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#034 東京さくらトラム

路面電車 自分が生まれ育った街にはなかったから 昔から憧れがあった

すごく都会的で それでいて情緒あふれるそれは 最先端というのとは違う都会感を持っているのだ

実際の最先端を行く都会では地下鉄が主流で 路面電車は緩やかに発展してきた街の生活を支え続けている

情緒ではなく それは日常的に存在するものである

しかし 何故だろう これは浪漫的というのだろうか 路面電車が走る街というのはそれだけで雰囲気がいいというイメージになる いわゆる「映え」みたいなもので その存在自体がもはや浪漫的であり情緒なのだ


娘と一緒に掛けていると隣に座られたマダムが娘のことを見て「お利口ね、美人さんね、おいくつなの?」とたくさん話しかけてくださって
そのお顔がまたとても嬉しそうで
都会の中にある人情ってどうしてこんなに柔らかくて温かいのだろうと思う

以前は荒川線という名称だったが いつの間にか東京さくらトラムというようになったらしい

東京近郊ではこのように名称が変わった路線がいくつかある


東京さくらトラムに揺られ向かったのは あらかわ遊園  こちらもここ最近リニューアルされたばかりということで 綺麗でスッキリとした印象だった

遊園地という場所にあまり行き慣れていないわたしとしては その規模感をついテーマパークなどど比較してしまい こじんまりしているなぁ などと思ってしまうのだが そもそも遊園地というのはこのくらい身近で気軽に楽しむためのものだったのかもしれない そう、デパートの屋上みたいな感覚で

1時間半程度過ごしたところであらかわ遊園を後にし 少し遅めのランチをとろうと あらかわ遊園駅から徒歩圏内にあるカフェに入った

”KOTETSU CAFE"というそちらのお店は店内の真ん中に何段にも組み上げられたプラレールがあり 上部には壁づたいに店内をぐるりと一周しているものもあった

奥のスペースにはちょっとしたプレイエリアもあって そこでは男の子が先に一人で遊んでいたが そのうち娘も入ってお互い遠慮しながらも仲良く遊べるようになった

男の子のママはプレイエリアの横の席で 抱っこ紐に入った下の子を揺らしながらご飯を食べていて こちらに申し訳なさそうに でも少しホッとしたようにしていた うちは娘が一人だけれど そのママの気持ちが手に取るようにわかって こちらは全く迷惑になっていないし むしろ男の子が一緒に遊んでくれていることがこちらとしても助かることだったのでお互いに微笑み返し合う空間が生まれた

この空気感さえも流れる時間を都会のそれとは違うように思えて 胸をじんわり温めるのだった 

この東京さくらトラムが走る街では どこかこうした人の心が生きていて それがしっかりと交差しているように思う

たくさんの人がいるのにその誰も触れ合うことなくすれ違っているあの大きな交差点とは違うのだ 


自分の時間で生きているだけでは見えてこない景色 聞こえてこない声がある

家族で過ごした時間の中で感じた空間の時差は わたしの心を優しく揺らしたのだった 


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見出し画像:三ノ輪橋駅

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