心霊番組も表現・報道・言論の自由

メディアを批判する紀藤弁護士。だがその矛先が間違っている。


>いまだに続けているのがわからない。霊感商法に利用されるだけです。テレビは事実に基づき報道すべき(紀藤氏)

続ける理由は当然「視聴率が取れるから」だが、それ以前に報道の自由がある。たとえ「霊が存在すること」は事実でなくても、「自称霊媒師が霊は存在すると言っていること」自体は事実だからだ。霊であれオーラであれ未来の予知であれ、反証不能なことを主張するのも言論の自由。本人が見えると言うなら否定しようがない。
これはメディアの問題ではなく視聴者各人のメディアリテラシーの問題なので、紀藤氏が文句を言うべき相手も放送界ではなく教育界が正しい。元より高水準教育によって視聴者の科学リテラシー・論理的思考力が十分に高くなれば、この手の番組が制作されることもなくなる。
「TVが犯罪者にお墨付きを与える」という懸念も、視聴者側の問題だ。TVが報じないなら彼らは雑誌やネットその他の媒体を利用するだけである。報道を規制したところで犯罪者の倫理観や視聴者のリテラシーは向上しないので、霊感商法に騙される人は後を絶たない。臭い物に蓋式の表現狩りでは根本的解決にならない。

>霊感商法の片棒担ぎを20年以上やってきてんだよフジテレビは(SNS)

その保守系メディアのフジと同じようなことをしてきたのが、同じく保守系の自民党政権。その結末が安倍氏銃撃事件。「殺せば解決」と考える者は、同じように考える者から命を狙われる確率が高まる(類友の法則)。

>なぜこの時期に #フジテレビ#霊感商法 で訴えられた過去のある #心霊研究家#下ヨシ子 なんかを起用したのだろう。(SNS)

番組制作会社共々、人を見る目がないからだろう。
「突然ですが占ってもいいですか?」という別番組も含め、他局では10年以上前に止めた同類番組を今でもフジが続けるのは、それだけ局内に視聴率至上主義な風土が蔓延していることの表れでもある。低俗な雑誌やスポーツ紙ほど、消費者ニーズに応えようと芸能ゴシップや占いコーナーが多くなるのと同じだ。ポピュリストが多い「維新の会支持者」が、産経新聞購読者の多い地域と重なるのも、同じ大衆迎合の表れである。
学習能力や自浄能力の乏しいエゴイストほど思想が右傾化する。フジテレビやその視聴者が心霊番組から卒業するには、もう少し時間が必要なのだろう。

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