蟹ッタ・デッロ・スポルト 2025 J3リーグ 第2節 テゲバジャーロ宮崎戦

テゲバジャーロ宮崎  3-1  福島ユナイテッド
5,森晃太
非常に厳しい結果となりました。前節の内容による不安が杞憂であってほしいと思ってましたが、ここまでビルドアップ、前進、フィニッシュに苦労することになるとは。宮崎は前節の奈良のような前からのハイプレスではありませんでしたが、球際はしっかり寄せる事を徹底していました。福島はそこを掻い潜る、プレスを空転させるのが持ち味なのですが、足下での「止める蹴る」の精度もおぼつかず、寄せられればパスどころかボールキープもままならず、一切持ち味を発揮できませんでした。崩しの局面も細かく繋ぐもののシュートに至る場面を作れず、高い位置でキープして押し込むという時間を作り出せない。本当に非常に厳しい船出となりました。

調整不足とでも言いましょうか、フィジカル面やフィットネス面がすこぶる悪いというのが率直な感想です。相手とのコンタクトを制するパワー、相手を剥がす一瞬のスピードやキレ、相手に奪われた時や奪い返した時のトランジション、全てにおいて遅れを取り、寄せられる度に失うか下げるか、精度を欠いたパスを出すのが精一杯。それが1人や2人ではないのが厳しいところ。無理が効かない、相手に打ち勝てないが故に攻守へのチャレンジが減り、尚更前進できずに相手にいいように狩られる展開が繰り返されました。プレシーズンの調整が上手くいかなかった部分をどう取り返すか、優勝するならもう時間は残されていません。

最大の問題はあまりにも脆すぎるセットプレー対応。放り込まれれば競り負け、セカンドボールの回収にも苦労する状況が昨シーズンから全く改善の兆候が見られません。この日もセットプレーから2失点し逆転を許しました。シンプルに競り勝てないのは前述のフィジカル面に帰結するのかもしれませんが、あからさまなウィークを放置するわけには行きません。ここはチーム一丸で早期に解決したい。

GK
吉丸絢梓 5.0
前半こそ際どい場面でのセーブを連発したものの3失点では流石に低い評価にせざるを得ない。特に勝負を決することとなった3失点目は自信のパスミスもその後の対応も厳しいものだった。セービング自体は去年よりやれているし、ハイボールへの反応も悪くないのだが…まずは結果がほしい。

DF
鈴直樹 5.5
失点後に左SBへポジションを移すと果敢な攻め上がりやクロス、ボールの持ち出しで存在感を発揮。明らかに右SBでプレーするより内容がいい。試合を通しては攻守での決定的働きが無かったが、右でプレーするより左の方がパフォーマンスがいいということを示せたのは今後への好材料となるかと。

藤谷匠 5.0
スピードを活かしたカバーリングや寄せでピンチの芽を摘む瞬間はあったものの局面の勝負で勝ちきれない場面が目に付く。ビルドアップもプレスに怯まないのは良いものの、味方と狙い目が合わない、特に攻め急ぎすぎてロストするシーンが目立つ。ビルドアップ面はもう少し時間をかける必要があるが、対人守備での寄せの甘さはすぐにでも解決したい。

山田将之 5.0
DFリーダーとして3失点は言い訳できない。3失点目の場面も相手に余裕をもってシュートを打たせる寄せの甘さも残念だった。ビルドアップ面では果敢な縦パスのチャレンジはチームの戦術として貴重なので今後も続けてほしい。

安在達弥 5.5
左SBとしては先週よりも動きに慣れが見え、良い形からのクロスも。右SBにポジションを移してからは全く別人のように変幻自在のポジショニングでビルドアップに絡んだものの有効打にはならず。守備の部分でも甘い対応が目立ったので、結果としては攻守での働きには物足りなさは残る。しかしやはり右SBとしての動きは異質で中央突破を目指す福島としては安在の働きには期待感がある。さらに連係が深まるとどのように機能していくのか、今後への期待から+0.5。

MF
針谷岳晃 6.0
持ち味の距離を問わずに急所を射抜くパスは健在。FKでは直接狙うおしい場面も。積極的にゲームメイクを担い、守備の部分でもかなり粘り強く踏ん張ってくれたが、針谷のアンカー1枚では全体の低調な内容を押し返すには至らなかった。本人のプレー内容は悪くないが、キャプテンとしてはもう少し全体を引き締める働きは期待したい。

城定幹大 4.0
副キャプテンとして、優勝を目指すチームのビルドアップの中核という自覚はあるか。フル出場とはいえ、当たり負けを繰り返し前を向けず、自慢のしなやかなタッチからの局面打開も見られなかった。裏へのパスやゴール前への走り込みも足りなければ、中盤でターンしてビルドアップから前進する事やパスを集めて展開するといった仕事も物足りない。特に今節は全くと言っていいほどボールが足に着かなかった。昨シーズンと同じポジションで同じ役割を与えられプレーしている中で昨シーズンから内容が後退しているのは看過できない問題ではないか。プレー強度が課題の選手ではあったものの、それと持ち前の左足で刺せないのはまた違う問題。去年のホーム最終戦、決定機を外して拳を握りしめて地面を叩いて悔しがった男はこんなもんじゃないはず。

狩野海晟 4.0
アンカーと共にビルドアップの生命線を担うインサイドハーフがこれだけ前も向けずキープも出来ずロストを繰り返せばこんな試合内容にもなるというもの。ボールを隠す技術やコンタクトに課題が多すぎる。フリーで前を向けたいくつかのプレーでも有効打を打てなかったのも厳しい。終盤は左WGでもプレーしたが突破のシーンなどは作れなかった。もはや何を言おうにも寄せられれば満足にパスやトラップやドリブルが出来ないし振り切るスピードが無いという課題が明確なので、まずはどう失わずに繋ぐか、相手をかわすか、そこからがスタートかと。技巧やターンなど光るものはあるし、気持ちの強さは言葉の節々から感じるのでこの苦境をなんとか打破したい。

FW
森晃太 6.0
ゴールを急襲するミドルで先制点をもたらした場面は森らしい技術と思い切りの良さが詰まっており素晴らしい。ゴール前への飛び出しも繰り返しながらビルドや崩しの局面へも何度も絡み攻撃を機能させたがもう少し高い位置での仕事に専念させたかった。同点ゴールの起点になったFKを与えたファールは要反省。守備意識が高いのはいいが頭に血が上りやすいところは改善したい。

樋口寛規 5.5
今節も前線から労を惜しまないプレスをかけ続けてくれたがシュートシーンが欲しかった。動き出しやパスワークへの連係などは質が高いものの、いかんせん単騎での打開力に欠けるのでチームが沈みがちだとそのまま埋没しやすい。3トップやインサイドハーフとのプレスの連動は改善したいが、依然として総合力をみればCFの最適解。

清水一雅 5.5
フィニッシュに絡む場面が無かったが守備意識やフィジカルを活かしながらの抜け出しの狙いなど良い場面は何度も作れた。ビルドや崩しの局面での引き出しが多いタイプではないので、持ち前の身体能力を活かした抜け出しを味方との連係を深めてチームの強力な武器へと昇華させたい。まずは中盤とのホットラインを早期に築きたい。

サブスタート組
上畑佑平士 5.5
強度の部分やビルドの部分はスタメンのインサイドハーフより頼りになった。クロスで良い場面は作れたが劣勢を押し返せず、足下でのボールコントロールでもらしくないプレーが多かった。攻守への強度面や運動量、プレーエリアの広さ、何より技術など信頼性があるのでやはり長い時間見てみたい選手。

矢島輝一 5.0
ポストプレーや気迫のプレスは流石。しかし劣勢の中で高い位置でタメを作るプレーはもっと欲しかったし、フィニッシュシーンへの関与が少なすぎる。自身がもっとシュートを打つ場面を作りたい。

吉永大志 5.0
大勢が決し相手の寄せが厳しくない時間帯の出場だったがビルドへの関与は計算が立つ。技術はあるのでチャンスメイクの部分の物足りなさを払拭したい。自信を持って前に刺せれば期待が持てる。

石井稜真 5.0
やはりルーキーとしてはゴール前での思い切り、とにかくシュート打ってやるくらいの気概がほしい。利口にプレーしすぎた。機動力、技術で「おっ」という場面を作ったり短い時間のプレーながら万能型CFといった雰囲気は漂わせているが、いまだフィニッシュは未知数。ルーキーだからこそ許されるプレーを今のうちにしておきたい。

松長根悠仁 出場時間が短い為評価なし
流石に劣勢の中で数分の出場では守備強度は安在よりあるのかもみたいなくらいしかわからないが、今シーズンは左SBでの勝負となりそう。

監督  寺田周平 4.5
2年目のスタートとして上積みを期待したものの結局ビルドアップについてはほぼほぼ再設計を強いられそうなシーズンの立ち上がり。SBの運用にも迷いが見られるなど手探りの感が強い。選手の交代についてもこの日は攻撃では個での推進力がある森と清水を早々に交代させながら攻め手を他に用意できず、さらに終盤まで動けないなど手腕も切れ味を欠く。主力の流出がある中で連係面は仕方ない部分はあるとはいえ、セットプレーの脆さを一切改善できていないのは非常に大きな問題。最低限この問題は解決して次節に臨みたい。閉塞感を打ち破るようなモチベーターとしての働きにも期待。

何度も言いますが、非常に厳しい立ち上がりかと。この日の1失点目と2失点目は守備に戻った前線の選手のファールからなんですよね。後ろがしっかり止められない、奪えない、それのしわ寄せを本来守備に強みを持つわけではない選手が負担し悪循環に陥る。それの根本的原因もフィジカル、フィットネス面で自信を持って前に出られない、捕まえにいけない、そういった要因があるのではないかと。
ビルドアップでも中央突破への固執や崩しにこだわりすぎてシュートを打てないという昨年序盤のような問題が再び頭をもたげてきました。そもそも中盤からの前進、特にインサイドハーフから3トップへの出口の整備が新たに必要である気がします。選手の組み合わせやこの中盤から前線への出口の整備が最大の課題になるのではないかと。狩野と城定が奮起してくれればあるいはというところですが……。まだ2試合ですが、見方によってはもう2試合消化しました。J3を圧倒して優勝すると言って始まり既に勝点5を失いました。非常に苦しい中ですが、ここまでの2試合で出てきた課題をどのように解消し、どのようなゲームを次節見せてくれるのか。奮起を期待します。

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