなムーブメントになってほしいと願っています。
菅野:世の中同性婚のみならず、どんなことでも対立関係にならずにお互いのことを思い合える社会になりたいですね。
Minoriさん:社会がより良い方向へ進むために、プラスアルファの存在になりたいです。
街に出たときに広告などで、今日私たちが撮影していただいた写真のように同性カップルの写真の広告を見て、純粋に素敵だなと思ってもらえたり、何かを押し付けるということではなく、普段の場で自然にそういった機会が増えるといいなと考えています。
菅野:LGBTQ+カップルは現在日本では婚姻届の提出が受理されないことが社会的問題のひとつになっています。
同性同士では正式な婚姻関係にはなれなくとも、パートナーシップを結ぶなど様々なかたちのカップルがいらっしゃると思いますが、そういった場合のウエディング感についてお考えをお聞かせください。
お二人は結婚式をしたいですか?
Sanikaさん:結婚式はしたいです!したいねって2人で話をしていました。
ただ、法律上結婚ができないと「保険」の問題だったり、例えば同性パートナーと一緒に住む家を借りたい場合も「カップル」や「家族」とは認めてもらえないので、LGBTQ+フレンドリーの不動産屋さんを探さなくてはならなかったりして生活の中で困ることがあるのも事実です。
それでも結婚式には特別な憧れもあります。
「婚姻届」と「ウエディング」は別個であることが世界の常識
菅野:結婚式はいいものですよね。少し話は逸れますが、ブライダル業界で考えると結婚式の定義が曖昧なのではないかと感じます。
つまり『ウエディング』と『婚姻』は別物として考える方がよりナチュラルではないかと思いました。
日本の解釈では、ウエディングの中に婚姻と披露宴がミックスされて入っているイメージですが、グローバルスタンダードでは婚姻とウエディングは明確に分けて考えられています。
“結婚”というものを4つのレイヤーとして考えた場合、
となっており、ウエディングは2-4だという解釈が成り立つのではないでしょうか。
ブライダル業界全体がLGBTQ+フレンドリーであるといいですね。
婚姻届がなくても、様々なカップルが誰でもウエディングを楽しむことができると素敵ですね。
Minoriさん:そのようなメッセージをもっと出していくといいと思います!
現状では、日本では同性婚はできないので、私たちは「結婚」ができないのだと、思考が少しネガティブになる面があると思います。
結婚式・ウエディングパーティー・披露宴は、誰でも家族や大切な人たちと喜びを分かち合えるべき場所だと嬉しいです。
「婚姻届の提出と受理」とウエディングパーティは全くの別物だというグローバルスタンダードが広がると、もっと多くの人がウエディングを楽しめますね。
菅野:社会は「婚姻届の提出・受理」というかたちに固執せず、披露宴やウエディングを、誰もが楽しめる幸せな空間は素敵だと思いました。
未来のウエディングについて考えるいい機会になりました。
最後に、お二人のこれからの仕事のフィールドについてお聞かせください。
Minoriさん:今回の撮影を終えて、モデルの仕事をもっと頑張りたいと思いました。朝、おはようございますとスタジオに入ってメイクさんやカメラマンさんやたくさんの人と関わりながら進む仕事の全てに対して感謝の気持ちで一杯です。
今まではダンス一筋で生きてきましたが、モデルの仕事をさせていただく中で、ワクワクする気持ちが大きく、新しい私に気づくことができました。
Sanikaさん:私はダンサーというフィールドに強い魅力を感じています。影響力のある人間でありたいです。自分の感情に左右されず、私の行動や存在によって少しでも誰かに勇気を与えられるといいなと思っています。
菅野:一人一人の力は小さくても、みんなでいい未来を作っていきましょう。今日は素敵なお二人の撮影とお話しありがとうございました。
インタビューを終えて
今日のインタビューを振り返ってフレンドリーという言葉に感銘を受けました。つまり社会にとって「多様な考え方を受け止める」ことの大切さを改めて考えさせられました。
今回のインタビューはLGBTQ+がテーマとなりましたが、全てにおいてお互いを理解しようとする姿勢そのものが「大きな愛」であり、それが「フレンドリー」という言葉に凝縮されていると感じました。
参考情報:パートナーシップ宣誓制度
2022年11月からはカナックスのある東京都でもパートナーシップ宣誓制度が始まりました。
パートナーシップ宣誓制度は婚姻と違い、配偶者控除など税制の優遇措置がなく、法定相続人にはなれませんが、日本の首都でパートナーシップ宣誓制度が始まることは明るい未来への大きな一歩になるのではないかと思っています。