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MMD杯等の動画投稿イベント構築について

 あるいくつかの会話や昔話などをきっかけに、様々なことを思い出したため、ここに記しておきたい。
 このドキュメントの内容は、やや難解で専門的な内容となっている。
 内容はこれまでの独自研究を文章化し、歴史的資料として残すことを目的としているため、多くの方には興味を持っていただけない可能性がある。
 また、一部の文章はAIを使用して編集しているため、AIアレルギーの方には閲覧を推奨しない。

MMD杯を始めとした動画投稿参加型イベントの更新

 2019年頃、YouTuberやVTuberがYouTubeサービス上で収益化できるようになり、ニコニコ動画は組織刷新を図っていた。 同時期、ニコニコ動画内での投稿参加型イベントは減少傾向にあり、ユーザー主催イベントの運営コスト(ここで言うコストとは金銭的ではなく労力・時間を指す)やモチベーション維持も課題となっていた。
 MMD杯の終了後、後継イベントとしてMMD杯ZEROが3回開催されたが、筆者は独自でMMD杯運営システムの再構築案も検討していた。 当時東京に仮住まいしていた筆者は、MMDユーザーの協力を得てオフラインでのブレインストーミングを実施し、複数回のインタビューとシミュレーションを通して再構築可能性を検証した。
 個人もしくは少人数チームでの運営、必要なWebサービスなどの環境整備を検討したが、結果的に実現不可能と結論付け、企画案を破棄した。 理由としては、イベント運営側と投稿参加者双方にとってリスクが大きくなり、開催意義が薄れたためである。
 本稿では、MMD杯再構築の検討過程と破棄理由を解説する。 読者が今後において、ニコニコ動画における投稿参加型イベントの新たな可能性を探っていく必要が生じた場合に、参考になる資料となる事を望むものである。

MMD杯システム(仮称)というのはどういうものか?

 まず、MMD杯システム(MMDに特化した動画投稿参加イベント)と仮称する。
 ここでは具体的に何をするのか、どんなサービスと連携するかなどの具体的な説明は行わない。本稿ではイベント運営するにあたり、どう思考するのが良いかを記す。
 なおこれらの記載は、筆者自身による4回にわたる開催実績を基に、個人でのMMD-DMCというイベント、更には他イベント運営者へのインタビューなどを踏まえ、自分なりにまとめたものである。

 イベント運営・システム構築においては、考慮すべき重要な点がいくつか存在する。それらの中でも最も重要と位置付けられるのは、「イベント目的の簡素化・明示化・変更不可」という原則である。
 仮に開催告知後に問題が発生した場合でも、イベント目的を変更することは、単なる弊害にとどまらず、開催理由そのものの消滅を招きかねない。イベント目的自体の公開は任意ではあるものの、準備段階から「変更不可」を念頭に置くことが必須となる。
 多くの場合、気軽なイベント開催が失敗に終わる理由は、この原則が軽視されていることに起因する。

 イベント運営において、イベント目的と並ぶ重要事項が「参加者のメリット」を常に中心軸に置くことである。

・MMD杯システムにおける参加者のメリット


 
MMD杯システムの場合、「通常時の投稿よりも多くの人に見てもらえる」というメリットが考えられる。

・メリット設定の重要性

 このメリット設定は、限りなくシンプルにワンセンテンスでまとめることが重要である。欲張って複数のセンテンスに渡る設定を行うと、ターゲット層が不明瞭になり、参加するハードル(モチベーション的参加障壁)が高くなる。当然ながら、そうなると「多くの人に見てもらえる。少なくともMMDユーザーの多くに見てもらえる」という部分と矛盾することになる。

イベント運営の成功を左右する第三のポイント:堅固な終わらせ方を明確化する

 イベント運営を成功に導くためには、イベント目的と参加者のメリットに加え、「堅固な終わらせ方を最初に明確化しておく」ことが重要である。

・MMD杯システムにおける終わらせ方

 MMD杯システムの場合、「イベント閉会動画」がこれに該当する。閉会動画の存在によって、参加者は動画投稿の本来のメリットに加え、以下のメリットを得られる。

  • より多くの人に動画を知ってもらえるチャンス

  • クレジットロールに記載される

 これは、参加者にとって本来の目的に加えた「プラスアルファ」要素となる。
 さらにニコニコ動画にはマイリスト機能があり、投稿者と過去投稿作品の紐づけが簡単にできる。MMD杯に参加する事で、過去発表作品も見てもらえる可能性があるからだ。

・閉会動画制作の重要性

 閉会動画制作には多くのポイントが存在するが、詳細は本稿では省略する。
 イベント名称には「杯」があり一見競技性があるように見えるが、これは形式的なもので、実質的にはショート動画・映画祭のように短期間で(擬似的な)同時視聴して体験共有するお祭りイベントだ。初期のニコニコ動画コンセプトと合致している(非同期共有=コメント表示機能)。
 お祭りイベントは必ず終わらなければならないし、イベントの締めとなる最大の見せ場でもある。参加者が最後に集う重要なブロックだ。
 これをできる限り速やかに動画を制作・投稿し、今一番の大花火を打ち上げる事は必須だ。当時、期限は一週間で設計していた。これは投票締め切り(マイリスト投票)から起算し、視聴者のイベント参加意識が薄れる直前期限の最大数である。

・終わらせ方を設計することのメリット

 「祭りの終らせ方」をしっかりと設計することで、以下のメリットを得られる。

  • スケジューリングや手配、ガントチャート作成を逆算的に行うことができる

  • イベント全体像と各ブロックを把握しやすくなる

 つまり、終わらせ方を明確にすることは、イベント全体のシステム構築において重要な起点となる。

 イベント運営を成功に導くためには、以下の3つのポイントを具体化することが最初のフローとなる。

  1. イベント目的の簡素化・明示化・変更不可

  2. 参加者のメリットを常に中心軸に置く

  3. 堅固な終わらせ方を最初に明確化する

 これらのポイントは、筆者が元々持っていたスキルと知識に基づき、開催を重ねながらバージョンアップしてきたものである。
 個人で運営する場合は、文章化・マニュアル化する必要はない。一方、運営メンバーが複数人になり組織化する場合は、共通認識として文章を残しておくことが重要である。

 こうして俯瞰すれば理解し易いとおり、会社における部署の新規構築やプロジェクトチーム編成・実行等と何ら変わりがない。文字通り、イベント主催は「プロデューサー」であるべきで、予想し得る流れに対する事前設計とリスクヘッジを取らなければならない。

システム構築と運用手段

 MMD杯が開始された2008年時点は色々なものに恵まれていた。ある意味奇跡的である。以下に何があったのかを列挙する。

  • ユーザーは少ないものの、ユーザー自体が持っているスキルと発想などが豊富であった

  • ニコニコ動画を「新しい遊べる公園」であると認識しているユーザーが多い時代背景

  • グレーゾーンな動画でも許容(黙認・スルー)される環境下にあった

  • イベント開催する以前に、参加動画集計システムを構築した人が居た

  • ランキング動画制作用ツールとデータベース構築するためのフリーソフトの存在

  • 東方ジャンル・アイマスジャンルイベントという実績が既に存在していた

  • 動画と同時にモーションデータ、モデルデータなどを配布する環境か整っていた

 これらの環境を一人で最初から構築する事は無理である。偶然、もしくは奇跡的にもそれらの環境が用意されていたので、開催への道が開けたのだ。
 また、この全てを自身の(主催の)コントロール下に置く事は不可能であり半ば自然派生的なもので、必要だから用意するという類のものではない。
 筆者は仮にこれらの要素を「土台」と称している。
 土台の一部は自身で用意する事もできるが時間的コストとのバランスが難しいものである。また参加者をコントロールしようとするのは思想として危険なものであるので、組み込んではならない。
 主催含め運営参加メンバーはボランティアであり、会社における組織運用と同質でありながらも、個人への負担を限りなく減らし、かつ運営側としてメリットを享受できなければならない。
 この一見矛盾しているような事を同時並行で行う環境と覚悟が必須となる。
 土台の部分を構築するのに時間が掛かり、その間にニコニコ動画システムや各種Webサービスの変更・終了、集計システムのバージョンアップないしサービス提供終了などのリスクがあるので悠長に構える事もできない。
 よりスピーディに各種環境利用とプラン構築が必要だ。

 土台がある程度揃った時点で、手段の構築とマニュアル制作が可能になる。仕事で言うところのスキーム構築そのものだ(仕事においての内容は割愛する)。
 全体の時系列を整理すると、

  1. イベント広報・告知

  2. 選考委員・賞の選択と仕込み、事前連絡とオファー。事務処理システムの構築

  3. 開催告知・予選開始

  4. 予選のデータ収集・解析し、情報を本線向けにフィードバック

  5. 予選中間報告

  6. 本選

  7. 視聴期間・選考期間

  8. 閉会式(受賞式)

 このプログラムを基に、各項目内での必要物の導入、協力者へのオファー、リサーチとデータマイニング、動画作成などを行う。細部に渡ってまでドキュメント化する必要はないが、個人主催でもメモ程度は必ず残すべきである。
 残念ながら開催当時のハードディスクが物理的破損により損失してしまったので、現在は提示できるものがない。

 あとはリスクヘッジへの担保が運用開始時点にどれだけ用意・想定できるかを考えておく事が必要である。
 参加者が少なかった場合、ニコニコ動画サービスに障害が発生した場合、再生数・マイリスト数など参加動画には必須のデータが悪意で操作された場合の対応、主催・運営メンバーが病気等で活動継続ができなくなった場合の対処方……数多くあるが重点となる部分、特に目的要素でもある「参加者の動画視聴への導線」に関するリスクヘッジさえ確保できれば、最悪の事態でも対応可能だろう。

 動画視聴への導線というは、MMDユーザーでない人をどう巻き込むかである。
 MMD杯ではコミケットの事例を参考とし「視聴者もMMD杯参加者」(マイリスト投票)という名目を打ち出し、アクションを起こさせるための理由付けを広報時点で行っていた。これにより、純粋に母数を増やす事が可能であり、最悪の事態への担保にもなる。

第18回MMD杯辺りからの運用推測と分析

 これはイベント主催ならびに運営参加メンバーの事を指すのではなく、起こった事象と問題点を洗い出す事で、類似イベントを構築する為の参考にするためのものだ。

何故MMD杯は継続できなかったか

 これは明らかである。目的とコンセプトが不明瞭になり、参加者へのメリットが希薄になったからである。これは様々なギミック、例えば選考委員を著名陣で揃えたりする、等の手法も最初は効果があったが、結果から見ると選考委員自体へのメリット提示が行われていたかどうかは分からない。推測ではあるが、オファー段階で協力要請に何かしらの要素が無かったのだろうと分析する。
 こうしたギミックは一時的効果は発揮するものの継続性が無く、新規参加者(視聴者含む)の獲得が、目的が薄れた事により継続不可能状態まで陥る。
 これは一般社会でもよく見られる現象であり、長期間連続開催すれば自然派生的に生じるリスクだ。プロジェクトを開始したは良いが、想定以下の効果しか得られず、金銭的コストだけが膨張してしまう現象と同じだ。
 であるからこそ事前のリスクヘッジからオファー文面までを地道にバージョンアップしなければならない。
 これは開催時点だけではなく日々のリビジョンが必要な行動であり、そもそもボランティア活動範囲内で行うには、公共等の助力が必要となる。
 これらの対応は既に人ひとりで行う事は不可能になり、運営参加メンバーにプロデューサー経験者もしくは管理職経験者が居ないと成立しない。
 つまりはボランティア活動の枠以上のプロジェクトになってしまい、手に負えなくなったと分析する。

ニコニコ動画運営と超会議との連動においてのマネージメントとプランニング

 これについては情報量が少なく、信頼性の高い情報源も乏しいことから、推測に基づいた分析となる。

■参加者心理・サービス利用者としての心情

 既に筆者自身がMMD杯ならびにMMD-DMCという動画投稿参加イベントの全てから身を引いた後も、ニコニコ運営からのインタビュー等は受けていた。ニコニコ動画運営は、当時安定期ではあるものの再成長期と衰退期の分岐点にあった。
 実質的なイベント企画運用やそれにまつわるオファーではなく、単なるインタビュー(リサーチ)だったので、ニコニコ動画運営がMMD杯のようなイベントを行うという話は聞いていない。あるいは企画の一つとして社内提案段階のものはあったかもしれないが、当然ながら筆者は知る由もない。

 一方、MMD杯はトップページへの掲載や超会議でのイベントステージでのプレゼンテーション等を行っており、当初はその後の展開についていくつかの予想を打ち立てていたが、結果として超会議イベントでの広報活動のみに留まった。
 こうした流れを見ている参加者・視聴者(MMDファン)側がどう捉えているかを数値化するデータは無いが、反応は薄い印象を持った。「へー、なんかやってたんだ」という認識が多かったのではないかと推測している。
 広報活動もイベント運営上重要なタスクではあるが、あくまでも広報は手段にすぎず、その後にどう連動させるかが無ければ意味を成さない。この辺りをMMD杯運営がどう組み込んでいたのかは分からないが、結果を見ると広報効果は薄い状態となった。

 つまり、広報活動と参加予定者のマッチングが機能しなかったのだ。

 ニコニコ超会議というイベントの性質、「ニコニコの全てを体感する」というコンセプトの中で、MMD杯というのはあまりにも小さく、圧倒的にMMDファンまたは新規ユニークユーザーとなり得る期待層へのアピールの場としては、規模の不一致が致命的だ。そういう意味では超会議イベントとの連動というのはリスクの方が大きい。
 それを踏まえた上で、仮に超会議とMMD杯を連動させる為には以下の要素が必要となる。

  1. 超会議イベント開催時期とMMD杯閉会式(もしくは開会式)のマッチング

  2. ステージイベントの出演は選考委員と前回優勝者等の動画参加者

  3. MMD杯のフライヤー(チラシ)制作と超会議での設置

 MMD杯は奇数回が夏に行われ、冬に偶数回が開催されていた。この時期設定は最初の方では意味を持っている。
 奇数回の夏は、比較的社会人も休みが取りやすい夏季休暇・お盆などの連休。偶数回の冬(2月)は単純にMMDリリース日記念だ。
 イベント立ち上げ直後であれば、認知度を高める為に短い期間で連続開催する必要があるが、ある程度参加者を確保できる状態になれば、年二回開催すら必然性が無くなる。
 (1)についてはそういう意味では、超会議イベントと合わせた開催設定は可能であった。

 (2)については実績としてステージイベントでのプレゼンテーションが行われた(トークショー形式)。出演者はMMD杯運営サイドのみとなり、司会を含めた複数人のものに留まった。恐らく超会議ステージイベントにおいての制約等があり、それ以上は難しい状態だったのかもしれない。
 これは筆者の個人的趣旨ではあるが、「エンターテインメントイベントにおいて裏方が表舞台に立つ事はリスクしかない」というものだ。大型テーマパークで事務管理職が園内をウロウロしてたりイベントを行った所で、ほんの一部の人は楽しいと思う可能性はあるが、より多くの人に楽しんでもらいたいという目的とは矛盾する。
 これらの理由により、ステージイベントに出るのはあくまでも参加者の一部でなければならない。それは動画参加者もしくは選考委員の事を指す。
 例えば、前回優勝動画を最初の方に流し、それに対して選考委員の肉声コメントもしくは視聴実況を行い、それに対して動画参加者が応えるとう形式が挙げられる。
 超会議は生配信も行われていたので、前回イベントの振り返りというコンセプト、もしくは開催中イベントにおいてのリアルタイム同時視聴体験を得られる事となる。
 一方、MMD杯の一部側面である「MMDという同じ道具を使った競技的側面の平等性」が欠落する事となる。平たく言えば、優勝レベルの動画制作者以外が超会議イベントと関連付けされる紐が無くなってしまうリスクも内包している。最悪の場合、著名MMDユーザーだけが目立つだけのイベントとなる危険性があるという事だ。

 (3)についてはフライヤー本来の意味(広報)もあるが、超会議イベントとしてはグッズとしての意味合いを持たせる事も可能だ。そこでしか手に入らないフライヤーという事で、超会議イベント開催後も旧Twitter等で拡散する可能性があった。

 こうした、本来の目的に沿いつつも、まったく別のコンセプトイベントを並走させるプログラムを組む事で、ようやく相乗効果が得られるだろう。ただし上記にもある通りリスクも大きくなるので、バランス調整がかなり難しい問題となる事は明確だ。

今からMMD杯後継イベントを運用する事は可能か?

 開催自体は可能だが、本来のMMD杯のコンセプトと方針、目的に沿ったイベントを行うのは不可能である。規模を縮小して少人数で行う事も完全に不可能という事ではないが、主催ならびに運営メンバーの生活に関わる程の大きなリスクが生じる事が確実であり、実現不可能と言い切れるものだ。
 以下にその理由を示す。

土台・環境:ニコニコ動画会員数減少と全体平均視聴数の低下

 会員数減少と平均視聴数の低下はMMD杯システムにおいて致命的問題である。一時はMMD動画を一般投稿しても数百~数千再生は確保できていたものが、現在では一桁下がり数百再生達成するのも、個々の参加者がそれにたどり着くよう繰り返しの自力広報(Twitter等での拡散)を行う労力が必要となり、今では高い目標数値に変貌してしまった。これは投稿イベントなどで集中させても微々たる効果しか得られず、イベント告知動画なども同様であり広報効果が得られない。

土台・環境:MMDで使用できるキャラクタージャンルの分散化

 今ではより多くの原作(アニメやゲーム)著作物のキャラクターモデルが存在しており、一部ではパブリッシャー自体がMMD用公式モデル等を公開している。
 これ自体には何ら問題は無いが、多くのジャンルに分かれるとシンプルにコミュニティ連動が図れなくなる。また、個々のコミュニティにおいての暗黙的なジャンルルールなどがあり、それをMMDという大きなくくりに収める事は不可能な状態だ。
 恐らく今でもMMDで動画投稿イベントに参加したいという需要がある事は把握しているものの、各ジャンル間での問題発生確率とリスクヘッジを計画するには、パブリックコメント募集ないし研究会議などを開催する必要がある。
 これはボランティアの枠外の事になるので、非現実的だ。

エンドユーザーの行動心理

 ニコニコ動画以外に視点を移すと、YouTubeへの動画投稿もしくはニコニコ動画との併用をしているユーザーも多々見受けられる。
 ただしYouTubeはシステムと母数が肥大化・分散化してしまい、MMD作品を投稿しても、ニコニコ動画に対し1/4~1/10しか見込めない。また、検索システムの弱さは致命的で、MMDとは相性が悪いと言わざる得ない。
 通常動画投稿を基とするMMD杯システムはYouTube等の海外サービスでは展開できない。逆にいえばニコニコ動画が特殊とも言えるだろう。だからこそ、MMD杯システムは当時運用可能だった。
 また過去に、海外ユーザー主催でYouTube版MMD杯のようなものは開催された事がある。
 結果についてはネット検索を活用して自身の目で確かめて欲しい。

 これら理由により、MMD杯イベントの需要はあるものの、それに対するリターンを提供できる状況にないのが現状だ。

結論

 以上を踏まえると、既に冒頭で記載した通り実現不可能と判断した。
 シンプルに「楽しそうだから」「やってみたいから」という出始めでイベントを行う事は可能ではあるが、主題であるMMD杯システムと同等または数サイズ縮小したイベントですら、通常生活とのバランス取りが至難であると断言できる。
 全てが筆者の杞憂であったり、他の方式などを発想できる方であれば可能かもしれないが、需要があるからやってみる、というのは安易に推奨できない状況だ。

 最後に。
 未来を見るのであれば、恐らくニコニコ動画の活用ではなくCluster等のVR/MR環境でのMMD杯システム活用は可能かもしれない。それにはまずハードウェアの低価格化とxRサービス提供側との連携が必要になる。
 それは今ではなく、少なくとも来年(2025年)以降であるだろうと予測している。

以上。

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かんな@バーチャルJC
どこにでも居るバーチャルJC MMDユーザーの一人。 MMDアニメーター、動画制作・編集、VTuber関連制作などを行っているただのJC。