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#015 ガチャの醍醐味

台湾の幼稚園では自分の誕生日にクラスメイトにプレゼントを配る習慣がある(もちろん強制ではない)

今年は娘が自分でプレゼントを決めた モルカーというキャラクターのガチャガチャで中身はプルバック式の車のおもちゃだ キャラクターの種類だけが違う クラス全員がモルカーを知っているし 男女分けることなくみんなで同じにできるからこれがいいとのことだった

日本でもそうだと思うが最近のガチャというのは安いものではなく 台湾も同様でこのモルカーのガチャは一回100元(約370円)もする 普段気軽に楽しむということはできない だから娘もこれを機に自分でガチャを回すこと自体も楽しみにしていたところはあったと思う


いざやるぞと気合とコインを入れてハンドルを回す 力が足りないので夫が横でサポートすると 夫が「あれ?」と言い出すので覗き込む まだ商品は落ちてきていない 反射的にハンドルに手をかけて気づく 先ほどの夫の言葉の意味 「おかしい」ハンドルは回り切ってお金は確かに中に消えていったのに 引き換えに出てくるはずのものがない 

店員を呼んで事情を話して見てもらうと どうやら故障しているらしかった 店員はカバーを開けた状態のまま 「好きなの一つ選んでいいよ」と言った

ありがたいのだが その なんとも申し上げにくい あと15回分必要だなんてことは

言葉に詰まっていると 「一回じゃなかった?」と聞いてくれた おかげで言えた 「実はクラスメイトに配るから全部で16個必要なの」 と

「そういうことか!それなら残りの15回分を現金で受け取るから16個分選び取ってくれる?」 と言って娘が選び切るのを待っていてくれた


ガチャガチャの醍醐味とは? という状況ではあったけれど これはこれでなかなかない経験でもあるし そもそも五歳児が16回も飽きずに回すことができるのか考えてみれば微妙である

娘の顔を見てみると残念そうにはしていないし みんなに配る楽しみの方が勝っていたようだった 自宅に戻ると大量のカプセルの中身を確認して 自分はピンク色のカプセルのものが欲しいと言った その時点で開けることもできたけれど当日みんなと一緒に受け取る方が楽しいんじゃないかと思って あえて開けなかった

前日に娘と一緒にラッピングして その時も娘はピンク色のカプセルを楽しみにしていた だから当日になって娘が持ち帰ってきたのを見たときは驚いた

カプセルの色は赤だったのだ

「みんなに配るときに最初に自分の分をキープしなかったの?」と聞くと 「みんなに先に選んでもらいたかったから自分は最後に残ったものを持って帰ってきた」という

あれだけ欲しがっていたのに わたしは聞き返した それで良かったのか 本当はピンクが欲しかったんじゃないのかと 娘はこう答えた「欲しかったけどピンクは人気だったしみんなに先に選んでもらうのがいいと思った みんなが喜んでくれたのが嬉しかったからそれでいい」

驚いた

娘の優しさは一体どこからきているんだろう 感心すると同時に娘の誕生日なんだし明らかにこれがいいと決まっていたのだから 自宅でキープするかラッピングを変えて最初から娘のはこれだとわかるようにしておけば良かったんじゃないかとも思い申し訳なくなった

だけど娘がその場でこのように感じ対応したことを受け止めてあげることが大切なのかもしれないとも思った 欲しいものを手に入れることよりも みんなの笑顔がみれた喜びを知っている娘 「みんなにありがとうって言われて嬉しかったけど ちょっと恥ずかしくてマスクの下でニヤついちゃった」 と言いながらまた照れている娘が本当に心から愛しい

5歳の誕生日 改めておめでとう


そうそう、最後の一個を持ち帰った娘は ある意味でガチャの醍醐味を味わったのかもしれない 何が当たるか最後までわからなかったのだから



*ちなみに今回ガチャのためにわたしが日頃からコツコツためていた50元玉を大量に使うことになった 後から考えれば代金は店員に直接払ったのだから何も50元玉で払う必要はなかった せっかく50元玉を使ったのに普通にガチャを回せなくて悔やんでいるのはむしろわたしの方だったのだ


Anker FM↓


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