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きょうはあめふるでしょうか

Hey Siri きょうはあめふるでしょうか
娘は何度も聞いた
Siriは何度も答えた

わたしはどんよりした気持ちでいた
先月から世界中に広がる新型ウィルス
マスクが買えない"口罩之亂"(マスクの乱の意)
台湾では日々臨機応変な対応がなされており
買い占めや高額での転売等できないようになっている
しかし依然としてマスク不足は深刻である

現在はマスクは政府が買い上げ、毎日一定数を薬局やコンビニ等で販売している
健康保険証(これを持たない在台外国籍の場合はパスポートか居留証)の末尾の数字により購入可能な曜日が振り分けられており、1週間のうち1人あたり購入できるのは2枚まで

はっきり言って足りないが、ないよりマシである

マスクに関して言えば、うちは母が日本から送ってくれたものでしばらく足りるため必要な人の妨げにならないよう買いに行くことはしていない

わたしのどんよりはマスクではない
次に発生した"衛生紙之亂"(ティッシュの乱)なのだ
マスクの原料とティッシュなどの原料は本来別物であり製造に影響が及ぶことはないらしいが、どこかの誰かが誤った知識からか、ティッシュが不足するというデマをながしてしまった

ティッシュだけではなく今やオムツや生理用品まで買い占めがおきているというのだ

たまたま切れるタイミングで一昨日、まだまだ卒業しない娘のオムツとキッチンペーパー、水を注文したがキッチンペーパーと水が未だに届かない
(幸いオムツは届いた)

台湾にはPCホームという注文から24時間以内に配達してくれるというオンラインショッピングサイトがあり、そこで注文したのだが…

とっくに24時間は過ぎている
もちろん彼らから一部商品の配達に問題が発生しているとのアナウンスはあった(注文確定後)
今はもうティッシュ類は注文すらできないようになっている(水はどうした?)

こんな状況に脳内は重たい雲におおわれたのだ

集団感染防止の観点から現在冬休み中の教育機関は休みを2週間延期することを決定している
ありがたいことに娘の幼稚園は今も受け入れを続けてくれていて、わたしの大学での中国語の授業も平常通りだ

だから今日までこんな情勢の中でも
できるだけ日常を過ごし ストレスを避けてきたつもりだったが 連日の騒ぎに精神は思った以上に蝕まれていた

さらに必要以上の外出はしないのが暗黙の了解という空気だし 実際外出はリスクが高まる
外に出るにはマスクがいるし 市場からマスクと共に消えているアルコール等の消毒関係も外出すればさらに必要になる

そういうわけで特に急ぎの用事もない今日
自宅にいるだけでは退屈な娘が
夫のipadを使って一生懸命Siriに話しかける
もういったい何度聞けば気が済むのかというほど
"あめふるでしょうか"と聞いている

Siriは怒ったりしない
何度同じ質問を受けようと、決して怒らずに答える

Siriのようになれたらこんな状況すらもストレスなくやり過ごせるのかもしれないなぁ
なんて馬鹿げたことさえ考えてしまう

そんなことを思っている間にも問い続ける娘

確かに夫が娘にSiriを使ってみせた時 天気を聞いたり、時間を聞いたりして教えていたが…
そろそろ怒ってもいいのではないか、Siri

でもちょっと脳内が晴れていくのを感じた

そして気がついた
娘は外で遊びたかったのかもしれない
娘の頭の中もきっとどんよりしていたに違いない
雨が降りそうだったのは娘の中のことだったんだ

外で思い切り遊べないこと
親の気持ちが晴れていないこと

娘はきっと感じている
この"何か日常とは違う空気"を

早く世界中が日常を取り戻して欲しい
そしてわたしは家族の日常を守らなければならないと思った

どうしたら娘の中の雲をはらってあげられるかわからず
ギュッと抱きしめてみたけど

Hey Siri 明日は晴れるでしょうか

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