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ユーザー歴15年!「液体たい肥 土いきかえる」とともに歩む、知床農家の土づくり〈善玉菌を探す旅 #9〉

牛の尿を乳酸菌などの微生物で発酵・培養させた液体が原料の「液体たい肥 土いきかえる」(以下、土いきかえる)。水に混ぜてまくだけで土壌改良、植物の生長促進に効果があります。

今回の善玉菌(=善玉活性水を使って、地域によいことをしている人)は、「土いきかえる」ユーザー歴15年の知床半島・斜里町朱円の牧野農場/牧野さんです。

牧野さんへの取材は「善玉菌を探す旅」スタート時から、窪之内誠社長が「ぜひお願いしたい!」と熱望していました。

牧野農場のある朱円地区は明治10年(1877年)、岩手県から入植した鈴木養太が開拓の礎を築いた「斜里町農業発祥の地」。今回は、同町出身のライター・中山が、牧野さんとお付き合いが長く、生家が農業の窪之内覚会長と一緒におじゃましました。

<プロフィール>
牧野農場/牧野進さん。畑作農家の2代目。58歳。ビート、小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、ニンジン、小豆などに「土いきかえる」を使用し15年目。

上空から見た牧野農場

使い続けて生まれるメソッド

窪之内会長 まず僕がホームセンター「ダイゼン」の店長時代、園芸用品売り場でお客様から「プランターで使った古い土は使い回せないの?」という相談をしょっちゅう受けていたんです。要するに、古い土を捨てて新しい土に替えるのが大変だと。
それで「きえ〜る」の原料となる液体を自宅のプランターの土に使用し、6年間、同じ土で園芸を続けたところ、土が再生していることを実感したんです。これを改良し「液体たい肥 土いきかえる」として商品化しました。
最初に土壌改良材販売会社の「オホーツク大地」さん(北見市)にお取り扱いいただいて、牧野さんに薦めてくれたんです。

斜里町の小麦とトウモロコシ畑

牧野さん ビート(甜菜。砂糖の原料で、斜里の代表的な作物のひとつ)にも小麦にも、作物全般に使っています。うちではもはや散布するのが当たり前になっていますね。
うちは約52ヘクタールの作付け面積に対して、「土いきかえる」18リットル缶を約120缶くらい使っています。15年ほど前から使用していますが、当時は酵素とか天然成分由来の農業用資材はまだなかった時代でした。

窪之内会長 牧野さんはオホーツク管内で第1号のお客様であり、一番多く利用してくださっているんです。

牧野さん

窪之内会長 「土いきかえる」自体の肥料成分は微量なのですが、入れることで土壌中の栄養素を植物が吸収しやすい形に変えたり、肥料と併用することで生育を向上させる効果があります。それによって、土の再生や根張り向上、収量増加、葉色向上が期待できます。
環境大善ではこの効果を解明するべく、北見工業大学と連携して研究に取り組んでいるところです

---牧野さんはクチコミで同じ地域の農家さん方に「土いきかえる」を薦めているそうですね。

牧野さん 一人だけ頑張って土壌改良と言ってもしょうがないからね。いいものは伝えていかないと。ビートの育苗管理中には1週間に1回ほど200倍希釈、苗を植える前にも土自体に55倍希釈で散布しています。

 病気を防ぐため、ジャガイモの種イモを「土いきかえる」を250倍希釈した水槽に「どぶ漬け」したりもしています。

牧野さんから「土いきかえる」を薦められて使うようになった菊池さん

---菊池さんは、牧野さんに薦められて使うようになったそうですが、いかがでしょうか。

菊池さん 使用して10年目ですが、ニンジンについては根腐れが少なくなったように感じます。害虫も、あまり気にならなくなりました

-----皆さん、長年使うことでメソッドを培って共有しているのですね。以前、ビート畑の補植(機械で植え漏らした箇所に手作業で苗を植える作業)のアルバイトをしたことがありますが、直径10〜15センチにもなるビートが、元は本当に小さな苗なので驚きました。

牧野さん 植えて3日もしたら根を張り出しますよ。ただ、その3日以内に霜が降りちゃうと苗が死んじゃうんです。賭けですよ。

牧野農場のビート苗

牧野さん ビートに関しては病害虫防除前に「土いきかえる」を250倍希釈で使っています。播種前は55倍希釈ですね。
この地区では僕含め3軒が「土いきかえる」ユーザーなので、万一在庫を切らした場合は、仲間の農家に駆け込んでいます。地域ぐるみで使うと、そんな連携ができますね。

窪之内会長 今年で販売19年目ですが、おかげさまで3月だけの売り上げを見ても過去最高を記録しています。農家さんはじめ、ホームセンターなど販売店さんも有機農法に関する資材への関心が高まっているのを感じます。
近年は大規模圃場向けに「土いきかえる」大量タンク注水サービスも始めました。

「土いきかえる」は、いいところ取り

窪之内会長 農家さんはできるだけ連作障害(同じ場で同じ作物を繰り返し作付けする「連作」で起こる病や生育不良)が起きないように営農計画を立てるのですが、連作にせざる得ない場合もある。
そこで「土いきかえる」をぜひ使っていただきたいです。前年度の土の再生や連作障害対策にはもってこいなんです。

牧野農場のトウモロコシ畑

牧野さん 比較的、連作障害に強い作物は玉ねぎくらいですかね。小麦は連作したとして2年くらいが限度かな。ビートも病気になりやすいので殺菌剤は必須なんです。
雨が多いときもだめですね。土が湿気ると悪い菌が増殖しやすくて、病気のもとになっちゃうんです。

オホーツク大地/北網エリア担当・森谷さん 「土いきかえる」の位置付けが、肥料でもなく、農薬でもなく…土壌改良材に近いのかなと思うのですが、一般的な改良材は、ミネラル系のイメージが強いんですよ。

---と言いますと?

森谷さん 三要素である窒素・リン酸・カリが肥料の重要な成分です。これに鉄やマグネシウム、亜鉛など土由来の鉱物(ミネラル)が不足しているところに供給するのが、いわゆる土壌改良材なのですが、「土いきかえる」はそれとも違う。
近年、ヨーロッパを中心に新しい農業資材として話題になっている、バイオスティミュラント(気候や土壌のコンディションに起因するダメージを軽減し、健全な植物を生育する新技術)に近いかもしれません。その上、肥料の効果も促進するので、いいところ取りなんですよ。

知床開拓は「石との戦い」

---牧野さんは先代から農業を引き継いで何年目ですか?

牧野さん もう40年近くになるかな。うちは石川県からの開拓民で、開拓当時の人は土壌改良なんて思いもしなかったでしょうし、自分が意識するようになったのも、継いでからですね。昔の土は固かったと聞きます。

朱円地区の畑に建つ「斜里農業発祥の地」記念碑(開拓120周年記念誌「郷土史 朱円」より)

---町内の他の農家さんからも、開拓当時の斜里の畑は石だらけで大変だったと聞きました。

牧野さん 今は重機にも除礫する機能(石などのふるい分けバケット)がありますが、当時は掘ればすぐ石が出てくる状態だったらしいです。暑いときは石が熱を持って、作物がだめになってしまう。石を出しては新しく土を追加するの繰り返し。

---まさに土づくりと、石との戦いですね。

牧野さん なにせ畑の土を柔らかくしなければ、いい作物は育ちませんから。「土いきかえる」を活用することで、いい土づくりができているという安心感につながっています。

窪之内会長 ジャガイモをつくっている農家さんから「土いきかえるを使うと、土離れが良くなる」と言われたことがあります。土が柔らかくさらさらで、作物にくっつきにくくなると。遠くは、鹿児島県の沖永良部島のジャガイモ畑でも使われています。

国内外に広がる「土いきかえる」の輪

窪之内会長 カンボジアでは、稲作の肥料に土いきかえるを混ぜてペレット化するなどで年間120トンほど出荷しています。ベトナムからもお声がけがありますね。牧野さんの小麦畑を見学して「うちも土いきかえるを使う!」と決めてくれたんです。

ベトナムの農場視察の様子

---ゴルフコースの芝生にも使われているとか。

窪之内会長 国内のゴルフ場約70箇所で使われています芝生の緑が濃くなって枯れが減ったとの声が聞かれています。傾斜が多く、たい肥をまくのに苦労していた滝上町や大空町東藻琴の芝桜公園ではドローンでの散布を依頼されました。そんな形で今後、観光産業にも貢献できたらと思います。

また、土いきかえる室内・ベランダガーデニング用をリリースしたところ、都市部の集合住宅に住む方に好評です。臭いがしないのが支持される理由の一つでしょう。

牧野さん たい肥や液肥は服に付着すると、トラクターに乗ったら臭いが充満するけれど「土いきかえる」はその心配がないです。管理が楽なのもいいですね。冬は倉庫に置きっぱなしで凍結しても、解かせばまた問題なく使えますから。

牧野農場のトウモロコシ畑

窪之内会長 一昨年から牧野さんにお願いして、「植物の保護液 無農薬への道を使って自家用で無農薬栽培のトウモロコシを育てていただいています。これがえらくおいしいんですよ!
「無農薬への道」はニームオイルに蒸留木酢液と善玉活性水のブレンド液で虫に負けない健康な植物に育てます。

牧野さん 虫は、ほぼ発生しなかったです。

窪之内会長 皆さん、できれば殺虫剤や殺菌剤は使いたくないのが本音ですよね。農家さんでも、家庭園芸は有機農法でやりたいという方が多いです。私たちも農薬や化成肥料については否定していません。「土いきかえる」と併用いただきながら、安定的、継続的な、本当のサスティナブルな農業を目指す方が増えたらうれしいです。

ライター:中山よしこ(シリエトクノート)

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