2023年 岐阜市議会 6月定例会(6月21日) 一般質問 「岐阜市中央卸売市場再整備事業のPPP/PFI手法の導入について」
○可児隆 岐阜市議会議員(所属会派: 健やか緑政)
3つ目に、岐阜市中央卸売市場再整備事業へのPPP/PFI手法導入について、質問したいと思います。
岐阜市では、内閣府 民間資金等活用事業推進室の要請に基づき、平成29年3月29日に「岐阜市PPP/PFI手法導入優先的検討に関する指針」、いわゆる「PPP/PFI手法導入 優先的検討規定」を策定し、事業費の総額が10億円以上の建設、製造または改修を含む公共施設整備事業、
または単年度の事業費が1億円以上の運営等に行う公共施設整備事業についてPPP/PFI手法の導入を優先的に検討することになっており、現在、岐阜市中央卸売市場の老朽化に伴う再整備事業が、その対象として該当し、PPP/PFI手法 簡易定量評価、PPP/PFI手法 導入可能性調査、基本計画の策定を実施されたと聞いております。
さて、本市が導入の検討を進めているPFIに関する昨今の動向を見ていますと、かつて、行政改革手法の一つとして期待されたPFIですが、近年に行われた検証により、パフォーマンス面で導入根拠が少し崩れております。
PFIの先駆者であるイギリスでは、平成30年に会計検査院が公表した報告書「PFI and PF2」の中で「PFIが公的な財政に恩恵をもたらす証拠は乏しい」、「総じて公的に資金調達されたプロジェクトよりもPFIスキームは高くつく」等、PFIの導入効果が低く、従来方式の方が有利だったケースも多くあると指摘し、イギリス政府は新事業にPFI方式を適用しない方針へ転換しております。
そして、日本において会計検査院が会計検査院法 第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告「国が実施するPFI事業について」の中で同様の指摘をしており、平成30年度末まで事業を終了した29事業の内、比較できる27事業についてPFI方式と従来方式の維持管理費を比較したところ、全事業でPFI方式が従来方式の1.06~2.85倍の高額となり、PFI事業の評価にあたり、適切かつ客観的な評価に留意する必要がある旨を報告しております。
PFI方式の導入事例として、タラソ福岡、ひびきコンテナターミナル、名古屋港イタリア村の経営破綻、仙台市のスポパーク松森の天井落下事故、近江八幡医療センターのような契約解除、失敗のリスクがあり、さらに民間業者の創意工夫の名の下、雇用や労働条件の低下するリスクもあります。
このようなね、結果が出ておりますが、このような動向を踏まえますと、PFIの導入につきまして、一層慎重な検討が必要であるのではないかと考えます。
また、岐阜市中央卸売市場は、生鮮食料品等、流通における基本的インフラとして位置付けられ、本市民をはじめとした消費者に生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給する役割を担う重要な公共施設であることから、再整備手法の検討については市民にとっても重大な関心事であると私は考えております。
しかし、本件に関して情報公開請求をした市民から少し聞き取りましたが、岐阜市中央卸売市場の再整備に関するPPP/PFI手法 簡易定量評価 調書やPPP/PFI手法 導入可能性調査 報告書について、マスキング(黒塗りの部分)がもの凄く多くて、ほとんど読むところが無いような状態になっております。
Value For Money等の事業方式を選択する際に重要な部分、そして、評価するための前提条件及び評価結果、余剰地活用に関するものが非公開になっていたとのことで、とても残念に思います。
一方で、岐阜薬科大学 キャンパス整備のPPP/PFI手法 簡易定量評価 調書やPPP/PFI手法 導入可能性調査 報告書の情報公開請求については、マスキングが少なく、Value For Moneyがね、公開されております。
一方ではね、黒塗りが多く、そして、一方では白塗り、皆さんが公開できるということが少しでも少なくなればね、いいかなと思います。
繰り返しますが、中央卸市場の再整備は、市民にとって重大な関心事であると考えますことから、再整備にあたり、市民の理解を得るためには、事業方式選択の際の重要な情報について、今後公表していく必要があると考えます。
そこで、経済部長に2点、質問致します。
1点目、PFI手法について、多くのリスクが想定される中、岐阜市中央卸売市場の再整備の検討が、どのようになされてきたのか、そして、今後どのように進められる予定であるのかをお聞かせ下さい。
2点目、岐阜市中央卸売市場 再整備における事業手法の評価等について、現段階で公表していない理由をお聞かせ下さい。
以上で1回目の質問を終わります。
○議長
経済部長、大久保義彦君。
○大久保義彦 経済部長
はい、議長。
中央卸売市場の再整備に関する2点のご質問に、順次、お答えを致します。
1点目、事業手法の検討経過と今後の予定についてでございます。
本市では、施設整備に伴う、設計、建設等の整備手法について、平成29年3月に「岐阜市PPP/PFI手法導入 優先的検討に関する指針」を策定し、事業費の総額が10億円以上、単年度の事業費が1億円以上の公共施設整備事業、民間事業者の資金、経営能力及び技術的能力の活用効果が期待できる公共施設整備事業等についてPPP/PFI手法の導入可能性を優先して検討することとしております。
中央卸売市場の再整備事業も、この優先的検討に該当しますことから、令和2年度以降、基本計画の策定と並行し、民間ノウハウの活用、財政負担の軽減、設計、建設、維持管理の一体的な取り扱い、民間事業者、地元企業の参加し易さ等といった観点から、他都市の事例調査や民間事業者へのヒアリングを実施して参りました。
その結果、性能発注、設計、施工、一括発注を行うことにより、民間事業者の裁量が大きくなることで、ノウハウや固有の技術をより活かすことができるといった点や、複数年での委託による長期的な維持管理を行うことで、事業の効率化が可能となる点等が期待できることから、本市のPFI手法の導入を検討する機関である、「岐阜市PFI手法 検討委員会」への付議を得て、PPP/PFI手法の導入に向け、引き続き、検証することと致しました。
現在は、令和4年3月に策定した再整備事業 基本計画に基づき、卸売業者、仲卸業者等といった場内業者との意見交換を進めながら、施設規模や設備、整備内容の詳細等を検討し、より正確な建設費の算出にあたっているところでございます。
議員、ご案内の通り、会計検査院からPFI方式の事業評価について、適切かつ客観的な評価に留意する必要がある旨の報告がなされていることは承知をしております。
今後は、民間事業者に対し、詳細な事業内容の検討に関するヒアリングを実施し、その結果を踏まえ、各事業手法について定量、定性の両面から、より一層、綿密な評価を行い、PPP/PFI手法を導入に関するメリット、デメリットを整理した上で、外部有識者の意見も伺いながら、慎重に検討を進めて参りたいと考えております。
2点目の中央卸売市場再整備に係る事業手法の評価を公表していない理由についてでございます。
先程も申しました通り、再整備事業につきましては、現在、場内事業者と意見交換をしながら、施設の規模や必要な設備等、整備内容の詳細について検討し、より正確な建設費の算出を進めているところでございます。
そのため、不確定要素が多い現段階での公表は、今後の事業推進の支障となる可能性がございますので、差し控えをさせて頂いた次第でございます。
公表につきましては、より具体化された面積、設備等により、算出した建設費を基に、様々な事業手法の比較検証を行い、適切な時期に実施をして参りたいと考えております。