低頭思故郷

 はぁ、帰りたい。
 コロナ禍のため毎年一度は必ず帰省していたのを彼此三年もしていない。望郷の歌が頭に浮かぶほど、帰りたい。
 ようやく帰れると思ったところで、長女が熱発し次女は嘔吐下痢。毎回思うのだが、いや、思ってはいけないのだが、保育園にウイルスばら撒かれすぎなのでは? そういう事態を想定して行かせた自分も嫌だし、体調不良でも子を預ける保護者も嫌だし、なんならうつした子供も嫌だし、おいそれと簡単に仕事を休めない社会は憎むし、厭世的になるほど、病児の看病は心も体もズタボロにされる。
 今頃は実家の布団でぬくぬくと子供時代のように穏やかに眠れていたはずなのに。実家に持って行くお菓子も既に準備してしまっていて、慌てて賞味期限を確認する。まだ間に合いそうだ。実家の造りを確実に忘れるほど期間があいた。これ以上はもう我慢がならぬ。(セリヌンティウスは激怒した


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