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#011 手応えなし〜TOCFL受験記録〜

初めてTOCFLを受験した 結果はなんとも手応えのないものだった

試験申し込み開始から三日後くらいに申請するとすでに希望会場の空席は残りわずかだった 早めに申し込まないと会場が遠くなってしまうという噂も聞いていたから 希望の会場を指定できたのは良かった


試験当日 通い慣れた道を進み会場に向かった 会場は大学の視聴覚棟と呼ばれる校舎で他の校舎と同じく歴史ある赤レンガ造りだ 古びた階段を上がると 明らかに後からpcルームに変わったのだろうとわかる教室が並ぶ 入り口から一歩入ると床が不自然に底上げされているのだ きっと無数の配線を床下に走らせるためなのだろう 天井から伸縮式のコンセントが垂れている高校の情報処理専用の教室ことを思い出して 底上げ式の方が確かにスッキリしていいなと思った


座席はひと席ごとに間隔を開けて指定されていて さらにダンボールの仕切り版が設置されていた 教室に入るときに荷物はまとめて前方のホワイトボード下に置き 席には身分証とメモ用のペン一本だけを持っていく 席につくと名前やログインの際に使用する受験番号とパスワードが書かれたA4サイズの用紙が一枚セットされていて この用紙はメモに使用できる ただしこの用紙は試験終了後持ち帰ることはできない


試験開始まで少し時間があり わたしはぼんやりと右側の壁に目を向けた 壁には一枚の絵が飾ってあった 顔から胸のあたりまでがオレンジ色の鳥一羽と ピンクがかった紫色の紫陽花が右の上下にそれぞれ一球づつ描かれていた またどうでもいいことを考えていると自分でもわかっていたけど 試験開始前の微妙な空気をやり過ごすのにこの絵があって良かったとも思った


試験官の開始指示を受けて一斉にヘッドフォンをする 手早くアジャスターで装着位置を調節して 今度は音量を調節する 小さめにすると周りから漏れた音声が聞こえてしまう 周りの雑音を遮断しつつちょうどいい音量を目指す この音量調節は約1時間のリスニング問題での集中力に大きく関わる かといって調節にそんなに時間はかけていられないから適当なところで妥協する

問題が始まると違和感を覚えた 一つは前日に解いた模擬試験問題よりも内容が掴みにくい つまり難易度が高いと感じたこと もう一つはpc画面は音声と連動して自動で変わっていくため事前に選択肢に目を通せないということ これはイタイ 中学の頃からリスニングのコツは事前に選択肢に目を通すことだと言われ続けてきたし 前日に解いた問題もそのおかげで驚くほど内容理解ができた それなのに今ここではその”コツ”が使えない 集中できなかった これを言い訳というならそうなんだろう 悔しい

リスニング問題は突然終わった 最後に見た問題の番号は36だったはずだ 問題は全部で50問のはずなのに これもまた混乱した 混乱状態のまま読解問題の注意事項はほとんど聞き逃した

リスニングにあまり自信がないわたしとしてはなんとしても読解で点数を稼ぎたい しかしすでに精神はすり減っている できる限り冷静に文字を追うも内容が入ってこない なんども同じ文を往復して時間をロスしていく 読解問題は画面右上に残り時間が表示されているので常に時間というプレッシャーも浴び続けなければならない リスニング同様”解けている”という実感を得られないまま とにかくこなしていった 残り何問なのかもわからないままで時々詳細にみることを諦めながら進めた するとまた突然終了画面に切り替わった 数秒後にスコアとレベルが表示された

まったくついていけない 終わったのか?と未だ混乱したまま 目にしたスコアを覚えるために メモ用紙にゆっくり書き写した もちろんそのメモ用紙は持ち帰れないけど 一旦書き写すことで結果だけでも冷静に受け止めなければと思った 表示されたスコアとレベルによれば どうやらわたしは目標を達成したらしい こんなに達成感のない試験は初めてだ こんなことを言うのは悪い気もするが 正直前日に解いた模擬試験問題の方がはるかに面白かった 解けているという感覚がなかったのにとりあえず目標のレベルには達したという事実が完全に消化不良だったのだ

スコア表示画面の状態のまま試験官を呼び試験を終えたことを知らせる ほとんどの受験生がすでに会場を離れた後だった 

消化不良のままだがスコアを覚えているうちに スマホの電源を入れ友人に結果を知らせた いつも応援してくれる彼女は前日も激励の言葉をくれていた だから彼女にはすぐに知らせようと決めていた 彼女はすごいといってくれた わたし自身は実感がないのでまったく喜べなかったけど メッセージ画面の向こうで自分のことのように喜んでいる彼女の顔を想像しているうちに ちょっとずつ嬉しい気持ちになって 彼女にすぐに報告したのは正解だったなと思った

結局なんとなく取った資格感は消えなかったが 1ヶ月後に証明書を手にしたときにやっと達成感に似たものを感じられた

じっくりと自分の成績を眺めると リスニングと読解には2段階分の差があり レベルは両者の中間になっている リスニングをもっと鍛えればさらに上の階級を目指せるんじゃないかって気持ちにもなってしまう


もうやりたくないなんて思っていたけど できるのかできないのかどっちつかずな結果に 次こそは納得いく結果を なんてすでに次回に手応えを期待する自分がいた


Anker FM↓


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