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江ノ島、楽しすぎるだろ【鎌倉〜江ノ島おさんぽ日記②】

9月某日────

$${\LARGE\text{来たぜ、江ノ島!}}$$

鎌倉観光もあっという間に終わり、本日やってきたのは江ノ島!正直な所、この旅行で1番楽しみにしていた。
この旅行での行先を考えていた時、地図アプリを眺めていたらふと江ノ島の文字が目に留まった。まず思ったのは「江ノ島ってこんな小せぇの!?」である。多くの旅番組で取り上げられているのを昔からよく見たし、様々な創作物に登場するくらい魅力的な観光地という印象はあったが、ここまで小さいとは思わなかった。
この小さな島に一体何が潜んでいるのか。みんながなぜここを訪れるのか。その理由を暴く気持ちで観光していこうと思う。対戦よろしくお願いします。


全ての人間を殺す自販機
戦いは既に始まっている

邂逅

駅を出てから目的地に向けて、商店街のような道が続く。それほど広くない道幅に海鮮、ピザ、屋台、カフェなどがかなりの密度で並んでいた。

徒歩で少し歩き、その通りを抜けると一気に視界が開けた。
今まで視界を遮っていた屋根が無くなると高い空が広がり、心地の良い風がながれこんできた。目の前には海、一直線に伸びる橋。
そして────



見えた。江ノ島が。

「この」景色だ………。今日のさわやかは今までのさわやかとは違う。これまで画面の中だけで見てきたこの景色を、今日は自分の足で歩くんだ。
ついに来たんだな……。

「細い道を抜けると視界が開け、本命の江ノ島がドーンと待ち構えている」というストーリー性が実に良く、すでに観光地としての強さを感じられる。

まだ旅は始まったばかりだぜ。息を整え、江ノ島へと歩き始める。


$${\large\text{さあ─────}}$$


$${\large\text{行くぞ─────!}}$$










$${\LARGE\text{……………}}$$



あまりにもテレビでしか見たことない景色すぎて
未だにホログラムかどうか疑っている



江ノ島弁天橋を渡り始めて15分、島が近づいてくると徐々にディテールが露わになってきた。

四天王とか名付けられてそうな豪華な建物が並んでいる。
一体どんな功績を成し遂げたらここに店を構えられるのだろうか。観光客をもてなすムードとは裏腹に、素人には想像も付かない攻防があったに違いない。緊張してきたな……


橋を渡りきった瞬間に今までの疑念は解かれた。情報だけでは分からない本当の江ノ島がそこにはあった。漂ってくる海鮮の香り、意気揚々とはためくのぼり、食堂やお土産屋の掛け声、それを求めて観光客が列を成し、人々の営みがそこにはあった。
そして同じように、そんな江ノ島を観光しにきた人間がここにも一人。

そう、俺も江ノ島の一部になったのだ────


江ノ島の洗礼

これが江の島弁天橋周辺案内図だ!

入り口付近からいかめし、サザエのつぼ焼き、はまぐりといった海産物の誘惑が襲い掛かるが、ここで満腹になるわけにはいかない。これから長時間歩くとなるとお腹が痛くなってしまう。なので計画的に旅を進められるように、しばらく歩いてから昼食にしようと決めていたのだ。
僕は計画をしっかりと立てられる大人なので。

生しらす丼食えるのぉ!?!?!?

ああ。見つけてしまった。燦然と輝く"生しらす"の文字を。もうだめだ。僕の完璧な計画が狂ってしまった。おかしい……こんなの僕のデータには無いぞ……!


「2色丼とコーラでよろしいでしょうか?」
「ハイッッッッッッッッッッッッッ」
ここ最近で一番良い声が出た。

江ノ島に来たらそりゃ食べないわけにはいかないですよね。本当は生しらすオンリーの方を食べたかったが、不漁の影響でどこもハーフ丼しか提供していないそうだ。

2色丼(¥1,800)

うまい。デカい。生しらすマジでデカい。釜揚げしらすと比べると苦みが強い。その分しょうゆをかけるとうまい。しょうがを和えるともっとうまい。デカい。付け合わせに塩辛もあって最高。デカい。なんでこんなにデカい??

驚くのは1匹1匹の大きさ。普段スーパーで見かけるものより格段にデカい。そうか…相模湾で水揚げされたしらすはデカいものから順に食われ、新潟に届くころには小さいのしか残ってないって寸法だな……?江ノ島民はこんな美味しい思いをしてたのかよ……(個人の妄想です)

最後の生しらすをコーラで流しながらこんなことを思った。
(あっ、そういえばしらすっていつも見る白い姿で泳いでるわけじゃないのか……)
……シャケの切り身が海で泳ぐと思っている子供を笑えなくなった瞬間である。


一味も二味も違う商店街

江ノ島入り口から江島神社までの参道に連なる江の島弁財天仲見世通りを進んでいく。これまた歴史ある商店街で、土産物店が多く並んでいる。
最も多くの観光客が行き交う場所だ。こういう場所にはアッと驚くような商品があると睨んでいるが、果たしてどんな粋なものを見せてくれるのか。


$${\LARGE\text{““““粋””””すぎるだろ}}$$

すごくないか???どうにかして雨を楽しいものに変えようとした天才がいるね?????

俺は雨にマイナスイメージしかなくて、晴れてる方が良いという偏見があるんだけど、この傘はすごい。何がすごいって、これを使えば雨が降ってる時ほどアドバンテージがある世界にたちまち変えてしまう所だ。この世界では嫌なものを消し去ることは難しいが、それに対する認識を変えることならできる。それを可能にしてくれる希望に満ちたアイテムだ。雨天が少しでも楽しくなるようにという思いが伝わってくる。
この傘の制作者に世界の美しさを教わった……ありがとう……。

感動しすぎて帰りに買った


登るぜ!

見てくれ。今まで渡ってきた橋が、商店街が、すっかり遠い景色になっちまった。ここまで来たらもう振り返ることは許されないぜ。この先の山道からが本当の江ノ島だ。


$${\large\text{さあ─────}}$$


$${\large\text{登るぞ─────!}}$$




足腰が限界すぎてエスカー券を買った。(江ノ島の上り専用エスカレーター)


BGM:江ノ島エスカー/ASIAN KUNG-FU GENERATION

エスカーを登ると色々な寺院や建築物が建ち並んでいた。この辺りは狭いスペースに名所がギュッと固まってるという印象だ。やっぱり観光客を意識してレイアウトを考えてたりするのかな。

お金を洗うとご利益がある泉
鎌倉と合わせて何回お金を洗うんだ???
洗ったぜ
ネコ。

ネコ。
江ノ島の猫の町アピールって本当だったんだ…

全ての人間の症状に寄り添う自販機
何かあったらここを訪ねろ


頂上だ!

頂上だ!!
エスカーを登り切ると公園のような広場に出た。ヤシの木(?)が生えてたり規則正しく並ぶ白黒のタイルだったり、なんともトロピカルな雰囲気だ。さっきまでの山登りとは違って遊び心のある道に変わり、メリハリのある旅が楽しめる。

ア!ここは!!
「ぼっち・ざ・ろっく! 」でぼっちちゃんがトンビに襲われてた場所だ!!

ぼっち・ざ・ろっく! アニメ9話で
トンビに襲われたぼっちちゃん

ここは!!!!
「ぼっち・ざ・ろっく! 」で結束バンドがアイス食べてた場所だ!!

ぼっち・ざ・ろっく! アニメ9話で
アイスを食べる結束バンドのみなさん
ぼっち・ざ・ろっく! アニメ9話で
結束バンドがアイスを食べてた場所の
結束バンド抜きさわやか入り


この男、浮かれすぎである。


頂上にサムエル・コッキング苑という植物園が併設されていたので立ち寄ってみた。かなり草タイプのジムっぽくない???

いやだいぶ草タイプのジムですよこれ。
煉瓦でできた施設が残されていたり、迷路っぽかったり、ところどころにギミックが仕込まれてそう。
広すぎて本気で迷いそうになってしまった……。元の道に戻ろうと手当たり次第に彷徨っていると、偶然次の目的地を発見した。

江の島シーキャンドル、庭園の奥地にひょっこりと現れたのは、江ノ島のシンボルにして一番高くまで登れる展望灯台だ。まるで「ここに来れば面白いものが見られるぞ」と言わんばかりに存在感を放っている。

登るしかねぇ!!

良い眺めだぁ…。
展望フロアに登るとここまでの道のりが一望できた。歩き始めて4時間くらい経ったが、こうして小さくなった景色を見ているとあっという間だった気もしてしまう。疲労感に対して時間の流れが早すぎるぞ……。
江ノ島の魔力を感じられる場所、それが江の島シーキャンドル。

こんなに広い太平洋を拝めるのは江の島シーキャンドルだけ!!!!



飲食店街、そして剥き出しの大自然

頂上の広場から先へ進むと、江ノ島はさらに違った姿を見せ始める。まず感じたのは異様に道が狭いことだ。これまでは観光客向けにある程度作られていたが、ここからはディープな江ノ島といったところか。
画像左側を見ると分かる通り、最初に見て以来の御食事処があり、この先も様々な種類の飲食店が営業していた。
これだけ奥地に来て殊更飲食店が増えるなんて……観光地としての意欲が高すぎる…!

ふと左に目を向けるとすぐそこは海。これが希釈無しの江ノ島だぞ、と切り立った岩肌が伝えてくる。道が狭いのもあるがなかなかワイルドな旅になってきたぜ。


入り口で1,800円だった2色丼が
1,200円!?!?!?!?
しまった……ああいう場所での値段は……いわゆる観光地価格………。こっちの方が料理のジャンルも多いし、事前にサーチしておくべきだったか……?

………や、後悔はしてないっすよ?旅の最初に生しらす丼を食べた時の感動は何物にも代えられないんで……ハァイ……



そろそろ旅も5時間くらい経過しただろうか。流石に足も限界になってきた。悔しいが、帰りの心配もあるしいっそのこと引き上げてしまおうか… などと折れそうな俺の前に"そいつ"は姿を現した。

ほぼはてなマークの自販機

おいおいおいおいおいおい。つくづく人を楽しませてくれる観光地だ。他の人も同じことを考えてたのか、隣にある普通の自販機よりこっちの方が売切れ率が高い。気付けば俺の財布から百円玉が2枚、自販機へと吸い込まれていった。そして中から出てきたのは、



$${\LARGE\text{頼もしすぎる}}$$

5時間歩いてきた人間に対するベストアンサーだよ。
江ノ島が、アサヒ飲料が、自動販売機が、この俺に前へ進めと背中を押してくれている。ならばそれに応えねばなるまい。再び前へと歩き出した。

江ノ島で見たもの、聞いたもの

「ようこそ江の島岩屋洞窟へ」の看板。
岩屋といえば、岩壁が波や風に削られてできる天然の洞窟を指すが、そんな大自然同士が衝突しあう場所が近くにあるのだろうか。なんとなく旅の終わりが近い気がしてくる。

!?
!?!? 海だあああああああ!?!?
びっっっくりした。あまりの唐突さに一瞬事態を呑み込めなかった。さっきまで木々に囲まれた山道を歩いていたはずが、急に水平線が見える海岸へと放り出された。

そうか……何も考えず歩いていたが、俺はいつの間にか江ノ島の反対側まで来ちまったのか…。地図を見ながら歩いたことで、今では江ノ島の形がハッキリと分かる。なんだか江の島を手中に収めた気分だ。

ここが江ノ島の最奥にして最後の目的地、江の島岩屋。波の浸食により作られた海食洞窟だ。自然な姿の江ノ島がそのまま残されており、江島神社発祥の地でもある歴史深い場所だ。

「あなたの知らない江の島がここにあります。」
なんだか気になる文章が書いてあるじゃねぇか……。

岩屋に入ると展示ギャラリーがお出迎え。
江ノ島の歴史がまる分かりだ。
係員が手燭を配っていた。それぐらい洞窟が暗い。

順路に沿って奥まで進むと江島神社発祥の場所に到着。ここに建てられた石祠を基点に江島神社の信仰は始まり、今の江ノ島の形に至っているそうだ。
おかげ様で今日1日めちゃくちゃ楽しかったですぅ…ありがとうねぇ……


遠い昔の人たちに感謝を告げて元来た道を引き返す。
最後の名所に向けて徐々に明るくなる洞窟。聞こえてくる波の音も相まって現実に引き戻してくるかのようだ。
順路の先で短い階段を登り、岩屋の終着点で俺を待っていたのは───

$${\large\text{ここが「俺の知らない江の島」}}$$


江ノ島を端から端まで歩き、発祥の地まで見てきた俺に、まだまだ江ノ島は知らない表情を見せ続ける。
まさか俺の知らない江ノ島というのは、江ノ島内部から見た外の事だったとは…。その日その日の天気や波の激しさ、果ては気分によってここから見える景色はいくらでも変わる。きっと1日でも違えば同じ江ノ島は拝めないというメッセージだろう。江ノ島を知り尽くした気になっていたが、完敗だ……。

今日見た景色や経験とはもう2度と出会えないかもしれない。そう思うと更に愛おしい思い出になった。この旅での出来事を俺は一生忘れないだろう。



夢でも消えないでいつか

江ノ島は実在した。決してホログラムなどではなかった。
今日が来るまで毎晩地図アプリで小さな江ノ島をなぞるばかりだったが、実際に歩くとこんなにも大きく、地図にはない驚きと感動に満ちていた。それが分かっただけでもここへ来た甲斐があったというもの。
疑ってごめんよ江ノ島……君がこんなにも楽しい観光地だとは思わなかった……
朝より少し濃い色になった江ノ島は、俺に「いいってことよ」と微笑んでくれているようだった。



これから先、江ノ島の名前を見かけるたび君を思い出すだろう────


辛い時には君のことを思い出すよ────


みんなにも「江ノ島はいいぞ」ってオススメするからね────






$${\LARGE\text{僕達、ズッ友だょ…!!!}}$$



鎌倉編↓

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