聴しあう自然
山門水源の森で永原小学校6年生の3回目の自然学習。1時間40分の授業でした。
今回は「どんな保全作業があるのか」がテーマ。あらかじめ調べ学習で考えてきた保全作業について発表してもらい、それに応えて「山門水源の森はどうやって保全されているのか」についてお話ししました。
実は保全作業の内容はあまりにも多岐にわたるので簡単に説明はできません。なにせ会員用のスケジュールにはほぼ毎日びっしりと書かれているほどです。
そこで毎月2回(第1・3土曜)の保全作業の日の作業内容を月ごとにまとめ(たとえば4月にササユリのネット設置とか)、そのほかのパトロールや森の整備、獣害対策、作業道づくりなどは熱心な会員や森林キーパーなどの方々によって日々行われていることを説明しました。
印象に残ったのは、外来種という言葉について除草の説明でたずねたところ知らないという生徒がいなかったことです。具体例を挙げてもらうとブラックバス、ブルーギル、アカミミガメなど水辺の生き物ばかりが挙がってきます。これはテレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く」の影響かも知れません。
植物の例としてセイタカアワダチソウとススキの戦いについて話し、外来種は駆除すべきかという問題については「あたらしい生態系(New nature)」という考え方もあることに触れました。これも議論すると面白い内容だと思いますが、残念ながら今日はそこまで時間はありません。
獣害調査・獣害対策については最近おこなっているヒノキのテープはがしについて触れました。これは前回の学習でも体験してもらいましたが、これまでテープを巻いていたのに、なぜはがすのか。その背景には獣害の被害が減ってきていることと、マイクロプラスチックの問題があります。
ここで「せっかく巻いたのに意味がないじゃないか」という意見が生徒から出ました。これは大変重要な意見で、意味はしばしば変わることを話しました。もっと言えば意味か無意味かで考えるのではなくて、自然を相手にするときは非意味の態度、耳を澄ませる態度が重要になります。
そのなかで「聴す」を「ゆるす」と読むことを紹介し、耳を澄ませることの大切さと自然同士が「ゆるし」合っている世界とも言えることに触れました。「ゆるす」という態度は意味-無意味ではなくまさに非意味といえます。そんな話をしたあとに森に出掛けました。
そしていつものルートとは違うできたばかりの作業道を通り湿原でササユリの種をまく保全作業を体験して下山しました。
今回は歩きながら自然を「聴しあう世界」という目で見つめると違った風景に見えることの驚きを感じました。
「聴く」ということと「ゆるす」ということについては別の機会に深められるといいなと思います。
次回の地層学習が6年生最後の学習です。最後の学びもどんな驚きが感じられるか楽しみです。
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