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20年前のベストセラーが復刊!人気を集め、立て続けに増刷までしているのはなぜ?
今年の5月、かんき出版のある絶版本がひっそりと復刊しました。
その名も『新版 ゲーム理論トレーニング』。
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タイトル通り、96のクイズを通じて「ゲーム理論」身につけることができる実践的な一冊です。
この本、お恥ずかしながらものすごくお金や手間ひまをかけて宣伝できた本というわけではないのですが、実は復刊から半年足らずで2回重版し、累計発行部数もすでに1万部を突破しているのです。
2003年に発売した旧版はベストセラー本だったとはいえ、約20年の空白があり、一度絶版にもなっている本です。
かなりのブランクを経て復活した『ゲーム理論トレーニング』は、どうして2024年の今、人々から支持を集めているのでしょうか。
そもそも「ゲーム理論」とは
「ゲーム理論」について、著者は本文でこのように解説します。
ゲーム理論の体系を創始したのは、コンピューターの基本方式に名前
を残した数学者でした。その点できわめて「論理的」な体系です。ただ
し、「利益」を最大の目標とする科学だという特徴があります。だから
主として経済学の分野で発達しました。近年は、ノーベル経済学賞の受
賞者を何人も出しています。すそ野も広がり、生物学などにも大きな影
響を与えています。近年は、ゲーム理論で賞金5千万円の京都賞をもら
った生物学者までいます。もちろん、政治学やコンピューター科学分野
などでも、広く利用されている理論体系です。
では、「ゲーム理論」は、学者や研究者の人たちを中心に親しまれている「学問」で、ごく普通の学生や社会人をしている我々には役立たないのかというと、そういうわけではまったくありません。
著者は以下のように続けます。
ゲーム理論は、普段の日常生活のいろいろな場面でも役立ちます。た
とえば、次のような人には特に即効性があるでしょう。
・ビジネスの競争や裁判を有利に運ぶ「戦い方」を学びたい。
・相手を言い負かす論理や作戦を学んで「議論」に強くなりたい。
・近所付き合いやビジネスの「交渉」をうまく進めたい。
・企業との連合など「協力関係」を有利に構築したい。
・「人間関係」の指針を学び、恋愛などの社会性を身につけたい。
・「生き方」の哲学として、よい人生や人間性について考えたい。
・株式売買などで損をしない「ギャンブル」の名手になりたい。
・スポーツやテレビゲームなどの「ゲーム」の名人になりたい。
・助言の才を身につけ「アドバイス」に説得力をもたせたい。
「ゲーム理論」と聞くと、最初のトピックの「戦い方」のように、「勝ち負け」にかかわる力がつくようなイメージが湧きませんか?
相手を「論破」するとか、株で「勝つ」とか、ビジネスで「優位に立つ」とか……。
でも、項目を順に見ていくと、おわかりですよね。
そういうはっきり「勝ち負け」がつくものだけではなく、周囲の人とうまくやったり、大切な人と関係を深めたり、あるいは自分自身を洞察したりするための能力、技術として、「ゲーム理論」は役に立つのです。意外!
どんなトレーニングができる?
本書に実際に掲載されている問題をひとつ紹介します。
ゲーム理論で重要なことのひとつが、「勝つためには『損失』に注目すること」。そんなルールを体にしみこませるためのすごく簡単な問いです。
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著者はこの問いを「いちばんやさしい問題」と解説しています。
事実、本書で最も簡単な問いだと思います。素直に考えて大丈夫です。回答は次のとおりです。
もちろん、なりません。
考え方としては、現在の得点ではなく、失点に注目するのです。
当たり前です。こんな理論で勉強ができるようになれば、我々は学生時代のテスト勉強にも、受験勉強にも、そして大人になってからの資格取得など各種試験にもこんなに手こずっていません。
しかし、「現在の得点ではなく、失点に注目する」とはどういうことでしょうか。
平均90点のとき、失点は10点です。その失点を減らすのがたいへんなんです。失点を半分の5点に減らせれば、平均点は95点に上がります。しかし失点を半減させるためには、勉強時間を2倍にしなければならないと考えたほうが、本当のところに近いのではないでしょうか。その考え方なら、勉強時間が4倍で97.5点、8倍で98.75点……となります。永遠に平均100点には達しません。
ところが、「あとちょっと勉強したら」と考える人たちが多いのが世の常です。むしろ失点側に注目しましょう。
製品の「不良品率」や「工作精度」なども、これと似たような考え方になります。1%の不良品率を、0.1%まで下げようとすると、長期間にわたって綿密な研究と品質管理手法の構築が必要です。
たとえば不良品を発見する手間を考えるだけでも、そのたいへんさがわかります。1%の不良品率なら、100個に1個程度の不良品が見つかります。ところが、0.1%の不良品率なら、1000個に1個しか不良品が見つかりません。
不良品を見つけないことには、製造工程のどこが悪いかわからず、対策の立てようがありません。その手間だけで、10倍程度はかかるというわけです。
言われてみればすごく当たり前のことですが、これが事実として、理論として頭に入っているだけで、仕事や日常生活における「失敗」あるいは「不成功」に関する考え方ががらっと変わりませんか?
「足りないあと10点」を補うためには現実的にどのくらいの工数がかかるのか、不良品率はどうして一向に下がらないのか、製品エラーを出した取引先は原因究明にどうしてこんなに時間がかかっているのか……。
これらの問題に具体的で論理的な理由がついてくれば、納得でき、苛立ちや焦燥感も多少はおさまるはずです。
そして、問題の解決に向けて自分がどんな行動をとるのが最善なのかも、自然と見えてくるのではないでしょうか。
ちなみに、本書でも紹介されていますが、この考え方は株取引に非常に有用です。自分がすでに持っているものではなく、持っていないもの、失いうるものに注目すると、あらゆる「ゲーム」を進めやすくなります。
2024年の今だからこそ、「ゲーム理論」が役に立つ
本書で紹介される「ゲーム理論」は、このように汎用的かつ普遍的で、どれほど時間が経っても色あせない理論です。
昨今は「VUCA時代」と言われて久しく、未来を予測することがすごく難しい時代になっています。
今日の常識があっという間に明日の非常識になることは、コロナ禍でもさんざん思い知りましたよね。
そういう、見通しが立てづらく、移り変わりが激しい時代だからこそ、「ゲーム理論」のような普遍的でどんな状況にも応用が効く思考法を知っておくくと、時代の波に上手く乗りながら、自分の大切なものを守って生きていくために役に立つのではないかと思います。
だから今、『ゲーム理論トレーニング』がこうしてひそやかな広がりを見せているのではないかなどと、やや壮大な考察をしているわけなのです。
考察は以上
こんなことを言ったあとでなんですが、この本、普通にクイズ本としても面白く、楽しみ尽くせる一冊です。
頭の体操や気分転換にも活用でき、96問も載っているので満足感たっぷりです。
繰り返しになりますが、本記事で紹介した問いは常識確認的ポジションの、非常~~~~~に簡単な例です。本の中では、もっとハイレベルな問題があなたを待ち受けています。
勝負強くなりたい人にも、人間関係をもっと円滑に進めたい人にも、自分と向き合いたい人にも役に立つ一冊です。
ここで申し上げたような壮大なことは考えなくとも、実力試しのような感覚でぜひ気軽に手にとっていただけたら嬉しいです!
LINEで冒頭試し読みできます
2024年10月17日までの期間限定で、本書の冒頭を試し読みできます。
どんな内容かな、どんな問題が載っているかな、というのを実際に読んでみたい方は、ぜひこちらから当社のLINEアカウントにお友だち登録のうえ、試し読みをご覧になってみてください!