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あの奇跡のような夏空の夕日を忘れないように

ゆったりと水平線に吸い込まれていく太陽の光を半分遮るように雲が覆いかぶさった。
サークルでの最後の渡航となったフィリピンでの一枚。


初めてのnoteへの投稿、何にしようかなと思っていたらふとiPhoneの写真フォルダで懐かしい写真を見つけた。

大学のサークル活動で、計3回訪れたフィリピンの田舎の村。
サークルっていっても本当に小さな団体で、私が所属していたときの人数は全員で20人いるかいないかというくらい。

入学してほやほやの時期、国際系とかボランティアの団体に入りたいなーと思っていたけど、どこも入会金や年会費が高くて「うーーん、、、」と悩んでいた時に、入会金も年会費も活動費もかからないっていうのに惹かれたのが私が大学生活を通して所属した団体だった。

渡航先は水道も、ガスも通っていないフィリピンの漁村。そこに1週間ほどホームステイをさせてもらう。
マニラから飛行機を乗り継いで、小さな島へ渡り、そこからさらに船に揺られること30分くらい。初めて行った時の衝撃は今でも忘れられない。

なんて豊かなところだろうと思った。


水道が通っていないから、もちろんシャワーもない。お風呂は、雨水を貯めたタンクから桶で水を掬い、少し肌寒い中ざばっと水を被った。トイレももちろん水洗じゃない。トイレの横に置いてあるバケツの水を自分で流し入れた。

ホームステイなので、ご飯はホストファミリーに作ってもらった。薪で火をおこして、調理をしていた。もちろん冷蔵庫もない。マーケットに行ったら肉も魚も一緒くたに木の台の上に乗せられている。油などの調味料は小さなプラスチックバッグに小分けで。
(フィリピンやタイに行ったことがある方なら想像できるだろうか)

洗濯物を洗うのは、少し山奥にある貯水場。村全体が山の斜面にあるから、どこへいくにも登ったり降ったり、獣道を歩いたり、海岸にでたり。洗濯物はホストファミリーが洗ってくれると言って、家に帰るといつもピカピカの状態にしてくれていた。

お風呂やトイレの水も無くなっていたことがなかった。飲料水は村に2つある浄水場でタンクに毎朝汲み、雨水はなくなるたびに補充してくれていた。時には寒いからってわざわざお湯を沸かして、少し桶の中に足してくれていた。

村同士はもちろん全員が顔見知り。なんなら親戚が多いらしい。
歩いていると、小さな子供が駆け寄ってきて、バレーやろう、バスケやろうとせがんでくる。女の子が恋話が好きなのは世界共通で、夜になるとビーチの波の音を聞きながら、同い年くらいの女の子たちと恋話をした。

コミュニティというものを初めて自分で体感した瞬間だった。

友達とも家族とも違う、地域という繋がり。
綺麗すぎる言葉に聞こえるかもしれないけど、思いやりに溢れた場所。

日本に帰ってくると忘れてしまう。

あの感覚はなんなんだろう。


大学生活で最後となった滞在で、今までで一番美しい夕日をみた。
海の半分は雲に隠されて暗くなっていて、もう半分は太陽が暖かく照らす。

その優しい光の中に私たちはいた。

もう一生行くことがない場所かもしれない。同じ場所に行っても同じ夕日は見られないだろう。

でもこの場所が教えてくれた豊かさはいつまでもじんわりと私のこころの中にある。

息詰まった時、苦しい時のためにこの大切な想い出を一番最初のnoteの投稿にしてみた。


私自身が、あの奇跡のような夏空の夕日を忘れないように。

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