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#020 あてはないけどただなんとなく

誰かと何かを話したい
でも誰に何を話せばいいのかわからなくて

友達がいないわけじゃないし
人に何かを期待しているわけでもないけれど

このざわつく胸と
地を離れかけている足を
誰かに押さえつけてもらいたい

そんな風に思ったりもして

でもやっぱりうまく消化できないまま
時間だけを見送っている


どこか遠くに行きたいと思うのに 
どこっていうあてもなくて 
ただなんとなくさまよっているだけのよう

ただ目の前の景色をぼんやりと眺めているだけ


何にも考えたくない
って思って過ごしているうちに 
過去の楽しい日々の記憶を
懐かしむように呼び起こしたりして

思い返せば 楽しかった日々の記憶というのは
そんなに具体的ではなくて

何がって言われたらもうそんなこと覚えてもいないのに 
ただ楽しかったってだけが残っていたりするものだ

何をそんなに面白おかしく笑ったかなんて 
きっと実際そんなに重要じゃなくて 

人っていうのはそんなにたくさんのことを抱えて生きてはいけないと思うし

いつだって「今」この瞬間を生きていなければならないから 
感じた世界の全てを抱えてはいられない


だから


中身のない会話でもいいし 
会話がなくたっていい

あの時なんか楽しかったんだよな 
っていつかそう思える時間を少しでも多く積み重ねておきたい


ただなんとなく そう考えただけ



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