理性の暴走が止まらない自称保守

論理的思考力や科学リテラシーの乏しい人ほど保守思想に走る、ということが良く分かる記事。


>理論上最大9500匹のネズミが不自由(ストレス)なく生活できる広さ

数値の根拠が不明。僅か2.7㎡に9500匹は素人目に見ても多過ぎる。
実際、過密によるストレスが生じていたことは実験結果より明らかで、「マウスの楽園」でも何でもなく、この時点で既に矛盾している。記事タイトルに偽りありだ。
また、当初の8匹以外に別血統の個体を入れた等の記述がないので、長期に渡る限られた家系間での近親相姦が虚弱体質や生殖不能を生じさせた可能性があるが、そのことについては記事では一切触れていない。他にも、共食いによる疾病の発症や水・空気・餌などを介した何らかの病原体の侵食の可能性についても、言及がない。

>マウスよりもずっと高度な知能を持つ「人類」の一人として、自分の種が自ら滅亡へと進んでいる現状を許してもいいとは、私には到底思えない。

その高度な知能を十分活用できていない者に多い、仰々しい杞憂。

>海外のように過激な個人主義を賛美すること、死刑廃止論や犯罪者人権の過剰擁護によって罪への寛容性を高めること、LGBT尊重の価値観を押し付けること―こういった「理性の暴走」こそがマウスの実験のような社会崩壊を招くのではないか。

論理飛躍が過ぎる。実験と「個人主義、死刑廃止論、犯罪者擁護」との関連性はない。また犯罪者擁護=犯罪者放置でもない。過密ストレスの結果に過ぎない同性間性交や治安悪化を、短絡的に出生率低下の原因と見做し思考停止することこそ、「理性の暴走」だ。
それに歴史上、実際に不安定化し「崩壊」してきたのは寧ろ彼の主張とは逆の、”民度の低い国家のように過激な全体主義を賛美し、死刑推進論や人権軽視によって罪への不寛容性を高め、LGBT蔑視の価値観を押し付ける社会”である。


あまりに倒錯したトンデモ内容なので一体どこの中学生が書いたのだろうと思ったが、記者名とサイト名を見て納得した。ナザレンコ氏と言えば以前、noteでの拙著”「戦えば国を守れる」という思い込み3” https://note.com/kanjoj/n/nb77e492513e2 でも反論した人物。恐らく彼は「左翼・フェミニスト・同性愛者・死刑廃止論者・人権擁護派」等、自身が理解できない人々(所謂リベラル)に対する嫌悪感が昂じて強いバイアスが掛かり、世界を正視することができなくなっているのだろう。このようなレベルの低い記事を載せるサイトが「WiLL」の系列であることも頷ける。

とかく自称保守には論理的思考力・科学リテラシーが乏しい者が多い。彼らもまた低水準教育の犠牲者。義務教育で哲学・心理学を教えないから、想像力・自制心・倫理観・論理的思考力・メディアリテラシー・問題解決力が低くなる。
保守思想に傾倒したから頭が悪くなった、のではない。
元々頭が悪いから、保守思想と相性がいいのである。

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