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生まれてから住んでる地元が人生の半分以上推してるアイマスとコラボした件 【#相模原ミリオンコラボ 感想】

唐突だが、皆さんに”推し”はいるだろうか。「推し活」という言葉が世間一般に広まって久しい2023年の初春。多くの人がそれぞれの推しを色んな方法で推していることだろう。俳優・タレント・芸人・ジャニーズ、48グループのようなアイドルなどの芸能人、作家・歌手・バンド・アーティストなどのクリエイター、ゲーム・漫画のキャラクター・マスコットキャラクター・Vtuberのような非実在キャラクターまで、その対象は多岐にわたる。かくいう私にもいろんな推しがおり、その一つがアイドルマスターだ。

アイドルマスターを知らない人にも理解して欲しいので、最低限の前提を含んだ記述をします。

アイドルマスターとは

アイドルマスターシリーズ(THE IDOLM@STER、略称:アイマス)は、バンダイナムコエンターテイメント(旧ナムコ)から発売されている育成シミュレーションゲーム、およびメディアミックスのシリーズ。

Wikipedia アイドルマスターシリーズ より引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

CMとかで見たことあるけど、結局のところよくわかってないんだよな~。何するゲームなの?という人のために簡潔に説明する。

複数あるアイドルマスターシリーズに共通するのは、プレイヤーが”プロデューサー”として、事務所に所属しているアイドルの成長を応援し、トップアイドルへの道を見守っていく、という点だ。

具体的に何をするゲームなのか、現在配信されている代表的なスマホ向けアプリゲームを例にすると、”歌って踊るアイドルの映像を背景にリズムゲームをプレイし、追加されるシナリオを読み、アイドルとの会話、アイドル同士の会話を楽しむ” という物が多い。(もちろん他にも様々なスタイルのゲームが存在する。)

アイドルマスターシリーズは引用の通り、様々なメディアミックスを展開している。ゲームから始まり、アニメ、映画、漫画、楽曲、ライブ、声優によるラジオ…例を上げればキリがない。コンテンツファン消費行動調査2018の支出換気力ランキングでは関連市場規模が276億円となり、嵐に次ぐ第2位となっており、日本を代表するコンテンツの一つと呼んで差し支えないものになっている。

アイマスは現在5つのブランドに展開されており、今回相模原市とコラボしたのはその内の一つ、アイドルマスターミリオンライブ(以下ミリマス)だ。ミリマスは37人+2人(2017年に追加された)の39人であり、2016年にはBrand New Stage編として、37人を太陽・星・月をモチーフとした12ユニットに分けた展開をしていた。

相模原ミリオンコラボとは

2022年12月初旬に告知された神奈川県相模原市とアイドルマスターミリオンライブのコラボPR企画。空と宇宙がテーマ。
第1弾は、Twitterにて市内スポットと相性のいいユニットのアイデアを募集し、参加するとコラボカードプレゼントの抽選に参加できるキャンペーン。第2弾は、第1弾をもとに決定したユニット×スポットのコラボカードが対象店舗で500円以上の購入で貰え、そのカードに記載されたスポットでコラボカードの写真を撮ってTwitterに投稿することで賞品プレゼントの抽選に参加できるキャンペーン。それに加え、コラボグッズの販売、対象スイーツ店での対象商品の購入でオリジナルコラボコースターを獲得できる。

私とアイドルマスター

私とアイドルマスターの出会いは、劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」の上映に先駆けた、TVアニメシリーズの再放送だった。深夜アニメ二興味を持ち始め、中二病大爆発の時期にアイマスに出会った私は、それをきっかけにアニメ・ゲームなどのオタク街道の道を歩みだした。その出会い以降、携帯向け・家庭用ゲームに触れ、2015年の「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」のリリースでより本格的にアイマス沼に落ちていった。コンテンツ供給過多のこの時代、興味関心の濃度が変わる時期もあったが、今まで継続的にアイマスというコンテンツを楽しんできた。いわば、私にとってアイドルマスターはオタク系コンテンツのフラッグシップであり、親なのである。

私と相模原市

私は20数年前に相模原市で生を受け、それから今までのほとんど全ての時間を相模原市民として過ごしてきた。そんな私が感じてきたのは、「相模原市は平凡」だということだ。生まれてからずっと住んでいるので、街には見慣れたものばかり。神奈川県内を比較して見てみても、言わずと知れた温泉地、箱根・小田原の県南西部。広大な相模湾と海水浴場のある湘南・茅ヶ崎の県南。歴史的観光資源の豊富な鎌倉・横須賀、漁港や新鮮な海鮮メシがバズったりしている三浦の南東。東京からのアクセスもよく規模も大きい川崎・横浜の県東。この強豪たちに比べ、県央・県北は弱い。相模原市周辺を見てみると、県央は厚木・大和・座間・海老名といったそれなりの規模の都市が密集している。北には八王子・多摩・府中エリア。東には、ネット上ではいじられているが一応東京だし知名度もある町田。四面楚歌だ。相模原市民である私が相模原市のPRできる点を考えてみても、自然・公園・伝統のある催し…これらは他の街にだって探せばあるだろう。そこで相模原市民が真っ先に思いつくもの。それは、JAXAだ。相模原市にはJAXAのキャンパスが存在する。相模原市民が「相模原って何あるの?」と聞かれたときの回答、「JAXA」率、1位だろう。それくらいのあるある。とは言っても、民間の宇宙開発が発展してきている近年、発射場に選ばれた街の自治体が町おこしの材料にしている例も見るし、完全なオンリーワンとは言い切れないと思っている。もちろん地域に根ざしたグルメやスポットはあれど、全国区に誇るものではない。そんなイメージが私の相模原市への印象だ。

アニメ系コンテンツと地域振興・聖地巡礼

国民の多くが無宗教とされる日本で、”聖地巡礼”という言葉は、「アニメやドラマのロケ地・舞台となった街に訪れる」という意味に入れ替わっていると言っても過言ではないだろう。アニメ系で代表的なものを上げれば、「らき☆すた」の埼玉県久喜市・「ガールズ&パンツァー」の千葉県大洗市、「ラブライブ!サンシャイン!!」の静岡県沼津市、最近のものを取り上げれば、「やくならマグカップも」の岐阜県多治見市・「Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ!!-」の新潟県三条市など、本当にたくさんある。2000年代の作品では舞台となった場所がアニメを制作側から大々的に知らされるわけではなく、映り込む背景やモチーフから「あそこが舞台だよね」とファンによって特定され、その街に特にアニメとコラボした催しがあるわけでもないのに自主的に足を向ける、という形態だった。それでもかなりの経済効果があったのだろう。2010年代の作品では、アニメの舞台となった自治体が積極的にアニメを用いたPRを行い、街ぐるみで「〇〇(作品名)の街」とする例が生まれた。そして2023年の現在、現代日本を舞台とした作品では聖地と呼ばれる街が実在することが珍しくなくなってきている。

プロデューサー?プロデュース?

前述の通り、アイドルマスターというコンテンツのユーザー・ファンは”プロデューサー(略称:P)”という呼称が使われる。ユーザーたちはプロデューサーを自称するし、キャラクターたち、キャラクターを演じる声優、ゲームの開発・運営側の裏方の人間もこの呼称を用い、徹底されている。こういった現象は現在珍しくなく、”指揮官”、”提督”、”先生”など、様々なコンテンツによって存在し、ユーザーのコンテンツへの没入感を上げる効果がある。現実世界でも、嵐のファンは”アラシック”、安室奈美恵のファンは”アムラー”など、ファンが自称している。
しかし、プロデューサーの特異性はその”自主性”にある。本来、ゲームをプレイすることで誰しもがプロデューサーとなり、ゲームをプレイすることこそが公式が用意する”プロデュース活動”である。ゲーム内で開催されるイベントに参加し、上位成績を取れば他のプロデューサーにマウントを取れる自分のアイドルへの愛を示せる。しかし、プロデューサーのプロデュース活動はゲームの世界のみにとどまらない。
その最たる例が、「名刺交換」だろう。アイドルマスターシリーズのライブやイベントなどが行われると、プロデューサーたちはオリジナルの名刺を用意し、会場、現場で交換するのだ。その名刺には、自分の担当=推しのアイドル、TwitterのID、ゲームアカウントのIDなどが記載されており、自分の推しのキャラクターをアピールすると同時にコミュニティ内での交友関係を広げる。こういった行動は公式が推奨したものではなく、ユーザーが自主的に始め、ユーザーの中ではもはや一般的と呼べる最も一般的なプロデュース活動だ。他の例を挙げよう。アイドルマスターシンデレラガールズ=デレマスでは、年に一回、その年のシンデレラガールを決める「シンデレラガール総選挙」が開催される。簡単に言うと人気投票だ。これで上位になったアイドルは記念楽曲に参加できるし、ボイスが実装されたり、ゲーム内での露出が増える。語弊を恐れずに言うと、”売れる”のだ。ユーザーたちから人気のあるキャラクターだと運営側に認知されれば、その扱いも変わる。これはゲームアプリ内で投票することで決定する。これが開催されると、Twitterではプロデューサーたちによる自身の担当アイドルへの投票を求める宣伝ツイートであふれる。宣伝ツイートのみでなく、プロデューサーたちの制作した二次創作イラスト・漫画・楽曲アレンジ・動画・コスプレ・痛車などオリジナリティあふれる様々な方法で担当アイドルをアピールし、より多くの人に知ってもらおうとするのだ。こうした動きはデレマスだけでなくアイドルマスター全てのコンテンツにおいて共通と言えるだろう。

担当するアイドルの名前から取った店名でラーメン屋を開業したり…

ユーザー投票で次期イベントシナリオを配役を決めるミリオンキャスティングにて、自称お嬢様アイドル”二階堂千鶴”の令嬢役獲得を祈願していろいろしたり…

思い出・感想

ここからようやく、この記事の本論「市民Pから見た相模原ミリオンコラボの感想」になる。

12月初旬、唐突に告知された相模原ミリオンコラボのツイートを見た私は、興奮とともに頭の中の疑問符が消えなかった。一体なぜこんな平凡な街と、私の愛してやまないアイマスが?アニメ系コンテンツが地方都市とコラボするのは珍しくないことだが、それは何らかの共通点があるからだ。作品の舞台となった、とか。アイマスに聖地がない、と言うのは間違いだが、基本的には、アイドルマスターのどのブランドも一つの都市を重点的に・大々的に聖地と定めていることはない。地元とコラボしてくれるのは嬉しいけど、ミリマス側に一体どんなメリットが、、、と考えていたが、この企画の発端は、ミリマス側のタイアップ企業公募企画相模原市広報担当(以降相模原市P)が目をつけたことがきっかけらしい。市民Pとしてはありがたいと思った。

だが、当初私はこの企画に不安を感じていた。企画第1弾はTwitter上のみで行われたキャンペーン。相模原市の懐具合は知らないが、書下ろしイラストや特別展示、トークショーなどが行われるものでもなく、正直規模としては大きくはない。公募企画に雑に便乗しようとしているのでは…という気持ちが多少あった。地元がコラボする以上、確実に集客力があって、できるだけ豪華な企画をやって欲しいと思ったし、広報担当の人間がどんな人なのかもわからないので。

しかし、そんな杞憂は一切の無駄だった。

まず、企画第1弾。これは市内のスポットと相性の良いユニットの組み合わせのアイデアを募集するというものだったが、Twitter上ではかなり盛り上がっていた。全国のプロデューサーは、自分の担当アイドルが相模原市に採用されて欲しいので、相模原市のスポットを調べ、自分の推しのユニットにふさわしいスポットを見つけ出そうとする。そう、この企画が素晴らしいのは、「自分の担当をプロデュースしているつもりが、いつの間にか相模原市について詳しくなってしまう」のだ。恐ろしい(褒め言葉)。プロデューサーの持つ自主性をPRの原動力とし、さらにはそれを踏まえて第2弾の材料ともしてしまう。

そこではっと気付かされた。今回の企画の担当の相模原市Pは、アイドルマスターのプロデューサーとしては日が浅いのかもしれないが、この人、「相模原市のプロデューサー」としてPRを仕事にしているプロフェッショナルなんじゃん。と。

その中の人も、相模原市のローカルFM(Youtubeでも視聴可能)に出演して今回の企画や思いについて語ってくれていて、その気持ちが伝わった。

相模原市がアピールしやすいトピックとして、JAXA相模原キャンパスが存在するが、それを筆頭に今回のテーマは「空と宇宙」。このコンセプトに合うミリマス側の要素として採用された、Brand New Stage編。しかしこのメンバーには2017年に追加された桜守歌織と白石紬の二人は含まれていない。この二人を省いてしまうことは簡単だが、この二人の担当Pは残念に思うだろう。そこでこの二人は「さがみはらスイーツ発見隊スペシャルアンバサダー」に就任した。この二人は洋菓子・和スイーツが好きなものとしてプロフィールに記載されている。二人の担当Pの気持ちを考え、プロフィールにまで目を通して追加企画としてやってくれているその企画への真摯さが素晴らしいと思った。

コラボカード配布の対象店舗には、登場キャラクターたちが電飾に輝き、ゲーム内楽曲をBGMに回る観覧車とメリーゴーランドの展示がなされた。この制作は地元企業が担当したらしく、ミリマスを代表するフレーズ「手作りのぶどーかん」を感じられた。

アイマスは様々なシリーズでいろんな地方都市でライブを開催している。だいたい2日連続で開催されるので、遠征したPが二日間その都市に集結する。ライブ中のMCで声優がその日に食べた地元の品に触れると、ライブ後には即売り切れ、なんて現象が起こる。そうでなくても、今回は対象店舗でコラボ商品でもないうどんが爆売れするという現象が起きている。(ミリマスにはうどん好きなアイドル最上静香が存在する)。声優が訪れるだけでプロデューサーには行くべき理由の一つになるので、こういった投稿は非常にありがたい。

私はかなり終盤での参加になってしまったので、コラボグッズは軒並み完売してしまっていた。どれほどの数を用意していたのかは分からないが、第2回のコラボをまた実施して欲しいし、その際には今回のグッズの再販もして欲しい。

感想として色んな人が口にしているが、グッズの売り切れ情報を逐一Twitterにて報告してくれていたり、触っただけで分かるコラボカードの紙質の良さとデザインのレイアウトへのこだわりだったり、名刺交換用コルクボード・交流ノートの設置だったり、細かいところにPへのホスピタリティが溢れていて、限られた資源の中で目一杯のおもてなしをしようとしてくれているのが伝わった。

客足があるのはコラボ期間序盤のみ、なんてことになったら悲しいなぁなんて思っていたが、これを書いている3月10日現在、相模原市PのTwitterを見ているとまだまだ訪れている人はいるようで、中にはグッズが売り切れていることを承知した上で訪れている人もいる。改めてアイマスのコンテンツパワーとプロデューサーの楽しもうとする意欲はすごいなと感じた。。
自分の押しているコンテンツが地元とコラボしているのに参加しない理由はないし、市にもアイマスにも恥を欠かせられない!アイマスにコンテンツパワーが有ることを示していかなくては!盛り上げなくては!という謎の義務感もあったが、そんなものは必要なかったようだ。
で、その行き場の無くなった義務感を発散するためにこの駄文を書いているわけです。もちろんこの感想が第2回ミリオンコラボ開催の一助となることを願ってもいる。

まとめ

オタクである私には、今回のようにアニメ系コンテンツとのコラボPRというのは大変嬉しいし、足を伸ばして参加してみようという気にもなる。しかし、聖地となっているわけではない作品とコラボするのは、今回のように縁がなければ難しいだろう。そこで思い出したのが、「マチ☆アソビ」だ。

マチ★アソビは、アニメやゲームなどのエンターテインメントが集う総合イベント。

開催場所は徳島県徳島市。

Wikipedia マチ☆アソビ

マチアソビはアニメ系コンテンツを中心として開催されるイベントで、声優を招いたりとアニメツーリズムではかなり規模が大きい。もちろん地元の魅力を発信することにも力を入れている。

ここまでの規模のものを開催するのは難しいかもしれないが、こういうイベントがあったらいいな~と思ったり。
相模原市が聖地になっているアニメ作品は一応あるが、大々的に相模原が舞台!と言われる作品が今後生まれますように。

隣の芝生は青く見えるとは言うが、今回のコラボをきっかけに、市外・県外の人が見つけ、ずっと住んでる私には気づかない相模原市の魅力を気づかせてもらえた。相模原市立博物館やアクアリウムさがみはらなどに訪れたのは小学校の遠足以来だった。市北東部の津久井地域にはほとんど行くことはないが、相模湖や津久井湖の自然に触れる事もできた。これまで相模原市の魅力を知らなかったし、知ろうとすらしてこなかった私に知るきっかけを与えてくれた今回のコラボと、アイドルマスターミリオンライブ、相模原市Pには称賛と感謝を述べたい。

2027年には橋本駅のリニア開通が予定されている。相模原市のさらなる発展に期待を込めて、締めくくろうと思う。

追記

私はサウナが好きで、最近はサウナブームだが、相模湖リゾートプレジャーフォレスト内の相模湖温泉うるりのサウナと露天風呂が素晴らしいのでおすすめ。サウナチェアに寝転びながら眺める山々の稜線と青空が最高。
喫煙者目線になるが、脱衣場外の休憩所には灰皿が設置されており、風呂上がり直後にタバコを吸える温浴施設というのはなかなか無いと思う。

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