SG第38回グランプリ(賞金王決定戦)回顧録
前年はボートレース発祥の地大村で史上初の開催となり白井英治の悲願の優勝で感動の結末を迎えたグランプリ(賞金王決定戦)、今年はかつてメッカと呼ばれた大阪の住之江であの峰の41億返還以来の開催となりました。
トライアルが色々ありまして決定戦のメンバーは1号艇が地元唯一のグランプリメンバーで2度目の優勝を目指す石野貴之(大阪)、2号艇が2年前の41億返還の片棒を担ぎ雪辱戦に燃える平本真之(愛知)、3号艇が2年ぶりの決定戦で41億返還の元凶峰竜太(佐賀)、4号艇が今年SG初優勝を飾り2年連続の決定戦となった磯部誠(愛知)、5号艇が10年前の賞金王で決定戦自体も10年ぶりの池田浩二(愛知)、6号艇が2014年に大外から突き抜けて波乱を起こして以来のSG優勝を目指す茅原悠紀(岡山)の戦いとなりました。
レース内容等については後述しますが、今年はシリーズの優勝戦回顧とトライアルで敗れた選手達から触れていきたいと思います。
1.シリーズ戦優勝戦回顧
今年はシリーズ戦の優勝戦の回顧から。準優勝戦はトライアルから回ってきた羽野直也、毒島誠の両名が1号艇で敗れる波乱が起こり優勝戦1号艇には2018年のヤングダービーでデビュー初優勝を飾り今回がSG初優出となった関浩哉、2号艇がトライアルから敗者復活組の深谷知博、3号艇が来年地元戸田で開催されるボートレースクラシック(総理大臣杯)の出場権獲得を目指す佐藤翼、4号艇がSG初優勝を目指す前田将太、5号艇が2010年の笹川賞覇者の岡崎恭裕、6号艇が2012年にシリーズ戦でSG初優勝を飾った篠崎元志の福岡勢3名と40代の選手がいないフレッシュな顔ぶれの優勝戦となりました。
進入は篠崎が前付に動きますが誰も入れずに全艇スローの枠なりでインの関がドカ遅れして2コースの深谷が実質2コース逃げみたいなまくりであっさり先頭に立ち前田と篠崎の福岡勢同士の2着争いは篠崎に軍配が上がり深谷のSG3勝目で幕を閉じました。勝因はスタートでしょう。
深谷については後述のトライアル組の短評で触れるとして、2着の篠崎は弟がシリーズ戦にも出れない体たらくを尻目に今年は久しぶりに18名入も見えましたが後半は機力劣勢等に泣きシリーズ戦回りになりましたが一時期の低迷からの復活の兆しは見えたのではないでしょうか。
3着の前田は今年は江戸川の周年を制して今回も優出、若い頃は事故が多かった選手ですが近年は事故も減りここ2年でSGの常連に返り咲き。SG優出6回とそろそろSG優勝のタイトルも欲しい所でしょう。
5着の佐藤翼は2012年の新鋭王座(徳山)の優勝戦1号艇でフライングなどの辛い過去もありながら実力をつけて一昨年は児島周年でG1初優勝、SG優出3回目とSG常連の仲間入り、こちらも来年は地元の戸田でクラシック、ダービーと出場の可能性はあるのでSG初優勝を目指したい所です。
6着の岡崎、こちらは2年ぶりのSG優出で今年はSG全て出場、篠崎同様実力は確かですが年間通じての安定感には欠けているのでその辺りが改善されてきたら間違いなく2度目のSGタイトルも見えてくるはずです。
最後に4着の関、SG初優出、1号艇のプレッシャーに負けたのかSG優勝戦では近年類を見ないスタート遅れ(.43)は言い訳無用でしょう。昨年津の周年で2度目のG1優勝して以降はSGに定着し実力も付けてきましたが…。戦前は来年はグランプリ!と言っていましたが今回のようなレースをしているようでははっきり行って18名にさえ残ることは出来ないでしょうがこれを糧になるかどうかは本人次第です。
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2.トライアル1st敗退組の短評
ここからはトライアル敗退組の短評です。羽野直也、毒島誠、深谷知博、菊地孝平、土屋智則、山口剛の6名です。
まずは羽野から、今年は児島のオーシャンカップで5コースからまくり差しで突き抜けて念願のSG初優勝を飾りました。20代でのSG優勝は久しぶりらしいですが3月の芦屋周年の優勝戦FでG1の斡旋除外が痛かったのとオーシャン以降はSG優出もなかったのでトライアル1stステージからでした。今回は初戦の5着が響いて2戦目で3着になるも着位差で次点。シリーズ戦では準優勝戦で井口佳典にインを奪われ2コースでスタートも遅れてなすすべなく敗北。最後の最後でケチがついてしまいましたが2年連続でグランプリ18人に名を連ねるようになり実力は確実に付いてきて新たな福岡支部のエースとして来年はさらなる飛躍が期待されます。
次は毒島、今年は多摩川の周年を優勝しましたがSGの優出はなく4月の津の周年でのFでSGの連続出場も途絶えたりと本来の毒島からしたららしくない1年となり今年も1stから参戦しこちらも羽野同様に5着が響き選出順位差(獲得賞金順)でシリーズ戦回りに。シリーズ戦では2年連続で予選トップ通過するも準優では前田将太の2コースまくりに屈し5着と今年は芦屋のオールスターで予選トップ通過を果たすも濱野谷憲吾のまくりに屈したりと安定したインの強さにも陰りが見え、自慢の整備力を持っても立て直せない場面も多く苦しい1年となりました。今期は三国のチャレンジカップでFを切り既にF持ちですが来年こそは巻き返さないといけない一人でしょう。
深谷はこちらは今年は芦屋のオールスターと福岡のメモリアルで優出し2年連続のグランプリ出場で昨年の決定戦メンバーの面目躍如となりましたが今年は1stステージからの参戦でこちらも羽野や毒島と同じ着順で選出順位差でシリーズ戦回りとなり準優勝戦では整備が功を奏し強烈な差しで優出し優勝戦はインの関がスタート遅れて2コースからあっさりまくって2年連続のSG優勝を飾りました。菊地、坪井以降静岡の若い選手は元気がなかったのですが今年は深谷だけでなく河合がSG定着、2年前の浜名湖周年の覇者板橋が鳴門で昨年の賞金王白井英治をまくり差しで金星を挙げ2年ぶりのG1優勝と明るい話題が年末に多かった静岡ですが深谷も来年はグランプリ優勝を目指す事になりそうです。
菊地は昨年SG優勝戦1号艇で2連続で敗れ大村のグランプリではトライアルで不良航法で減点を食らい悔しい1年の雪辱を晴らす1年でしたが11月に徳山周年を制してチャレンジカップで選抜Bで勝利して18番目の椅子を手にしました。トライアルでは羽野達と同じ着順で選出順位差でシリーズ戦へ回るも4日目に調整失敗で予選敗退。トライアル自体でもレースぶりが淡白で中島孝平の欠場でトライアル2ndに繰り上がりトライアル最終戦で3着になり意地は見せましたが年間通じては良いエンジンでも内容が伴わず予選敗退など全体的に見たら不甲斐ない1年でした。
土屋は今年平和島のクラシックでSG初優勝、それ以降は唐津の周年で優出したくらいしか目立った活躍もなかったのですがSG優勝の貯金もあってグランプリ初参戦。初戦大敗で2戦目は6枠で果敢な前付を敢行するも機力劣勢に泣き大敗しシリーズ戦回りに。シリーズ戦でも機力は目立つこともなく準優勝戦まで駒を進めるも敗退。今年SG初優勝を飾りましたが来年は真価が問われる1年になることは間違いなさそうです。
最後に山口、こちらは昨年のトライアルのFでSGやG1に出れない時期が続きましたが唐津のG2優勝を皮切りに桐生周年、多摩川周年優勝、SGもダービー、チャレンジカップと連続優出で前半戦の遅れを取り戻しグランプリ参戦となりましたが…、初戦は6コース菊地の攻めに抵抗し転覆し2戦目は勝っても意味がない1枠で逃げて意地は見せましたがシリーズ戦回りでいきなりF、4日目は負傷で欠場と気合が空回りしてしまった悔しいシリーズとなりました。多摩川の周年で池田浩二を倒したまくり差しはスタートから1マークまでの外張り(外に過剰に寄せて自身の旋回半径を過剰に確保して外側艇の旋回半径を消す。峰竜太とかがこういうレースをよくやるが違反を取られないギリギリでやるので何故か見逃される。厳格に取る審判なら問答無用で不良航法。)で不良航法など優勝戦はやったもの勝ちみたいなレースが目立ち本当の意味で強い選手と言うよりは小賢しい選手になってきた印象を受けました。ただ成績は安定してきているのでSG2回目の優勝も今の成績を維持できるなら近いでしょうね。
3.トライアル2nd敗退組の短評
こちらはトライアル2nd敗退組の短評です。濱野谷憲吾、桐生順平、今垣光太郎、片岡雅裕、馬場貴也、中島孝平の6人です。
まずは濱野谷、今年は芦屋のオールスターで準優勝、常滑周年、唐津周年(このレースで通算100V、24場制覇は後は若松のみ)とG1を2度優勝し復活をアピールしました。トライアル1stではインコースから逃げて初戦でほぼ勝ち抜けを決めて2ndへ進むも2ndでは5枠、4枠、5枠と枠番に泣きながらも最終戦で3コースから果敢に仕掛けて2着も惜しくも次点で順位決定戦行きとなりましたが50歳になりながらも一時期の不振が嘘のような走りで老いてなお健在と言わんばかりの若々しいレースぶりを見せてくれました。多くのベテランファンの方は濱野谷が黄金のヘルメットをかぶる姿を見たいと思っているので厳しい道かもしれませんが今年の走りならまだまだチャンスはあるのではと期待を抱きたくなる1年でした。来年は地元の多摩川のSG(オールスター)や得意水面の大村、丸亀、下関でのSGもあるのも濱野谷にとっては追い風ではないかと思います。
次は桐生、こちらはオーシャンカップ、ダービーで優出し若松と戸田の周年で優勝して参戦。トライアル1stの初戦は逃げて濱野谷同様早々に勝ち抜けし2ndへ。初戦2着と上々の滑り出しも抽選は5枠、6枠と外枠ばかりで5着2本で最終戦も6コースからでは勝負にならず敗退となりました。来年は地元でのSGが2回あるので地元で久々のSG優勝と2度目のグランプリ制覇が目標になりそうです。
今垣は地元の三国のチャレンジカップで優出し久しぶりのグランプリ。1stステージは外枠ながらしぶとく着順をまとめて2ndへ。しかし枠番抽選で6枠、5枠とトライアル全レースで5,6枠という目を覆いたくなる有様で機力差も相まって無念の敗退となりましたが順位決定戦では得意の3カドでまくり切るも2マーク競り合いで片岡に抜かれて道中競り合いになり馬場貴也との追い上げられながらも2着同着というSGの賞典レースでは初の2着同着だったそうです。地元の三国チャレンジカップでは予選トップ通過を果たすも準優2着で優勝戦6着と敗退と悔しい思いもしましたが久しぶりに今垣が元気な1年で昔からのファンは嬉しい1年でしたし来年も年齢的には厳しいかもしれませんが頑張ってほしいですね。
片岡は三国のチャレンジカップで優勝し2年連続でグランプリ参戦、1stステージは着順差で勝ち抜けましたがやはり2nd組との機力差は大きく2枠、3枠と抽選運は悪くなかったのですが見せ場も大敗し順位決定戦で今垣と馬場の競り合いの間隙を付いて勝利しました。2年連続のSG優勝は立派ですし名実ともに香川のエースとなりました。来年は地元丸亀でのSGもあるので3年連続のグランプリ出場の前に桐生同様地元SG優勝が目標になりそうです。
そして馬場です。前年のMVPは今年も福岡のメモリアルを制して獲得賞金2位でグランプリ参戦となりましたが初戦の1号艇で茅原のまくりに沈みターンマークに激突し転覆して妨害失格となり初戦で事実上の終戦となりました。以降は腐ることなく道中で見せ場を作り2着、3着とまとめましたが初戦の事故があまりにも痛い結果となってしまいました。2年連続でトライアル1号艇での失態やSG優勝戦では児島のオーシャンカップ1号艇で敗れたりとここ一番での勝負弱さや精神面の脆さを露呈してしまった気がしますし来年に向けてはその辺りが課題になりそうです。
中島は今年は地元の三国の周年を制して18人入り、トライアル1stステージでは初戦5枠で2着、2戦目は深い進入をものともせずインから逃げて堂々トップでトライアル2ndに進出初戦はカドから果敢に仕掛けるも茅原に止められて差しに切り替えるも転覆した馬場と接触して転覆。翌日発熱で欠場となり2年ぶりのグランプリは無念のリタイアとなってしまいました。実力者ではあるのですがなぜかファン投票では票を稼げなくてここ4年オールスターには出られてない(19年オールスターで周回誤認でSG選出除外期間も含む)のでそういう部分も考慮すると明らかに実力が足りない組織票で出てくるような奴よりは中島みたいな実力者に票入れて上げてほしいなという気持ちはありますね。
4.決定戦レース回顧
ここではグランプリの優勝戦のレースについて自身の予想も交えて回顧していきます。
戦前の想定では6枠の茅原がどういう動きをするのかと今節は2コースのピット離れ遅れ(トライアル2戦目で峰がレース後のコメントで異常回転が入って遅れてしまったとコメント、3戦目で磯部も遅れてレース後に異常回転が入ったとコメント)が度々見られており平本が同様に遅れるようなら進入も相当縺れるのでは?という要素があり進入が例年見られる内側志向が強い外枠選手による一か八かの前付というよりは離れで出るか普段動かない選手が動くのか?という意味で進入が困難なレースではありましたが茅原が2015年のように動くケースも想定して123456のオールスローか本番は石野を深くして外3人は引いての石野110近辺の123/456か茅原が動いて1236/45か峰がカド引いて126/345の想定の複数パターンを想定し石野の仕上がりが断然で2コースが若干機力が劣る平本で3コースが出足良好の峰で茅原が搦めての1=3-6か深い進入になった際に磯部が仕掛けてやり合った際に池田が突き抜ける5-3-26くらいかなぁと思ってましたが実際のレースは平本が離れ遅れて134562の状況から茅原が回り直して13452/6で石野と茅原が好スタートを切って大外から茅原が仕掛けますが平本に止められてながらも絞りにいって茅原の締め込みに石野以外の4人が抵抗するかのように握り合い石野だけが悠々と1マークを旋回し平本が転覆し縺れる展開で2コースから握った峰が2着で3コースから握った磯部が3着で1マークでレースが終わる住之江開催では2連続のアクシデントレースで石野だけが強さを見せつける内容で2度目のグランプリ制覇を成し遂げるという形で幕を閉じました。
個人的には石野だけがレースをして石野を倒そうという意地を見せたのは茅原のみで残り4人は茅原に抵抗する形で握り合い互いを潰し合うだけで本来の力を出せないままで終わったレースだったなと思いました。
そういう形になったのが平本のピット離れの遅れが要因の一つだと思います。石野以外の選手は進入からそれぞれの想定していた展開とは違う展開になり石野だけがどんな形であれ逃げるのみというただ一人ブレる事がない状況だったのでそういう意味ではちゃんとレースをしたのは石野だけで茅原がスローでは勝ち目がないので回り直してダッシュでという戦い方を選択したので石野以外だと茅原のみが進入の想定は違えど想定していた戦い方の一つを選択してレースしていたので残り4人はただ数合わせで終わって茅原に締められるくらいなら自分から仕掛ける形になったのも想定した起こし位置とは違うのと今年の4月からSG優勝戦のスタート事故の罰則が1年から2年に強化されたのもあり無理なスタートが行けなくなった事も影響してたのかなと個人的には感じました。
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5.2着以下の選手達の短評
ここからは石野以外の選手の短評を。
まずは平本、1stステージからしぶとくポイントを稼いで2年ぶりにグランプリのファイナルへ進みましたが決定戦はピット離れで遅れてしまい5コースになり1マークは茅原の引き波に足を取られてまたもや転覆の悔しい結果で終わりました。ここ2年は1stステージから勝ち上がった選手の優勝でしたが1stからの勝ち上がりは平本のみで今回は1stと2ndの選手での機力差がかなりあったシリーズだったと思いました。今年は徳山のグラチャンで優出しましたが最後にケチがついてしまいました。
次に池田、10年ぶりの決定戦進出でしたが3戦目で1号艇を手にしながらもスタート遅れて石野にまくられ4着になり5枠で4コースから茅原の攻めに抵抗して握り合う形になり1マークで終了でした。今年はSG優勝やG1優勝こそないもののSGはクラシック、グラチャン、オーシャン、チャレンジ、グランプリと優出し相変わらず現役屈指のレース巧者ぶりを見せつけましたがトライアル3戦目でスタートを決めていたなら決定戦1号艇は池田だった可能性はあっただけに3戦目のスタート遅れが痛恨でした。来年はマスターズ世代になるので円熟の域に達してなおさらなるタイトル獲得を期待したいですね。
次が茅原、久しぶりの決定戦進出でしたがトライアル初戦は2コースからまくりを決めて2戦目も3着と上々の滑り出しでしたが3戦目で2コースから峰と濱野谷の引き波に沈められ6着、これにより6枠になり平本が遅れた事もあり5コースまで入りましたがスローでは勝ち目がないと踏み回り直して6コースからダッシュで攻めましたが攻めきるまでには至らず1マークではただ回るのみで終わりました。今年は年間SG6優出で芦屋の周年記念も優勝と近年にない程の安定感を見せ進化を遂げた1年でしたし来年は2つ目のSGにも手が届きそうなくらいにレースぶりも荒さが薄れて課題だったモーター出しも改善されて今後は中国地区のナンバーワン選手になれそうなくらいの活躍でした。
そして磯部、2年連続で決定戦進出も決定戦は伸び仕様にしてダッシュで練習をしていたが本番は想定と違う形になってしまったというように3コースは想定外だったのかこの辺りは経験値の低さが出てしまい1マークは峰に飛ばされて2年連続の3着となりました。今年は徳山のグラチャンでSG初優勝を飾り児島のオーシャンカップで準優勝、三国の周年記念も制して名実ともに愛知を代表する選手になりました。来年は得意の丸亀でのSGもあり来年こそは決定戦で更に上の着を目指したい1年になりそうです。
最後に峰、予想屋から金を出してもらおうとして4ヶ月出場停止+1年半SG除外という41億返還以降の転落ぶりは天国から地獄くらいのものでした(個人的には選手会側からの更なる処分もあるものだと思ってました)が1月にG1復帰し津の周年を制し記念を走ればほぼ高確率で予選突破の安定感を見せ(節間2回の不良航法もありましたが)、SG復帰戦のダービーでは大幅な本体整備が大当たりで予選トップ通過から見事に24場制覇、通算100Vの盆と正月が一度に来たかのようなメモリアルVを飾り賞金トップで2年前の雪辱戦に挑みましたが3コースまくり差し以外想定してなかったようで2コースになりスタート後手では石野を倒すこともままならず2着確保の為に1マークは握って回るだけでレースを終えました。ちなみに進入の際に待機行動違反を取られてましたが4の磯部よりも後に2コースに向けた事による割り込みなのか待機行動中の右転舵なのか詳しいことはわかりませんが2年前は妨害で今回は待機行動違反と事故点プラスしないといけないルールでもあるのかなと思いました。
個人的にはあれから心を入れ替えたのかと思ってましたが、相変わらず自意識過剰な発言なども目立ちダービー優勝時の表彰式はレース内容の回顧とかもそっちのけで自分語りの独演会を始め自分が今まで見たSGの優勝者表彰では見たことがないような異様な雰囲気はさながら芸能人がやらかした際にファンの前に出てきてするような謝罪会見のようなもので寒気がするほどでした。
僕は彼が嫌いなのでずっと彼を強いとは思っておらず小賢しい選手だという評価をしていてSGで売り出し中の頃に感じたスケールの大きい思い切りの良い走りから正統に真っ向勝負で相手を倒すような選手になるのかなと思ってましたが、15年のMB記念で篠崎元志とのデッドヒートで敗れて以降はスタート時に必要以上に斜めに起こしたり道中猛然と突進したりするような他者の長所を消して、相手の技量に甘えた走りをしていて驕り高ぶる今の峰みたいになってしまって本当に残念だと思ってるんですよね。
エンジン出しは上手いしスタート事故も少なくスタートも早いので番組マンによる優遇番組の編成(1号艇に事故パンF2で6コースで事故点消化の選手を配置して2号艇に峰を置き峰のインになるような番組等)や懐取りまくるわ斜めに寄せて走るわ相手が避けてくれる前提の突進など小賢しいレースなどしなくても本来は真っ向から走っても8点勝率は取れる実力はあるとは思ってるんでレーススタイル含めて変わらなかったのは本当に残念でならないですね。今村豊(引退)が言ってましたが本当に上手いやつは当てなくても勝てるという言葉は彼自身や彼のファンにとっては耳が痛い言葉かもしれませんね。
6.勝者
ここからは勝った石野貴之について。2019年にグランプリを制して以降2021年に福岡のクラシックでSG9回目の優勝を飾るもグランプリは1stステージで事故に巻き込まれシリーズ戦回り、昨年も枠に恵まれずシリーズ戦回りとここ数年はA1陥落寸前まで勝率を落としたりと不振の時期もありましたが今年は平和島のクラシックで優出し、芦屋のオールスターでSG10勝目の優勝、徳山のグラチャンで準優勝と前半戦は賞金戦線をリードしてきましたが9月の唐津の周年でFを切り今年は獲得賞金4位で参戦し戦前から引きたいとコメントしていたGWで優勝した時の88号機を引き当てそのパワーを存分に引き出して初戦は2コースから3周2Mで桐生順平に抜かれ3着と悔しい結果でスタートするも2戦目は1枠を引きインコースから完勝し3戦目は4コースから.03のスタートを決めてまくり切り決定戦1号艇を手にして前日コメントでは優勝しますと優勝宣言をし決定戦では進入が乱れながらも.12のトップスタートを決めて1マークで他を寄せ付けないターンで勝負あり。2度目のグランプリ制覇を大観衆の石野コールの中で決めました。
勝因としては引きたいと言っていたモーターを引き当てた事とトライアルの3戦目の4コースからの.03のスタートで勝利した事(トライアルもSG準優勝同様罰則あり、1年間のSG選出除外)もそうですけど優勝者表彰で負ける要素がなかったというように賞金王の舞台とは思えないくらいにまるで一般戦であるかのような平常心で挑めた事が大きかったとは思うんですけど地元唯一の参戦で期待も凄かった中でそんな重圧さえも感じさせない程に普段通りのレースをして他を寄せ付けない内容で勝ち切るのはよほどの事だと思いますし走り慣れてた住之江だったことも石野にとってはアドバンテージだったとは思います。
石野自体は懐もあまり取らない荒いレースも少なく大阪支部の選手にしては珍しくクセがない正統派の選手なのでこういう選手がお手本のようなレースでタイトルを手にした事は大阪の若い選手達にとっても刺激になるでしょう。来年のSG開催地もSG優勝歴がある大村、丸亀と相性も良い場所が多くグランドスラムとグランプリ連覇もあり得ると思わせるくらいに今節の石野には隙がないくらいの強さでした。
7.最後に
石野貴之の2度目のグランプリ制覇で終えた2023年でしたが、今年はSG初優勝が3人(土屋、磯部、羽野)と初タイトルの選手もそこそこいる年でしたし去年に続いて女子のSG優出(オールスターの倉持莉々)があったりと話題も多かったですね。
来年はどうなるかはわからないのですが、40代の選手の優勝は石野のみと後は30代の選手と20代の羽野と世代交代は徐々に進んできているのかもしれないなと思いました。
グランプリに関しては住之江の開催ではナイターになってからは事故が多発しており冷えてモーターパワーがより発揮されるようになった中で乗りにくいと言われる住之江の特殊な水面も相まって事故が起きやすいようにも感じましたし来年も多分事故が多い予感がありますがその辺りどうするんですかね。
それと今年10月に琵琶湖周年のドリーム戦で行われたゴールデンレーサードリーム(ゴールデンレーサーという成績優秀者に与えられる称号、2019年の白井英治以降現在12人がゴールデンレーサー)が開催されましたが、ゴールデンレーサーに関してはSG優勝戦のフライングや出場停止に該当するような事をした奴は剥奪されるそうなのですがそのルールなら白井や峰や井口なんかは剥奪されると思うのですがこの制度は個人的には意味があまりないようにも感じますね。
そもそもSG、G1の成績優秀者というなら松井繁や池田浩二や今垣光太郎や濱野谷憲吾などのトップクラスの選手が入っていないのはおかしな話であってメダル制度以降のものだというならそれこそ大村でやっている殿堂入りでいいのでは?と思ってしまうんですよね。
売上重視のスタート事故の罰則強化や形骸化された表彰制度など個人的には今一度あり方を見直すべきでは?と言いたいですが変わることもないでしょうね。
あとは今の競艇のトレンドとしては伸び仕様にする選手(代表的なのは菅章哉、高田ひかる、堀之内紀代子)が増えてきた一方でインコースを主戦場とするイン屋(代表的なのは西島義則、今村暢孝、石川真二等)は絶滅危惧種になりつつあったのが赤岩善生がようやくイン屋に転向したのか4,5,6枠の際は前付に動くようになりましたし若松周年から湯川浩司が離れを駆使して前付でインを狙うようなスタイルに転向したり(一過性のモノかもしれませんが)絶女子で池田真奈美だったかな、女子なのに混合戦でも前付する珍しい選手が出てきて滅危惧種だったイン屋もなんだかんだで増えてきたようので個性派も形を変えながらも生き残ってるので進入の駆け引きも競艇の楽しみだと思っているので進入を予想する楽しみがある選手はもっと増えてきてほしいですね。