「気候非常事態」に関する声明
2019年12月31日
NGO 環境ウォッチTOKYO(旧「東京都公害防止条例改正市民案をつくる会」)
代表 牛島聡美(弁護士)
当会は、1999年10月に「東京都公害防止条例改正市民案」を提言し、温室効果ガスであるフロン回収の有益な制度を根付かせることを始め、将来世代のために気候環境を守ろうとしました。
ところが、20年後の現在、気候変動の進行は当時の予測をはるかに超えて進み、将来世代どころか、現在の世代の世界各地の、人命・財産への被害が、気候変動の影響で生じています。工業化以前の水準から1.5℃以内の気温上昇に留めないとますます危機が強まると言われておりますが、早ければ2030年にも1.5℃上昇に達する可能性がIPCCの1.5℃特別報告書で示されています。まさに気候危機(Climate Crisis)という状況です。
オーストラリアのデビアン市で、2016年に「気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration=CED)」が出され、その後、世界の国、自治体、大学等で出されており、2019年になってから急増しており年末で25カ国、1300弱の自治体に達しています(ロンドン、ニューヨーク、パリ、イギリス、スコットランド、アイルランド、マン島、ポルトガル、カナダ、フランス、アルゼンチンなど)。
日本でも、今年NPO環境経営学会有志、長崎県壱岐市、神奈川県鎌倉市、千葉商科大学、長野県白馬村、長野県、福岡県大木町、鳥取県北栄町、大阪府堺市などが声明・宣言を発表しております。また、日本学術会議も会長談話として「地球温暖化」への取組に関する緊急メッセージを発信しています。
発信元のオーストラリアでは、ニューサウスウエールズの若い法律家の会や、シドニー大学ロースクールなども、人権、世代間の公平、気候正義の観点から、声明を出しています。当会も、このような情勢に賛同し、声明を発表します。
【声明】
1.当会は、人類の活動を原因とする気候変動により、憲法や各種国際規約が定めた生存を含む人権、平等、すなわち正義が危機に晒されていると認識する。
2.当会は、気候変動の「緩和」と「適応」のため、法を含む制度的障害を研究し改善提言する。
3.当会は、日本政府、自治体、事業者、科学者団体、NGO諸団体、教育関係者等に、「気候非常事態宣言」へ連携することを呼びかける。
4.当会は、日本政府や自治体に対し、
・2050年またはそれ以前に、所管エリアの温室効果ガス排出量を実質ゼロ、エネルギーは全て再生可能エネルギーにすることを求める。
・2030年またはそれ以前に、自治体管理・使用施設のエネルギーは全て再生可能エネルギーにすることを求める。
・日本政府の2030年の目標を引き上げ、温室効果ガス1990年比50%以上の削減、再生可能エネルギー電力目標50%へ引き上げ、事業者がサプライチェーンも含め、再エネ100%の製品を求められる時代に適応できるようにすることを求める。
・気候変動の影響を受けやすい生態系、農業、地形その他の特色を調査し、地域企業
・住民に知らせるとともに、適応対策をとることを求める。
・年金など公的資金は、化石燃料関係に投資しないことを求める。
5、当会は、事業者に対し、2050年を待たずできるだけ早く、自社事業所、およびサプライチェーンの再生可能エネルギー100%転換の宣言と進捗の報告を求める。宣言と報告があれば、市民・消費者は投資先の選択の際などに考慮し、応援することができる。
6. 当会は、送配電網を持つ電力会社が、自治体や事業者が再生可能エネルギーを導入することについて積極的に協力することを求める。 以上
(賛同会員 後藤敏彦、田中徹二、都甲公子、歌川学、浜口真理子)