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#035 買うか否か

30代に入り就職、結婚、出産などの大きなものも含めて 経験値というものはそれなりに上がってきている ところがいまだに「初めて」に遭遇することも少なくない

ここ最近でいえば 人生で初めて自分自身でゲーム機を買おうとしている

わたしにはふたつ上の兄がおり 子供の頃からゲーム機器には馴染みがあった それでも特別ハマり過ぎることもなければ 自ら欲しがってゲーム機を手にしたことはない

ところがここ最近になって任天堂Switchが欲しい

ちょっとというかだいぶ乗り遅れたとは思うが だらだらと繰り返した自粛生活ですっかり出不精になったわたしは 予定がない日は一日中youtube三昧なんてことが当たり前になってしまった 投稿されている動画の中にはゲーム関連のものも多いので目にする機会が多くなっていた 初めは自分がやったことのあるマリオカートやボンバーマンなどの動画を見て楽しんでいたのだが そのうちやったことのないゲーム動画も見るようになって 配信している人たちが楽しそうにしているのを見ているとだんだん自分もやってみたい気持ちが大きくなっていった

ゲーム関連の動画というとプロ並みの腕前の人の実況動画なんかをイメージするが 上手い人から初心者レベルの人までが混ざって一緒に楽しんでいるものだと 説明もわかりやすかったりして あまり経験がないわたしでも楽しむことができる


もうひとつわたしのゲーム欲に火をつけるきっかけとなった出来事がある

今年の春頃に昔のバイト先の友人から連絡があり 突然オンラインゲーム会に誘われたことがあった 彼女はもちろんわたしがゲーム動画を見ていることなど知らなかったし そもそも連絡を取ることも久しぶりであった たまたまそのバイト先が一緒だった仲間が10人ほど集まってオンラインでゲームをすることになったらしく 懐かしいだろうしどうかと誘ってくれたのだった ゲーム機はもちろん持っていないがスマホにアプリをダウンロードすればゲーム機を持たない人もオンラインで参加できるというので参加することにした 

ゲームとはしばらく無縁だったわたしがふたつ返事で参加を決めたのはそのゲーム動画をなんども見たことがあったからだ それはあらゆるチャンネルで投稿されていた「Among us 」というゲームだ 最近ではテレビ番組の企画でも使われることがある このゲームは4人から15人でできるマルチプレイヤーゲームである プレイヤーたちは宇宙船に同乗するクルーとしてそれぞれ与えられたタスクをこなしながらミッションを遂行するというストーリーなのだが クルーの中にはインポスターと呼ばれる裏切り者が紛れ込んでいる インポスターはクルーの目を盗んでクルーのミッションを妨害したり クルーを攻撃することができる クルーからインポスターと見破られることなくクルーたちを攻撃し続け クルーの人数をインポスターサイドと同じになるまで減らすことができればインポスターは勝利する クルーはタスクをこなしながらインポスターを暴き出し宇宙船から追放することができれば勝利する ゲーム中に開かれる会議での心理戦がゲームの勝敗のポイントとなるため人狼ゲームなどに似ている


動画での予備知識はあったが 実際にやってみるとやはり難しく あまり上手に振る舞えなかったのだが それでも久しぶりのメンバーでダラダラと近況トークなんかも交えながらゲームをしている時間はとても楽しかった

オンラインでできるのだから集合するのも簡単で 今回はLINEの音声通話で会話しながら進めたのでカメラ映りを気にする必要がないのも良かった 

これはいい

素直にそう思った 今さらだということはわかっている 日本では2年前の自粛期間に多くの人がこの素晴らしさを実感していたのだから

それでも楽しいという気持ちに早い遅いは関係ない この一年でやりたい100のことの中にも「自分が楽しいと思う方に向かう」という項目があるので これは素直に楽しさ優先にしてもいいのではないかと思った


ただし そんなすぐにじゃあ買おうか と言えるほどの価格でもない 長い目で見ても買うか否かを冷静に検討する必要がある

そこで思い出したのが 洋服を買うときに 購入を検討しているその一着と自分が持っている服で3パターン以上のコーデが作れる場合は買いだ という考え方だ
そのやり方で改めてわたしがSwitchでやりたいゲームがいくつあるかを考える 

すでに3つ以上ある つまりこれはGOではないか

いいのだろうか 買ってしまって本当にいいのだろうか 

何を恐れているのかというと ゲーム漬けになる自分の姿がはっきりと見えていることが怖いのだ 夜中までゲーム三昧で日常生活に支障をきたすというか もう現実世界に帰って来られなくなったらどうしよう とそんなことを考えて これは麻薬に手を出すようなことなのではないかと 現実派の自分が引き止めているのだ 

自分がそもそもオタク気質であることは認識しているつもりだ ただ生活上で何かにのめり込むことによって それまで築いてきた生活スタイルや人間関係を壊してしまうことをいつも恐れていた だから理性という現実的な部分を常に前衛にいていたのだ

今までの自分の生き方を守ってきた前衛たちを裏切ってもいいのかという葛藤が生まれ 勢いだけで購入に至れないでいる自分

ゲーム機ひとつ買うのに何をやっているのだと 自分でも本当に呆れかけている

なんどもなんども波のように押し引きを繰り返した葛藤だが こんなに悩んでいるんだからもういい加減買ってしまおうという気になって 先日ついにネットサイトでカートに入れた ところが最後の一手を前にまた怖気づいている

そうこうしている間に今度は もう間も無く販売されるというスプラトゥーン3というゲームのデザインが施された限定モデルに目がいく

か、かわいい。。。

今度は本体のデザインに迷うことになってしまい いまだに買うことができていないSwitch


洋服の買い方まで参考にしながらやっとここまできたのに 次は何の基準を持ってこのデザイン問題をクリアすればいいのだろうか


結局衝動に任せて買うことになってしまいそうなのが一番怖い  



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