ドリトライを読みました
凄い久しぶりにnote書きます、今更ですけど去年の競艇の賞金王の記事で300円スパチャくれた方ありがとうございました。
今回は週刊少年ジャンプで連載されていたドリトライの単行本(全2巻)を買って読んだので読書感想文を書きます。
1.概要
この漫画は週刊少年ジャンプで2023年5月から9月までの間に連載されていた終戦直後の日本を舞台にしたボクシング漫画(著者:雲母坂盾、監修協力:成田龍一)です。ちなみに監修の成田龍一さんは有名な歴史学者の先生です。
2.あらすじ
昭和21年(1946年)4月、戦争に身寄りをなくし戦災孤児になった大神青空は、病気の妹を救うために金が必要だった。
家の焼け跡から母の形見の着物を見つけるがそこで集英会のヤクザ達に奪われ傷だらけで妹の星(あかり)の下に戻ると星が血を吐いて倒れていた。
妹は結核だとわかり、形見の着物を取り戻すために集英会の事務所に殴り込みヤクザ達に袋叩きに合うも立ち上がり心の強さが違うんだよとヤクザを殴り倒した所に虎威組(とらいぐみ)の組長夕華という女ヤクザが現れ青空を拳闘の世界へスカウトするのが1話です。
そして拳闘を生業とする虎威組と盃を交わし妹の入院費を稼ぐために地下拳闘の選手になるために会員証を手に入れて地下拳闘の世界で強敵達と戦い右手が異様に太い生野や父親と同じ部隊にいた正統後継者を名乗る虹村凶作を倒し、虹村から父親の夕日の居場所を教えられ妹の余命が幾ばくもない状態になった際に父親を連れてくるといい夕華と共に下関に向かい父親と再会するが父親は戦争により深く傷ついており心の強さが無意味であるといい、青空の心の強さが無意味ではない事を証明して父親を連れて帰るといい父親と最後の戦いを繰り広げ父親に勝利した青空は父親を連れて妹の下に帰り妹は半年持ちこたえて翌年結核の治療薬が開発されそれにより妹は助かりそれから数年後青空はボクサーになるもシライ(白井義男だと思われる)に負けてチャンピオンにはなれず妹は元気になり、時は流れ2023年青空の孫大河はブラック企業に勤めていたが祖父である青空が亡くなったと知り福井県に帰郷。
そこで祖父が心の強さで夢を追いかけていた事を知り、自分の夢である靴職人を目指して再び歩き出すという形で物語は終わりますが要は打ち切りです。
3.登場人物
大神青空
本作の主人公、幼少期に拳闘のチャンピオンになった父親に憧れ父親のいう心を強く持てという言葉を胸に終戦直後の日本を妹と二人で逞しく生きているが病気の妹を救うために金が必要で形見の着物を取り戻すために殴り込みをした所を虎威組の夕華にスカウトされ色々あって盃を交わして組員になる。地下拳闘の炎涛拳技会の試合に出場し右腕が異様に太い和泉生野相手に何度もパンチを受けては立ち上がり死霊みたいなオーラを出しながらパンチを叩き込み勝利し、正統後継者虹村戦では父親の書いた本に記されていた技の極意を習得し瀑受転巌(大層な名前をつけてるが要は見切りからのカウンター)で勝利し、虹村から父親である夕日の居場所を教えられ下関に向かい、戦争により深く傷つき心の強さなど無意味だと言う父親の目を覚まさせる為に最後の戦いに挑む。
父親はどうみてもギリシャ神話の神みたいな格好をしてパンチ一つでリングごと吹き飛ぶイカれた強さでモブごと吹き飛ばし青空は近づく事も出来ない。
諦めかけたその時、夕華や黒岩が青空の背中を支え心の強さで何度でも立ち上がり前に進む姿に吹き飛ばされてたモブ達も青空を支え「ただのリトライじゃねぇぞ、何度でも心の強さで立ち上がり前に進む、ド級のリトライ、ドリトライだ!!」というタイトル回収をして父親に心の強さで拳を叩き込み父親の目を覚まさせた。
その後は父親と共に炎涛に出たり巡業に出たりしてプロボクサーになるがチャンピオンにはなれずに福井で家族の為に工場を興した。2023年死亡。享年93歳。葬式ではこれまでの人生をダイジェスト形式で流す動画で日本バンタム級タイトルマッチで戦っていた様子が描かれている。
大神星(あかり)
青空の妹、結核で倒れ余命幾ばくもなかったが父親と再会し心の強さか知らないが半年生き延び結核の治療薬が開発され虎威組が薬を手に入れたおかげで元気になり孫に青空が心の強さで頑張ってくれたおかげだからお前もやりたいことをやれと背中を押した。
夕華
虎威組の組長、元々は長野の大地主の娘で夕日とは腹違いの兄妹。実母の厳しいしつけに嫌気が差し夕日と共に家を出るがその際に母親から竹槍で目を潰された。その後は夕日と二人で拳闘の世界に身を置いた様子が描かれている。
戦後の食糧難を乗り切るためにヤクザに身をやつし若い拳闘家を育てている。その後は組を畳みボクシングジムを始めた。
黒岩啓示
虎威組組員、炎涛拳技会の会員、空手の正拳突きを応用した松刺爆撃という技を使う。
和泉生野
夢洗の用心棒、東京大空襲で防空壕に閉じ込められた際に妹を救うために右手で土砂を堀り脱出する。その際に右手が異様に太くなりその腕から繰り出される強烈な右ストレートは「ウォーハンマー」の異名を持つ。青空と戦い何度も右ストレートを繰り出すが死霊が取り付いたようなオーラを出す青空のタフネスさに錯乱状態になりガンダムSEEDDESTINYの最終盤の錯乱状態になってルナマリア・ホークを撃墜しそうになったシン・アスカのように妹に拳を向けるが青空に止められ青空に一撃をくらい敗北。その後は妹共々組の世話になる。
和泉凛
生野の妹。
虹村凶作
油屋の長男として生まれたが終戦して内地に戻ると家や家族はなくなり全てを失い炎涛拳技会に。青空の父親夕日と同じ部隊にいた。正統後継者を名乗り瀑受転巌を使いこなす。戦時中は満州に配属され夕日が仲間達を手にかける所を目撃してしまい恐怖から逃亡してしまう。
初登場時に心が強ぇ敵なのか?と言われていたがその時の恐怖が忘れられず坊や哲に出てくる印南が愛用していた事で有名なヒロポン(覚醒剤、作中の時代当時(1946年)は合法だったが1951年に覚醒剤取締法が制定され違法薬物となる。)を常用している。
青空に恐怖心を見透かされ真・瀑受転巌により敗れ、夕日は下関にいることと妹は長くないぞと伝え反則を犯した事により射殺された。
ネット上でよく見かけるドリトライのコラ画像はこいつの顔が使われる事が多い。
大神夕日
青空の父親、拳闘の元チャンピオン。戦時中は満州へ出兵。どんな苦痛も心の強さがあれば乗り越えられると信じていたが極限状態の中追い詰められた仲間達には夕日の心の強さで耐えればどうにかなるという言葉は仲間達の心を完全に追い詰め同士討ちに発展しその際に仲間達を手にかけてしまい仲間達を追い詰めてしまった事を悔やみ自ら命を絶とうとするがそれも叶わず下関に流れ着き世捨て人となる。
心の強さで今まで頑張ってこれたという青空に対して心の強さは無意味であると示すために拳を交える。
ギリシャ神話の神みたいな格好をして拳で海を割りモーゼみたいに歩いて登場しパンチ一発でリングを吹き飛ばし青空に見えない希望にしがみつき耐えることが美しいという心の強さなんて誰かを傷つけるだけだと示すがド級のリトライで立ち上がり前に進む青空の心の強さの違いを見せつけられ敗北し和解。その後は息子と共に炎涛に出たり巡業に出たりして罪を償う為に旅に出た。
ネットで見かけるドリトライの語録(※1)の大半はこいつのセリフでほら虹村、心の強さでもう一丁や新しい価値観を受け入れろなど語録の大半はこいつ。
大神大河
青空の孫、ブラック企業に勤めており上司にいびられていた。青空の死を知り帰郷。心の強さで前に進み会社をやめて靴職人を目指す。
4.感想
この作品はボクシングを題材にしておりテーマは心の強さなんですが正直な所ネットのミーム以外見所があんまりないです。
そもそもボクシングやるにしても主人公が肉体的精神的タフさ以外取り柄がなく殴られ続けて得た見切りからのカウンターくらいしか技がなくそれも大して意味がない。
テーマの心の強さを描くにしてもそれ自体は古くから色んな作品で描かれているしそういうのは少年漫画での話を盛り上げる為に絶望的な状況下でも希望を信じて抗うとかそういう姿を見せるというような一種の要素でしかなくそういう心の強さを描いた有名なシーンなら「ARMS(皆川亮二著作、七月鏡一原案協力)」の登場人物である新宮隼人とキース・バイオレットの二人に縁のあるママ・マリアが言っていた「人の足を停めるのは絶望ではなく”諦観”(あきらめ)、人の足を進めるのは希望ではなく”意志”」というセリフがあるんですがこのセリフはバイオレットが隼人に対して言ったセリフで後の隼人対バイオレット戦で隼人がバイオレットに言うんですよ。巻末で監修協力してた成田龍一先生も何度でも挑戦し続ける強さこそが心の強さだと言ってるんですが要するにARMSのこのセリフに近いんですよね。ボクシングを題材にして描いたわけで読み切りとかならいいんですがどうしてこれで週刊連載で勝負しようと思ったのかジャンプの編集部の考えがイマイチわからなかったです。
読み切りの「心が強ぇんだ」は主人公は青空なんですが夕日とは兄弟関係になっており舞台は現代で青空は心臓に病を患っており夕日はボクシングの有望株みたいな立ち位置になっています、そして青空と夕日が事故に遭い青空だけが助かり弟の心臓を移植され生前弟と戦う予定だったチャンピオンが青空のもとに訪れ自分と戦ってほしいといいます。そして青空は心の強さで弟の想いを継ぎチャンピオンに挑み心の強さでチャンピオンに一発パンチを叩き込みチャンピオンを目指すという話なのですが、こちらは辛いことがあって不貞腐れていても何かが変わるわけでもなく目を背けず命ある限り心の力で立ち上がらなければならない。というのがこの作品のテーマでこの読み切りはいい作品でした。
なので読み切りの評判が良かったから連載にという事だったのですが、ジャンプでやるにしても題材的にも少年誌向けではなかったし作者の力量的にも厳しかったのかなとは思いました。
ただ打ち切り後ネット上でミーム化したので色んな意味で爪痕は残した作品だったなと感じてます。
これのコラのせいで五条悟見る度にド級の五条悟、ド条悟(※2)が浮かぶようになってしまって最悪ですよ。
※1
※2:ネットでド条悟で検索すると出てくる。