こぶしの咲く頃

去年、わたしは早朝バイトをしていた。

朝6:30~8:30までのバイトは時に朝5:00からの日もあって真っ暗な明け方4時ごろに起きて仕事へ向かっていた。

誰もいないような時間帯に起きて夜明け前、星がキラキラしている空を見上げるのが好きで2時間のバイトだし、全然苦じゃないと思っていた。

でも真面目な性格なので一生懸命取り組み過ぎたらいつの間にか毎日の疲れは溜まっていった。

それは春前。

近くの公園にあるこぶしの花がいつも本当に見事なくらい満開に咲く。

わたしは毎年それがたまらなくて絵にいっつも描いていた。

だけど去年、早朝バイトの疲れで描くよりも寝ていたり、家でぼーっと休んでいたから全然描きに行くことが出来なかった。

気付いたらこぶしの花は朽ち落ちて新緑になっていた。

その後コロナで緊急事態宣言が発令された。家にいる時間が増えたわたしはそこかしこで咲く春の訪れを絵に描いた。

お金を稼ぐことも大事だけどわたしにとっての幸せは完全にこっちだな。

そう実感したので緊急事態宣言が解除されてまもなくバイトを辞めた。

自分にとって心地よい選択をしていこう。

今年も見事なこぶしの花が咲いてくれた。

思う存分描きに行こうと思う。