ゴールデンカムイを読んだ人にしか分からない話

マンガ大賞に選ばれるだけあって読み応えがある。とっくにアニメ化もされているらしい。

日露戦争直後の北海道が舞台で、当時の狩猟・収穫の知恵やアイヌの文化や歴史を学べる他、迫力の戦闘シーン、複雑巧妙な人間関係、シュールなギャグ、先の読めない展開、そして何より個性の強過ぎるド変態キャラが続々登場するので、読者を飽きさせない。

アイヌ語の「ニシパ」「オソマ」「ヒンナ」などは頻出するので否が応にも覚えてしまう(順に「旦那」「うんこ」「おいしい」の意)。グルメに興味がなくても、死ぬ前に一度くらいは動物の脳味噌を試してみたい気にさせられる。

他にも、猿叫(えんきょう)、義足が散弾銃で義手の指が箸入れ、足で挟んでズドンでオギャー、北極熊の肛門から心臓銃撃、人間剝製師(江渡貝くぅぅん)による全身人皮ファッションショー、全員の回想が変顔でオドケル脱獄王白石、動物のみならず岩石にまで頭を噛まれる脱獄王白石、金属にくっ付いた瞼をオシッコで融解、シャチに襲われ恍惚する被虐殺志願者、ヒグマ獣姦中に腹上死する頑張れ姉畑、ラッコ鍋の匂いで興奮してBL展開からの相撲取り組み中、サーカスでリアル切腹ショーするも新聞誤字、トリカブトとフグ毒の拮抗作用で生還する凶運の門倉相殺、ビール工場で夜に干された謎の布団と凶運の門倉スイッチ、「あの家邪魔だな壊せ」と無理難題を指示するアシリパ黒澤監督、パナンペに嫉妬して真似をするが結局ちんぽを切られて死ぬペナンペ、童貞防衛作戦の替え玉婚約者の尻穴を見て逆プロポーズする財閥令嬢、外の熊より親分の浮気が不安な汚乳首ヤクザ姫、下手クソなシスターの似顔絵が実はメチャメチャ上手、褌一丁の谷垣ブロマイドで少女捜索する杉元の物ボケ天丼、両頬に走る棒人間の入墨をした仏顔サイコパスが打たせ湯で金玉左右入替えて精子探偵、エコーロケーションを駆使する盲盗賊団との暗中全裸格闘、地下が拷問部屋で地上がドリフのコント仕掛けのカラクリ老舗ホテル経営者のドS女医♂が患者の脳味噌をツマミ食い、雪山遭難した杉元と共に過ごすも救出直前に串刺しにされる不運な相棒(小鳥)等々、読んでない人には何のことだかサッパリだが、読んだ人にはアハハウフフなシーンがてんこ盛り。

一番理解に苦しむのは、主人公アシリパの父親の行動だ。死を偽装するためにわざわざ自分で自分の頭部の皮を剥ぐのも良く分からないが、娘に金塊の場所をもう少しシンプルに伝える努力をすればいいのに、いつどこでどう死ぬかも分からない大勢の赤の他人の体にややこしい暗号を彫るのも、ちょっと発想が突飛過ぎて付いていけない。
だがこうした奇行がないとこの物語が発生しないので、「まぁ当時の本人にはそれがベストな選択だったんだろう。知らんケド🙄」と飲み込むしかない。

その物語はこの春いよいよ完結を迎えるそうだ。しかも今月はその最終話を含む全話を無料公開というから読まない手はない。

因みに、かつてTBSで放送されたTVドラマの二百三高地で一言だけ「おかわり!」と叫んだエキストラの子役が僕だったというのはまた別のお話。

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