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#039 人生の第二ステージへ

敷かれたレールの上を歩くのは楽だ
マニュアルに沿って物事を遂行していくことも 台本通り文章を読み上げることも
比較的そちらの方が気持ち的な負担は少ない

イレギュラーやミスの対応を除けば 目標に向かってその通りに進んでいくだけだ

思春期を迎えた頃 将来の夢というのを度々答えねばならなかった 何かしらにつけて「将来」を意識させられ自分の未来と向き合わなければならなかった

田舎に育って 周りの大人のモデルにバリエーションはそれほど多くない中で 何を夢見ればいいのかと 少々反抗的な態度でいた

やりたいことなんてない 自分がこんな風な大人になりたいという将来像は全く見えなかった これっぽっちも

自分が目指す職業について調べるという課題は苦痛だった 文章を書くのが好きなわたしに 当時の担任が勧めたのは「詩人」であったが 当時のわたしからすれば「詩人」や「作家」も「アーティスト」でありその立場は芸能人と同等だった つまりこの田舎からその世界に通ずる道はないものと思っていた テレビの中や書籍、紙面を通して人に影響を与えることができる人というのは 実在するかどうかもわからないような人たちなのだ そういう世界を目指すなんていうのはあまりにも無謀で誰もがはなで笑うと思っていた

「将来の夢」は夢みたいな話のことじゃないということは10代のわたしにもわかっていた 大人が言うそれは現実的に食べていくことができる社会的な職業のことである

この田舎で不安定な職についているおとななど皆無だった

しかし大人はわたしたちに将来の夢をしきりに求め続けた 仕方なく描いた夢は友人が描いたもので 果たして自分が本当にやりたいかということは考えたこともなかった 

中学も高校も将来の夢を求められればそれ一本でしのいだ いつまでたってもそれ以外に自分が目指したいと思う将来を描くことができず 自然とレールは口実に使っていた職業へと伸びていった 大学ではなく専門学校に進学を決めたのも 早く職について周りの大人を納得させたかったからだ 


無事に口実として掲げた夢を叶え いつしか本当にその仕事が好きになったけれど わたしは6年ほどで会社を退いた 次に大人が期待するのは結婚だ 女性として生まれると世の中から求められるのが 結婚と出産である 社会的な圧力が知らず知らずのうちに刷り込まれていて 周りが次々結婚していく中 自分もそういった社会の構図になんの疑問も持たずに結婚した そして数年後に子供を授かる 

現在 まだまだ子育ての真っ最中で母親としての責務はあれど 自分がまず人の子供として生まれ育ったその子供の責務というのは果たしたと 最近よくそんなことを考えるのだ

大人が望む通り夢をみたし それに向かって努力し 結果叶えた 数年ではあるが社会につとめることができた 結婚し子供を産むということもある種の社会貢献だ

自分は社会が求める自分を生きてきたのだ 求められたものはまっとうしたと思っている

だからこれからはどう生きるか 自分のために生きる 

これからが自分の人生だ そう思えた今こそが始まり



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