漫画の「読み方」がわからない人 結構いると思うんですよ

「漫画」への偏見

「漫画を読むと馬鹿になる」
そんな言葉を聞いたことありません?
どうしてそんなことを言われるか考えたことありますか?
私はあります

「漫画」と比較されるのは「小説」ですね
よく「読書してますか?」って問いかけありますよね
なぜか当たり前のように「ただし漫画は含まないものとする」って前提つくじゃないですか

世間一般の評価というか固定観念として、「漫画は小説より劣るもの」という偏見があると考えます

なぜ「漫画」は下に見られるのか?

後発メディアだからというのもありますが、もっと単純
漫画は「絵本」と思われているからです

子供の頃に読み聞かせられた「絵本」
「小説」の入門書と言っていい「絵本」
「漫画」は「絵本」と同類だと思われているから、「小説」より格下扱いされているのです

でも、「漫画」は「絵本」じゃないんです
この2つを同一視しちゃうのは「漫画」を知らないだけ
「漫画」を読めない人の偏見です

「絵本」とはなにか?

「絵本」は挿絵の割合が多く、文字が少ない短編「小説」です
「小説」にも挿絵はあります
「小説」の文字から伝えられる情報を視覚イメージとして表現したものが挿絵です
挿絵がなくても「小説」は理解できますが、内容をイメージをわかりやすくするために加えられた絵が挿絵です

挿絵とは?

小説で書かれた文章のイメージを描画したものです
挿絵はだいたい作者以外の人が描いています
絵本でも昔からある童話などは、後から別の作者が挿絵を加えらたものが多いです

そのため、挿絵は小説の必須要件ではありせん
「なくてもいいもの」と思われてしまいます

小説を文字だけでは理解できない子供向けのもの
自転車の補助輪のような存在
そんな偏見ゆえに、絵が多い「漫画」は「小説」を読めない子供むけの低俗なものだと偏見をもっている人がいるわけです

※絵も含めて作者が作った「絵本」もあります
こちらは表現方法として「小説」より「漫画」に近いものになります

「漫画」の絵は「挿絵」じゃない

「漫画」を理解出来ていない人が根本的に勘違いしている点
「漫画」の絵を挿絵と同じもの、もしくはその延長線上のものだと思っています

違います
漫画は絵がなくては成立しません

絵によって得られる情報と、セリフを始めとした文章が組み合わさって理解する前提の表現媒体メディアです

「漫画」の絵は連続しています
絵は静止画ですが、動きあるシーンを切り取ったものです
そのため絵でありながら動き、時間が存在します
場所と状況といった説明だけではなく、
キャラの動き、音、セリフ、感情、間、場面展開、時間経過などが表現可能です
一枚絵の挿絵とは違うのです

「漫画」を読むということ

「漫画」に慣れていない人は、絵からこのような情報を受取ることができません
そのため「よくわからない」という結論に至ります
漫画をいくつか読んでも1〜2巻でやめてしまう人は、そもそも「読めていない」のです

また、「読めてる」人であっても、受け取る情報量に差が出ます
パラパラ流し見て「ストーリー」だけを読むこともできます
いわば「あらすじ」を読んだようなものです
それだけでは漫画を味わい尽くせていません

次に、「ストーリー」に合わせて、その状況におけるキャラごとの立ち位置、心理、感情、思考に共感して、世界に没入して読んでみます
いわゆる「感情移入」と言われる読み方です
「感情移入」はどうしても主人公に重ねがちになります
そのため、主人公の行動が自分にとって気に入らないと読みたくなくなることがあります
特に「挫折回」と呼ばれる明らかに主人公が失敗する話を見ると、「もう見たくない」と感じてしまう人は多いでしょう

これを回避するためには、「俯瞰で読む」という手法になります
登場人物の誰かに自分を重ねるのではなく、全てのキャラと事象に寄り添い理解する読み方です

こういったように「読み方」にも複数の手法があり、同じ手法でも個人差による理解の違いが出ます

面白い漫画を教えて?と聞かれるけど

ぶっちゃけると、ほとんどの漫画は面白いです
「面白くない」と思うのは、読者が「読めていない」か、感性が合わないか、好みが合わないだけです

「面白くない」と断じられた漫画を「面白い」と感じる人はいます
ゆえに、「面白い漫画」なんて絶対的なものはありません

といっても「そういうこと言ってるんじゃない」と思う人もいるでしょう

もし今までどの漫画も「面白くない」と思っているのなら
誰かにオススメされた漫画を読んでも1〜2巻で読むのが面倒になってしまうのであれば、おそらく漫画が「読めていない」と思います

漫画を「読める」ようになるために
藤子・F・不二雄先生の「ドラえもん」の適当な巻を1冊だけ買って読んでみてください
「ドラえもん」は1話完結型の短編です
後に引きずる伏線もないですし、過去の話を知らなくても読むことができます
「ドラえもん」は小学生向けの雑誌に載っていた漫画です
はじめて「漫画」に触れる子供であっても楽しめるようなガイドラインが出来ています
キャラの数が少ない
キャラの役割が定まっている
キャラのデフォルメが強く喜怒哀楽が見てとれる
コマの目線誘導がスムーズ
起承転結がはっきりしている

その後「大長編ドラえもん のび太の魔界大冒険」を読んでください
短編にはない漫画表現
後でわかりカタルシスを得られる伏線
時間と場所の変化
全体的に存在する目的とテーマ
これでストーリー漫画というものがわかるはずです

この二冊を読んだら、あとははじめに誰かにオススメされていた漫画を読み返すといいです
おそらく読めるようになってるはずです
わからなかった面白さがわかるようになるはずです

たぶん

漫画を読むと馬鹿になる

「漫画」というものは、作者が作り上げた「世界」です
人がいて、事がおこり、結末を迎える
そこに作者が表現したいテーマが描かれる
読者は今まで自分が知らなかったことを体験し、他人と出会って自分とは異なる考えを知ります
影響を受けて当然です

「馬鹿になる」と言うのは親の目線です
子どもに「漫画」を読ませたら、わけのわからないことを、親が理解できないことを、教えていないことを言うようになった
「悪影響」を受けた
それを親目線では「馬鹿になる」と言うわけです
知らないことを知ってしまったことで、子供が変わってしまった
あんな可愛い私の子供が、可愛くないことを言うようになった
「馬鹿になった」と言うわけです

でも
子供目線では
それは「成長」と言います

自分が知らなかった「世界」から影響を受ける
他人を好きになる
それによって自分が変わる
それは素晴らしいことです

馬鹿なのは「漫画を読むと馬鹿になる」と言ってる人のほうです

漫画はいいものです

けして「小説」より下な存在ではありません
媒体が違うだけのこと
「小説」は小説の良さがあり
「漫画」は漫画の良さがあります

漫画はいいものです


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