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僕が住むアチャラ地方の特異性について
ジョージアでの現在の反政府抗議デモや政府に対するジョージア国民の考え方や思想を地方ごとに考えている内に、僕が現在住んでいる、西ジョージアはアチャラ地方の特異性が改めて気になりました。他の地方とは大きく異なる歴史を持つが故の特異性なのですが、これについて少し書いてみたいと思います。
ジョージアの中の「自治共和国」
アチャラ地方と普段呼んでいますが、正式名称は「アチャラ自治共和国」です。つまり、ジョージア国の中に自治共和国が存在していることになります。とはいっても、現在はジョージア中央政府の支配を受けているし、通貨や公用語は変わらないので、実質的にはジョージアの一地方であると認識されていると思います。
ちなみに、ジョージアには他にも「アブハジア自治共和国」及び「南オセチア」という地域が存在します。ジョージアを含む殆どの国が独立を認めておらずジョージアの一部であるとしているのですが、ジョージアの支配は及んでおらず、ロシアの後ろ盾を持つ事実上の独立国家です。ロシアとの大きな外交問題の一つです。
オスマン帝国やイスラム教が及ぼした影響
アチャラは16世紀からオスマン帝国の支配を受けるようになります。それまでは他の地方と同様に、キリスト教が信仰されていたのですが、これにより住民の多くがイスラム教に改宗します。
支配といっても、アチャラはオスマン帝国への納税が免除されていたり、地域の領主によるある程度の自治が認められていました。しかし19世紀にオスマン帝国が中央政府による支配を強めようとしたことで住民が反発。反乱が起こり、ロシア帝国に庇護を求めます。
その後状況は二転三転し、アチャラはロシア側に着いたりオスマン帝国側に着いたり、第一次世界大戦後はイギリスに少しの間支配されたりなどするのですが、1921年にソ連の一部、グルジアソビエト社会主義共和国となります。
しかし、アチャラにはイスラム教を信仰する住民による自治が認められ、アチャラ自治ソビエト社会主義共和国としての地位を与えられます。
ジョージアの大部分でキリスト教が信仰されている中で、アチャラではイスラム教徒が多かったことによって他とは異なる文化や社会が形成され、自治権を与えられるまでになったということが、アチャラの歴史の大きな注目点かなと思います。
ソ連崩壊後、アチャラはロシアのバックアップもあってジョージア中央政府とは異なる独自の体制を築いていきます。中央政府に納税をしなかったり独自の軍隊を持つなど、殆ど独立国家と化していました。2004年に中央政府との軍事的緊張は高まり、一度はあわや開戦かというところまでいきました。
その後はアチャラ政府の権力者は失脚、ジョージア中央政府の支配下に入り、現在に至ります。
アチャラの山間部に今でも見られる特異性
アチャラではその後キリスト教人口は増えました。黒海沿岸では中心都市バトゥミを中心にリゾート化が進み、近代的な観光業が目立つようになっているためかつてのアチャラを感じる機会はそうないかもしれません。
しかし、アチャラの東部、山間部ではオスマン帝国に支配されていた時代のイスラム教国としてのアチャラが色濃く残されています。
西はヘルヴァチャウリ地区から東に進むにつれて、つまり山を登っていくにつれてムスリムの割合は大きくなります。特に東のフロ地区では人口の殆どがムスリムだといいます。
町や村の多くに今でもモスクが残されています。
僕がお世話になっているマラニ Khimshiashvili Cellar の畑は山間部のニガゼウリという村にあるのですが、ここにもモスクはあるし、一日五回のアザーンも流れてきます。
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アザーンを聞きながら、キリスト教と関わりが深いワイン造りのためのブドウ畑の仕事をしているのは何か不思議な感覚でした。
アチャラ地方を旅行される方がいましたら、バトゥミや黒海のビーチで過ごすのも良いのですが、山の方へ足を伸ばしてもらえるとよりアチャラを深く見てもらえるのではないかと思います。
読んで頂きありがとうございました。
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