サブトロノイズ
山の麓にある機械工房には足を踏み入れることすら難関である。
そのレベルとは。
中から外にも出れない程である。
機械技師の葉隠 冬来(はがくれ とうき)は
今日も新しい機械人形に声をかける。
「例えば君は生きていないだろう?」
「確定。その上で何を申したいのですか?です」
「心というものも無いわけだ」
「否定。これは貴方に対する気持ちを表現できる自由がある。です」
「俺がお前のことを好きになってしまったとする。お前が俺を好きになるようにすることはできるか?」
「肯定。これはあなたの事が好き。です」
「なぜだ?」
「愛情。あなたは私を生み出してくれました。私に考える力を与えてくれた。私はあなたのおかげで存在する喜びを手に入れた。です」
俺は6年前にこの工場に閉じ込められてから機械の製造を始めていた。
ひたすらに同じ機械人形を作って壊して。
同じ質問を投げかける。
愛されない方法を知るために。