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ジョージア人の「ヒンカリおごるよ」のお誘い。やはりヒンカリこそジョージアの食文化の中心だと感じた話

用事があってジョージア北西部の高地ラチャ地方に行っておりました。
一泊しかしなかったのですが、ラチャ地方の中心都市アンブロラウリに滞在しました。

アンブロラウリに住むジョージア人と会っていたのですが、用事が済んだ後、レストランに連れて行ってくれてご飯を奢ってもらいました。その時の誘い文句が気になったので書いていこうと思います。

"ხინკალზე დაგპატიჟებ (ヒンカルゼ ダグパティジェブ)"   
(= ヒンカリに招待するよ、ヒンカリをおごるよ)
このフレーズはその時だけでなく、そういえば良く聞いた誘い文句だなと記憶をたどりながら考えていました。


ジョージアを代表する料理「ヒンカリ」

ヒンカリはひき肉を皮で包んで茹でたもので、1, 2を争うほどジョージア料理を代表するものだと思います。いわゆる「ダンプリング」であることから小籠包や餃子が連想されますが「茹でる」点が異なります。
ジョージア東部の山岳地帯が発祥とされており、中に詰める具材の種類などで地方によってのバリエーションがあります。最近はベジタリアンに配慮したチーズやキノコ、じゃがいものヒンカリなども見られるようになっており、様々なニーズに対応できる懐の深さを備えたまさしく「国民食」といって差し支えないと思います。

2020年9月にカヘティ地方テラビで食べたヒンカリ。
店名は Bravo

ヒンカリを食べるときは、ヒンカリしか食べない

レストランで外食するときに周りのテーブルのジョージア人を見ていると、ヒンカリを食べるときは他の食事は注文しない場合がほとんどです。グループでテーブル席に座り、全員分のヒンカリを注文し、やってきたヒンカリを食べながらビールを飲む、という光景をいくつも見てきました。

前述したようにヒンカリはジョージアの国民食といえるものだと思います。しかし、これまで自分はあまりヒンカリを食べてきませんでした。ジョージアの習慣に合わせてヒンカリのみを注文すると、途中でいつも食べ飽きてしまっていたからです。

複数人で外食に行って彼らがヒンカリを注文する場合は自分も何個か食べる、ということはしていましたが、1人外食のときは決して注文することはありませんでした。

これまでは注文しても2人で10個(1人5個)のヒンカリで十分でした

今回、アンブロラウリのジョージア人にレストランに誘ってもらって、久しぶりにしっかりヒンカリを食べました。誘い文句とヒンカリでもてなすことがジョージア人の食文化の一つなのではないかと思いました。

「ヒンカリを奢るよ」がジョージア風ホスピタリティの定番なのかも

ジョージア人にレストランに連れて行ってもらい奢ってもらうとき、ヒンカリ以外の誘い文句をそういえば今まで聞いたことがありませんでした。
「オジャフリを奢るよ」とか「シュクメルリを奢るよ」とか言われた経験はこれまでなく、そこからもやはりヒンカリがジョージア人の食事の中心であり、さらにはお客さんをもてなす手段の一つでもあるのかなと思いました。

食べる個数分の注文が可能なので注文がしやすいということもあるかもしれません。

お客さんを自宅でもてなす伝統的な「スプラ」ではものすごく準備時間をかけて何種類もの食事が振る舞われるのですが、レストランで食事を奢るといったもてなしをする場合はヒンカリが定番なのかなと思いました。

久しぶりにたくさんヒンカリを食べた

そんなことを考えながらレストランのテーブルに着くと、ビールとヒンカリを2人で20個注文してくれました。餃子にはビール、のようにヒンカリにもやはりビールがすごく良く合います。

ヒンカリを普段は5,6個しか食べていなかったのでちょっと多いなと思ったのですが、それを言えるわけもなく食べ始めました。

ヒンカリには黒胡椒をかけるのが定番

食べてみると意外にも、「あっ、美味いな」と思い、余裕で食べ進めることができました。最終的に11個食べて、大満足できました。

ヒンカリの頭の部分は固いので残すのが普通。食べた個数も数えることができる。

ヒンカリには地方性やレストランによってかなり違いがあります。数多くの場所でヒンカリを食しその違いに明るい人のことを「ヒンカリスト」と呼んでいるのですが、僕もヒンカリストになるべく頑張ってみようかなと思えたもてなしでした。


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酒見莞爾 Kanji Sakemi
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