【短編小説】波乗りジョニーでノリノリ〜

7月に入って、朝から晩まで暑すぎる日々。「明日は37度の地域もあります」なんてほざいているテレビに「ぬるま湯風呂か!」と突っ込む俺。
だが、俺は少しだけ今日は気分がよかった。
最近ではあまり店頭で見なくなった男前豆腐店の波乗りジョニーを久々に買えたのだ。それもノーマルと枝豆味の二種類。
そもそも波乗りジョニーとはどのような豆腐かというと細長いサーフボードのような方の容器に入っているのが大きな特徴なのだが、ただの見た目が面白いだけでなく、豆腐そのものもこだわっている。北海道産大豆と沖縄県糸満沖海水にかりを使用している。この北の恵みと南の恵みの奇跡的なフュージョンによる究極的な大豆の甘み、旨みを感じられる濃厚なめらか仕立ての絹豆腐だ。
普通の豆腐に比べるとかなり値は張るのだが、それだけの価値のある美味しさで、俺は以前一度試しに購入してからすっかり波乗りジョニーの虜になっていた。
だが、リピートしようとしても、タイミングが悪かったのか、なかなか売っておらず、俺は波乗りジョニーロスへと陥っていた。
だからこそ、今日たまたま仕事帰りに波乗りジョニーに出会えたのはまさに奇跡といっても過言ではない。しかも枝豆が練り込んであり、まるで抹茶ムースのような見た目が特徴の枝豆味まで。本当は店頭にある在庫全てを買い取りたかったが、俺はそこまで余裕があるわけではないので断腸の思いでそれぞれ一つづつ購入した。
そして帰宅した今から、まさに波乗りジョニーと家にある缶ビールで一杯洒落込もうというわけだ。
醤油も用意するが、まずはそのままで食べる。
美味い、やはり美味い。これは豆腐というよりスイーツに近い。だが、やっぱりさっぱりもしていて非常に食べやすい。波乗りジョニーなんてふざけた名前だと初見こそ思ったが、パッケージに記載してあるこだわりの食材、そしてこの足を知れば男前豆腐店がいかに真摯に豆腐に向きあっているかが、ヒシヒシと伝わってくる。まさに豆腐作りに対しての姿勢が男前なのだ。
この口当たりもとても滑らかでまるでプリンのようだ。次は醤油やわさびをつけて食べてみる。
これまた美味い。もうこの豆腐は何と合わせても美味いのではないかとつくづく思う。
この滑らかさと清涼感が、暑さと疲れでバテバテな身体に爽快感を与えてくれる。そしてその爽快感をさらにマシマシにするのがビールである。この組み合わせはヤバいと自覚したときはとき既に遅く、豆腐もビールも一瞬で消え去ったのであった。

「また、買ってくるかあ」

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