福島ユナイテッドFC 2024シーズン選手通信簿
情報、感情というものは鮮度があるので時間が経つと劣化して冷めてくるもんなんですよね。今シーズンの熱の高まりはもっと早いうちに書き残すべきだったという後悔はあります。
今シーズン、福島ユナイテッドは過去最高タイの5位フィニッシュ!18勝5分15敗64得点49失点。J2昇格プレーオフにも進出し、J2まであと2勝というところまで迫りました。松本戦の前半45分はマージで夢を見た。俺達の部長が福島をJ2へ連れて行ってくれるんだ!と。人の夢と書いて儚いとはよく言うものです。
そこそこに脆さを見せながらも最後の最後まで熱いシーズンにしてくれて感謝しか無い。最高のシーズンでした。僕は常々言ってるんですがロングカウンター信者で金も無いし出来もしないパスサッカーに福島がこだわり続けるのは「ふーん」って感じだったんですけど、今年は違った。選手もスタッフも「このサッカーで上に行くから信じ付いて来てくれ」と言い続けて、J2への扉が見える位置まで来ることが出来た(その前に立って扉に手をかけるとこまでは行けなかったにしても)。いつもは「いつまで相手のブロックの前で回してんねんさっさと放り込めやこの」と思って見てた福島のサッカーを「絶対にどこかで刺せるから揺さぶり続けろ」と思って見ることが出来た。それだけの説得力のあるフットボールを見せられたのはクラブとして大きな一歩だったと思います。
それを実現出来たのもリーグ屈指の構築力を誇る中盤3センターと強烈な打開力でビルドアップの出口として機能した両ウイングあってこそなのですが、それは2024年の話。2025年も同じ事が出来るのか、そこが焦点になってくるのだと思います。
GK
1番 吉丸 絢梓 リーグ戦36試合出場 45失点
契約更新済み。年間通してレギュラーの座を空け渡さなかった。欠場は腰の具合が悪かったらしい2試合のみ。歴代のGKの中で一番蹴れたんじゃないでしょうか。これだけボール持たせて蹴らせて、明確にやらかしたのはホーム岐阜戦の1回だけなのは足下については相当信頼できる。今年の福島のポゼッションフットボールに欠かせない選手だったのだがセービング面はもっとやれてほしいのが正直なところ。全然止められないってわけでもないし、ピンチを救ってくれた場面も何回もあるんだけど勝点を拾えるGKにはもう一言欲しいなーと思うのは贅沢でしょうか。ハイボール処理とか、レスポンスとか悪いわけじゃないんだけど、終盤戦毎試合失点してた部分はDFライン共々責任はあるはず。現状でも安西や中川相手には頭一つ抜けてる実力があるけども、まだまだもっとやれるはずなのでさらなる高みを目指してほしい。来年もレギュラーは堅そうなので慢心せず頑張ってくれ。
22番 山本 海人 リーグ戦2試合出場 4失点
契約満了で退団が決定済。今シーズンは吉丸のバックアップになってしまったものの試合に出る度にこんなに蹴れるようになったのかと驚かされた。福島に入団当初とは別人レベルでボールを持たせられるし蹴れる。39になってもまだまだ成長できるって凄いよな。僕は常々「吉丸より山本海人の方が止めると思います」と言い続けてたけどホーム鳥取戦で3失点しちゃったあたりはちょっと想定外だった。とはいえ衰えたという感じもしないし、後半戦は主将も務めて頼れるベテランであり続けた。オフ返上で体操教室とか出向いて福島県内駆けずり回ってくれて感謝しか無い。ホントにプロの鑑というべき人だった。端的に言うと山本海人って得難い存在なんですよね。クラブの底を上げてくれるというか。ただ同時にベテランがいれば勝てるかというとそういう問題でもないのが難しいところ。福島での日々の活躍には感謝しかありません。まだまだやれる人なのでいつかまたどこかで。
31番 安西 駿 出場なし
契約更新済。ベンチ入りこそあったものの出場機会は無し。中川共々吉丸や山本海人とは実力の開きがあったのは否めない。キック、セーブ、どちらもレベルアップが不可欠。地元の後押しを背に食らいついてほしい。
各種広報の場面では会津方面に顔が利くのでこういう時に地元出身は強いなと思った。やっぱり我々は「地元会津若松出身の選手が会津開催のゲームを勝利へ導く」とかそういうドラマを期待してるわけなので来年は何が何でも試合に出てほしい。頼むぞ。
39番 中川 真 出場なし
契約更新済。期待の大卒ルーキーだったものの出場ならず。ベンチ入りはしたので今後の糧にしてもらいたい。安西もそうなんだけど、練習みてても2人は吉丸に比べて止められてない、キックで違いを見せられてないという部分で中々チャンスが来なさそうなのでここは気長に頑張るしかない。セーブよりむしろキックで頭抜けてくると起用の傾向からすれば出場の芽もという気もする。ロングフィードよりCBが後ろから縦パス刺してるところを代替してGKがインサイドまでグラウンダーで刺すとかそういうレベルまでやれればあるいは。まあ勉強の1年目だったと思うので来年の活躍に期待します。
DF
2番 山田 将之 31試合出場
契約更新済。ヤマさん、頼れる男だよね。度々欠場があったけどCBとしてはなんだかんだ一番信頼できるし実力があったんじゃないでしょうか。高さ、パワー、スピード、キック、どれも申し分ありませんでした。ある程度はボールも持ち出せるしな。クリアしたり跳ね返す能力は間違いなくCBの中で一番あった。まあまあやられる場面はあったけどプレーオフ松本戦とかの前半終了間際のスーパータックルみたいなダイナミックで胸熱な守備は見てる方もボルテージが上がるし収支はとれてるのよな。ベテランになるけどセットプレーでの得点力とかもう少し欲しいのとDFラインの管理とかがそんなに得意じゃなさそうなのでそこらへんもう少し頑張ってもらいたいところ。来年もCBは熾烈な争いになりそうだけどフル稼働できるコンディションを維持して守備の柱としての活躍に期待したい。あとシーズン中に自分たちのサッカーをサポーターも信じてついてきてほしいと発信してくれたのは感謝。我々は単純なので選手に言われたらついていっちゃうので。
3番 松長根 悠仁 28試合出場 2ゴール 2アシスト
期限付き移籍期間延長済。高卒2年目にしては身体が仕上がりすぎてる。フィジカルも十分にあってそれなりに機動力もあるので強い。年間通してほぼレギュラーで右SBが主戦場だったけど終盤は左で逆足SBに挑戦。臨時でCBも難なくこなしたあたり最終ラインで一番使い勝手がいい。特に左SBやりはじめたあたりは左足でも普通に蹴れるので右と変わらないクオリティを発揮できたのも素晴らしい。クロスの質も良くなってきてるし2ゴールを挙げた得点力も魅力的。守備力という部分では綺麗にボール奪う場面もあればボロボロ抜かれまくる場面もあって安定感が欲しいところではあるんだけど、足下の技術とフィジカルを総合すれば納得のレギュラー獲得だったんじゃないでしょうか。J1川崎でやるにはもっと圧倒的な活躍が欲しいと思うので来年ベストイレブン取れるくらいやりましょう。
15番 森 璃太 8試合出場 1ゴール
柴田がシーズン絶望の重症だったので新潟から緊急レンタル。期限付き移籍期間満了で栃木SCへのレンタルが決定済。川崎のユース出身で早稲田大卒とかいう寺田&関塚の庭から来たような人事。左右どっちも出来るSBで圧巻のスピードが魅力だったけど攻守どちらも不完全燃焼気味でレギュラー定着に至らず。守備意識の低さが所々顔を出すのも気になったし、攻撃でも自分のスプリントを活かしたボールの引き出し方に物足りなさが。そもそも福島のやってるフットボールとあんまり合ってなかったのかもしれないとは思う。凄まじい速さのスプリントで無理めのロングボールに間に合ったり帰陣してボールカットしたり良い場面はそれなりにあったけど継続性とか強気に仕掛ける部分はもっと磨かなきゃいけない。特に守備はせっかく速さがあるんだから粘り強く寄せたり常にアラートにしてれば化けると思うんだけどね。福島よりもソリッドなフットボールをやるチームの方が合いそうだなという感じ。来年もJ3で会うことになるのでお手柔らかにお願いします。
24番 宝納 拓斗 出場なし
契約更新済。2年目の今年もリーグでベンチ入りは無し。今年も一発芸要員というか可愛がられ役だったし同級生の松長根や大関との仲良しぶりはほっこりしたのだが、来年ゲームに絡めないようだと今までの福島の傾向からすれば契約満了になりかねない。まだ高卒2年目とはいえ、今年の松長根ないし過去の福島隼斗とか2年目でDFラインで主力を務められるフィジカルを備えてた選手はいるので宝納自信そこは頑張らなきゃいけないところ。キックどうのこうのよりまずは守備の部分を向上させたい。来年は正念場なので一層の奮起を。
27番 野末 学 19試合出場 1アシスト
契約更新済。パリピCB。去年も今年も私服からパリピ感が溢れ出しててチャラい。後半戦は前半戦から一転して出場機会を確保できたんだけど、僕めちゃくちゃ勘違いしてて野末が試合に出れなかったのってフィジカルの問題じゃないんすよね。むしろフィジカルは結構強かった。競り合いやコンタクトも簡単には負けないし厳しい角度のボールを無理矢理折り返す体幹の強さもあったので。じゃあなんででれなかったと言えば要所での軽すぎる対人対応だったのかなと。簡単に足出したり飛びこんで抜かれるとか結構やってるし。あと蹴れるんだからもっと強気にボールも縦に刺したい。粘り強い守備と自慢のフィードをチームのチャンスメイクにどう絡めるかを突き詰めるのが来年の課題になるんじゃないすかね。プロ3年目、レギュラー奪取を期待します。
28番 鈴 直樹 33試合出場 1アシスト
契約更新済。年間通して左SBのレギュラー、終盤は右で逆足SBとしてポジションをがっちり確保。3バックの左なら最高だけどSBだとどうかなーと思ったけどめちゃくちゃ良かった。基本的に器用なんですよね。ボールを持って色々できちゃう。左で縦に持ち出していなせるしクロスもいいものあるしパスもつけられるし相手も止められる。その分終盤の右SB起用はポゼッション面での良さはあったものの左ほど脅威になれてないというか窮屈そうにプレーしてるように見えたので伸びしろかと思います。右だと持ち出せないし右足でクロスまでもっていけないんすよね。あと根本的にそんなにクイックネスとかスピードに強みがあるわけでもないし本格的に攻撃的SBにするにはまだ時間が必要かと。でもまあ左で使われ続けてたらそのままステップアップしてたんじゃないかとも思うから結果オーライ。このままポゼッション型のゲームを作れるSBを目指して行きましょう。
50番 酒井 匠 出場なし
期限付き移籍期間満了、現役引退が決定済。堂鼻の移籍に伴っての欠員補充みたいな具合に熊本から来たのだが全くベンチにも入らないまま引退となった。マジで練習ちょっとみたくらいなので、サイズはあるしまあまあ蹴れるのかなくらいでさっぱりわからないのだが急造CBの松長根にも遅れを取るのは残念だった。セカンドキャリアでも幸あらんことを。
55番 柴田 徹 10試合出場
期限付き移籍期間延長が決定済。体調不良もあったりして松長根とのポジション争いでも押され気味、8月には前十字靭帯と半月板の損傷で長期離脱と不完全燃焼のシーズンだった。昨年の期待値からすると怪我に関わらずもっとやれてほしかったというのがプレー面での率直な思い。アーリークロスは持ち味だしポゼッションスタイルにも苦労してるわけじゃないけど守備のタフさはもっと必要だし、攻撃面でもっと手数を増やして脅威になってもらいたかった。守備面の改善とか組立への関与には良い兆しが見えていた中での負傷離脱は残念だった。まずは怪我の完治を最優先に、そして今年の苦しさを全て来年にぶつけてもらいたい。自分の言葉で話す事の出来る人間だし、来年への想いの強さは十分伝わってきてる。来年こそレギュラーとしてキャプテンマークを巻く姿を期待してます。須賀川の漢ならできるはず。
MF
5番 大森 博 28試合出場
期限付き移籍期間満了、栃木SCへの期限付き移籍が決定済。後半戦はおおよそCBのレギュラーに定着。サブスタートでもアンカーに対応したり結構便利な活躍をしてくれた。堂鼻の移籍後一番成長したCBだと思うんですよね。コンタクトや競り合いにはもっと強さが欲しいけども、かなり粘り強く守れるようになったし、ボール前に持ち出してコース作ったり前に出て潰しにいったり、果敢にフィード狙ったり、やらなきゃいけないことを自覚して取り組んでくれたという印象。とはいえ継続性とか安定感が無くて、大森のトータルの評価は「やれば出来るじゃん最初からやれよ」になるんすよね。ただ、やれば出来るのがわかったのは前進なのでそれを常に発揮する事が次のステップになるのかと。そんでポジションについてもCBばっかりで使われたけどこのサイズのボランチが面白すぎたので今後はボランチで起用されてほしい。ポテンシャルの塊とはこういう選手を言うので良い方向性で成長してもらいたいもんですね。
6番 秋山 陽介 5試合出場
契約満了で退団が決定済。マージで鈴のターンオーバー要員に終始してしまった。左SBおよび右での逆足SBのポジション争いは鈴に完全に押し出されて出場は中3日での連戦かカップ戦のみ。いざ出場すれば攻守にそんなに悪いパフォーマンスでもないんだけど、悪くない程度では鈴との序列を覆せなかった。J1、J2での経験も豊富だし決してJ3で年間5試合しか出れないような選手ではないと思うし、実際能力そのものは高いのでホントにチームに合わなかったんだと思うんだけどどうなんすかね。全然まだまだ輝ける選手のはずなので新天地で頑張ってほしい。
8番 吉永 大志 18試合出場 1ゴール 1アシスト
契約更新済。吉永の基本的な効能って「ビルドアップをなんかいい感じにする」なんですよね。そんでなんかいい感じにするけど当の本人は決定的な仕事をする頻度が少ないので主軸に据えにくいという問題が横たわってると僕は思うんですよ。チーム屈指のユーティリティ性でCFとCB以外のあらゆるポジションで出場。最終的にはインサイドハーフに落ち着いたとは言え、どこで出ても運動量はあるし組立にかなり関与出来て福島のポゼッションを成り立たせるので確かに重宝はした。それでもゲームを決めにかかる、相手のゴール前に刺しに行くパスを出せたかというと物足りなさが残ったというのが率直な感想。ずっと言ってるけど吉永の課題はどれだけ縦に刺せるか、ゴールに迫れるかなのでそういう部分が18試合に出場しながら出場時間441分という結果に現れているのではないか。身体能力はさして高くないので突破や競り合いでどうのこうのするタイプじゃないとはいえ、やっぱり簡単に下げる選択を繰り返していてはレギュラー定着は遠い。運動量と身体を張れる部分は強みだしキックそのものは良いモノを持っているわけだから決定的な仕事を出来るかどうか、そこが焦点のはず。樋口に継ぐ7年目の古株である。チームの顔となるくらいの活躍を期待します。
10番 森 晃太 38試合出場 8ゴール 7アシスト
J3優秀選手賞を受賞。契約更新済。まさか福島に残るとは。数字上も活躍の中身もキャリアハイ。ベストイレブンからは漏れたとはいえ、左WGとして全試合に出場し攻撃の核としての存在感は別格だった。特に後半戦は大幅にフィニッシュ精度が向上し決定的なゴールを連発。左足の技術と精度も以前とは雲泥の差で、クロスにシュートに両足を使いこなせるようになったのでさらに脅威度が増した。最大の武器のドリブルも突破後の選択肢が増えたせいかさらに切れ味が増した印象。最大の成長はドリブルジャンキーだったところから味方を使いながら自身もボックスに侵入してフィニッシュに持ち込めるようになった部分じゃないかと。ゴール前に飛び込んでいけるようになったことでドリブラー以外のバリューも提示出来るようになったのは今後へ向けての好材料。まあアウェイFC大阪戦は左45°からの巻いたシュート決まったけど左サイドからドリブルしてのカットインシュートは相変わらず決まらなかったんでそこは変わらず来年への課題なんすけどね。それがまともに決まるようになるといよいよ異次元のアタッカーになっちゃうんですが。普通にステップアップするかと思ったけど、残ったからには来年のJ3でMVP獲得はマストの目標。このレベルのアタッカーが福島に残ってくれるのは感謝の限り。そのドリブルで福島のJ2昇格の道を切り拓いてくれると信じてます。
13番 宮崎 智彦 12試合出場 1ゴール
契約更新済。後半戦は副将も務めたものの小さな負傷も含めてなかなかコンディションが上がらず出場機会は少ないままだった。アンカーでの一本勝負だったが、出場すれば流石の戦術眼と距離を問わず正確無比なパス精度でレギュラーと遜色の無いパフォーマンスを披露してくれた。やっぱ判断の早さとキック精度は全く錆びつかないなと。38歳の大ベテランながら90分フルで走りきれるし守備もサボらないタフネスも驚異。ただ瞬間的なキレとかスピードの部分はだいぶ怪しくなってきてるし、特に背後からプレスを掛けられるとボールを隠しきれない場面が目立つようになってきてるので起用法はちょっと工夫が必要な感じもする。そんなに感情を表に出す人じゃないけども、まだまだやってやると闘志を燃やしているようなので来年に期待です。ミヤさんの技術と力が必要だし、40を目前にした選手がまだまだやってやるとギラギラする姿は必ず良い影響をもたらすはず。
14番 大関 友翔 32試合出場 8ゴール 6アシスト
J3ベストイレブンに選出。期限付き移籍期間満了に伴い川崎への復帰が決定的済。モノが違う、圧巻のパフォーマンスを若干19歳ながら見せ続けてくれた。試合を重ねるごとに、シーズンが深まるごとに、その存在感は大きくなっていった印象。左インサイドハーフのポジションをがっちり確保し、U-19日本代表での活動での欠場を除いて絶対的レギュラーとして福島のパスサッカーの中核を担ってくれました。中盤でプレスをいなしながらのターンがべらぼうに上手くてビルドからの前進の生命線となっただけでなく、推進力のあるドリブルと果敢なスルーパスで何度も決定的場面を作り出すなど大器の片鱗を感じさせる充実の内容のシーズンでしたね。本人も度々語るように3列目からゴール前に飛び込んでフィニッシュに絡む動きを精力的に続けて8ゴールとしっかり結果を残したのも大きな成長。寺田監督の求めるチャレンジし続ける姿勢を崩さずシーズン通して成長とスケールアップを続けた点やテクニカルでパスワークの中心を担うインサイドという点からして今年の福島を象徴する選手だったのではないでしょうか。プレーもさることながら喜怒哀楽の激しさも見てるこっちのハートを揺さぶるので非常に良い。めちゃくちゃデカいガッツポーズとスタンドを煽りまくるエンタメ気質が余りにも良すぎる。実際はプレーエリアは広いんだけどパワーとか相手の寄せを跳ね除ける馬力とかは物足りない部分にちょっと不安はあるんだけど、川崎側を納得させるだけの内容は示したからこそのJ1挑戦のはずなのでさらに上を目指すのみ。「あの大関ってやつは福島にいたんだぜ」と自慢させてくれる日を心待ちにしてます。
17番 針谷 岳晃 38試合出場 2ゴール 4アシスト
契約更新済。大関と揃って今年の福島のパスワークの中核を担った看板選手。優秀選手受賞はならなかったものの、福島の今季のサッカーを実現するのにあたって大関と同じくらい欠かせない存在だったと思う。長短を問わず、ゴールへの答えを導き出すスルーパスは芸術的でした。インサイドハーフで主力を務めながら終盤戦はアンカーに固定され全試合に出場。チームで一番ゲームメイクが出来る人でしたね。守備の強度不足はいかんともしがたいのだけど、インターセプトはそこそこ出来るしチャンスメイクの再現性と精度が別格。継続性もあってこのレベルの計算できるゲームメイカーがいるというのは福島としてはやりたいサッカーに対する強固な土台になるのではないかなと。ここまで凄まじいパスを何本も通せる存在は稀有なので大関が抜ける来年はさらに中心選手となるんじゃないでしょうか。序盤の酷使ぶりからすればスタミナがそんなに無いというわけじゃないんだけど後半戦は90分フル出場したゲームが無いので、願わくばもう少し稼働時間を伸ばしたいところ。ハリーが下がったあと誰がゲーム作るねんみたいな状況が何度もあったし、針谷を替えてもそんなに有効打が打てないみたいなことも多々あったので針谷がフルで仕事してる方が解決策として手っ取り早いと思うんすよね。来年も核になる選手のはずなのでベストイレブンに入るくらいの圧倒的な活躍に期待します。
30番 加藤 匠人 14試合出場
期限付き移籍期間満了、宮崎への移籍が決定済。序盤戦はレギュラーだったものの中盤戦以降はめっきり出場機会を減らしてしまった。アンカーを主戦場とする選手の中では一番縦パスを刺せるし技術も申し分なく、ミドルを果敢に狙いにいく姿勢も良かったんだけども。基本的に上手いんだけどいきなりミスが増えまくったりボールが足に着かなかったり安定感の無さが出場機会を減らした要因かと。それとアンカーとしては守備の部分で強度も足りないしリスク管理の部分や守備意識そのものも足りなかったのかなーという気がします。加藤についてもここまで試合に出られないほど能力が低いわけじゃないのでチームに合わなかったのではないかと。来年はミドル決められそうで怖いね。
38番 粟野 健翔 5試合出場
契約更新済。右WG一本勝負で全然出られずもはやこれまでかと思ったら終盤戦は右SBで出場機会を確保。WGの時と同じで基本に忠実なんすよね。オーソドックスな精力的な上下動とクロスでのチャンスメイクが光る。ボールを引き出して走り込む動きと要求が上手いのよね粟野は。守備の部分は頑張ってはいるけどサイズが無いので無理が利かないのはいかんともしがたいのだが、サボらないしコンタクトからも逃げないのは好ポイント。オーソドックスなのがむしろ強みになったシーズンではあったけどレギュラーを掴むにはやはり何か一芸が欲しいところなので来年は正念場かと。本来はサイドの選手じゃないんだろうけど今シーズンの活躍からするとWGかSBでのプレーを磨いた方が良さげっぽいね。
41番 上畑 佑平士 28試合出場 1ゴール 1アシスト
契約更新済。中盤戦まではアンカーのレギュラーだったりしたけど終盤はかなり出場機会を減らしてしまった。昨シーズンの主力がここまで出れないと思わなかったが。広域なプレーエリア、タフな守備は健在。中盤3センターをやる選手の中で一番守備が信頼できる。粘り強いボールキープとそれなりにいい具合にボールを捌いて縦に付けられる能力の高い選手なんだけど、大関と針谷が圧倒的だったので霞んでしまった感じはする。上畑も課題としてはいかに刺せるか、前に攻めにかかれるかだと思うので来年のスケールアップに期待。それはそれとして上畑はやっぱり戦術理解力が高くて、大関と針谷がいるときは黒子に徹してるけど2人がいない時はビルドアップの主導権を握るようになるので明確にプレーを使い分けてると思うんすよ。去年の輝きを見てると上畑の実力はこんなもんじゃないと思うのでもっと自分がチームを引っ張る気持ちで来年はやってほしい。5人いた21年大卒組もついに1人になってしまった。中堅としてかかる期待は大きい。
FW
7番 塩浜 遼 37試合出場 16ゴール 6アシスト
J3ベストイレブンを受賞。熊本への移籍が決定済。後半戦はゲームキャプテンも務め、右WGを主戦場にクラブレコードとなるシーズン16ゴールを叩き出しプレーでも精神面でもチームを牽引し続けた。8月と9月の負傷によるコンディション不良が無ければ得点王も十分狙えたのではなかろうか。ウイングストライカーというべきか、WGとして大外の仕事もこなしつつ中に入っても仕事もこなせる万能型のアタッカーへと成長。フィニッシュに絡むポジショニングもかなり良くなったし、自信を持って振り抜く両足の強烈なシュートは何度もニア角を打ち抜いた。これができるストライカーは強い。ドリブルやタッチで守備ブロックを前にしてもシュートコースを作り出せるところや抜ききらなくてもフィニッシュまでもっていけるのもゴール量産の要因かと。フィジカル面も相当強化されてて、相手の寄せを跳ね返してのキープだったり馬力だけで抜いていったり、170cmというサイズをものともしない競り合いの強さも見せるなどアタッカーとしてあらゆる部分がJ3レベルを超越していた。中に入ってフィニッシュして良し、外に開いてドリブルで仕掛けてチャンスメイクして良し、降りて組立に絡んで良しととにかく攻撃については何もかもこなせたので、結果も含めてJ2への個人昇格は当然の内容だったかと。来年、ウイングストライカーとしてJ2で大暴れするのを期待してます。
9番 澤上 竜二 22試合出場 2ゴール 2アシスト
契約満了、八戸への移籍が決定済。一時期はレギュラーだったりしたけど後半戦はめっきり出場機会を減らしてしまった。身体の強さやそこそこ仕掛けられる技術や左足の精度を武器にCFや右WGで起用されたけどやっぱり本質はポストワーカー。力強いポストで攻撃への貢献は大きかった。まあポストが強いと言っても潰れ役みたいな形でポストするんでプレーの連続性という部分に問題があった気はしないでもないけど。ポストワークは素晴らしいけどフィニッシュに絡む動きが足りなかったし年間2ゴールは些か寂しい。ポストという強みも矢島と被っちゃったし樋口もそこそこボール収められたしな。来年32歳なので契約満了も編成を考えれば致し方なしかと。まあ機動力も身体の強さもあるのでJ3だと欲しがるところ多そうだし実際すんなり八戸入りが決まったのでまだまだ輝けるはず。来年また会いましょう。
11番 長野 星輝 9試合出場 1ゴール
契約更新も移籍も発表されてないけどたぶん移籍するんじゃないすかね。キャリア4年目で一番苦しいシーズンだった。3トップの両翼での勝負になったもののまともに出場機会があったのは塩浜が負傷していた8月〜9月のみ。本人なりに頑張ってアジャストしてはいたけど、ポゼッション型の3トップとは相性が良くなかったたのではないか。推進力のあるドリブルと何より「俺が決める」というギラギラした攻撃性は魅力だったのだが、CFで使うには強度不足、WGでは推進力はともかくビルドへの関与やチャンスメイクで上手く機能しないので本当にチームに合わなかったという他無い。前から言ってるけど、ドリブル突破した後に強いシュートが打てないのも課題ではある。アウェイFC大阪戦では先制点を挙げたとはいえ、そこに至るまでにいくつかあったチャンスを決めきれていればまた状況は違ったとは思うけども。俺が俺がというギラギラした得点への意欲が最大の魅力だし、もう少しスタミナがあるとプレーの連続性からパワーが発揮できると思うので長野本人ももう一皮剥けたいところ。自分は得点以外のところも頑張ってるからみたいなこと言わずに結果だけを追い求める姿勢が最大の強みなのでなんとか成功してほしい。
18番 矢島 輝一 32試合出場 2ゴール 3アシスト
契約更新済。一貫してCF一本勝負。強靭なポストを武器にしっかりビルドに絡んでポストワークからアシストを記録するなど悪くない内容だったけど年間2ゴールでは加入時にエース格としての目玉補強だったことを考えると期待には程遠いと言わざるを得ない。187cmとサイズとパワーがあって競り合いも強いしポストも強いし上手いしそこからしっかりパスが出てくるので申し分無し。プレスに走れるし無理めな体勢からでもシュートに持ち込めるので理想的なCFだったんだけど結果がなんせ着いてこなかった。シュート力そのものはあるので後は精度の問題かと。ポストやりながらでもフィニッシュに飛び込める人なんで来年はビルドに絡みつつどれだけ得点を重ねられるかが課題になるかと。ハートは熱いのでもっとホームで点とって雄叫びあげるようなとこが見たいので来年頼みます。
19番 清水 一雅 33試合出場 4ゴール 1アシスト
契約更新済。大卒ルーキーの身体能力で全部なんとかするマン。雪江とかで身体能力高いFWは見てたけど清水は競り合いの強さとか馬力が異次元。打点の高さや寄せを跳ね飛ばす突進力はまさしく猛牛と呼ぶに相応しい。シーズン通して左WGのスーパーサブという位置に落ち着いたが、4ゴール中3ゴールは試合最終盤での決勝点という持ってる男ぶりも期待感を膨らませてくれた。他のアタッカー陣に比べるとテクニカルではないけども切り返してどっちの足でもシュートが打てるのも強み。シュート精度とカットインの技術を上積み出来れば来年のエース格になれるのではなかろうか。あと凄まじい滞空時間と打点の高さから放つダイナマイトヘッドはめちゃくちゃかっこいいのでヘディングでも得点を量産してくれるとなお良い。荒削りではあるけどもポテンシャルは十分にあるし来年はレギュラー定着が当面の目標かと。普通に右でも機能すると思うんだよな。天皇杯1回戦で見せたような縦に抜けた勢いそのままに右足振り抜いてパワフルショットを叩き込むような形(あれは左サイドだったけど)を右でもやれるんじゃないかしら。
20番 城定 幹大 36試合出場 4ゴール 3アシスト
契約更新済。右WGもやったりしたけど中盤戦以降はインサイドハーフが主戦場に。終盤戦は右インサイドハーフのスタメンに定着。城定の左足の技術は天才的というか、瞬間最大風速で言えば小野伸二に匹敵するくらいの技巧を発揮してると思うんすよ。左足でどんなボールもビタビタに止めるしコントロールしてからの振りも早い。瞬間的には対面の相手を出し抜くドリブルもあるし、ダイレクトプレーでも全然ボールが跳ねないしキックの精度、軌道、速さ、モノが違うという感じ。ゴール右45°でボールを持ったときの期待感も凄まじいし得点についても自分の型を作り上げられたのも大きな成長。ただ、攻守にまだまだ強度不足なのは課題だし、高度なトラップ技術は素晴らしいけど、そこから攻撃を加速させる、推進力を出す、縦に刺しにいくのがまだまだ足りないのでアタッカーとしてはさらなる成長が必須。全然コースを作れないわけじゃないので全てはフィジカル面に帰結するのかと。プレーの強度が一番の課題だと思うのでそこを強化できるかが来年のポイントかと。あんまり感情を表に出すタイプじゃないけど秘めた想いは熱い人なのであとは結果を出すのみ。
40番 樋口 寛規 27試合出場 7ゴール 3アシスト
契約更新済。うちの部長は来年いよいよ10年目なんすよ。このまま福島に骨を埋めて欲しい。負傷離脱がありながらも27試合に出場しいよいよJ3での通算出場試合数は歴代1位の272試合、キャリア通算でもリーグ戦350試合出場を達成、終盤戦はCFのスタメンに定着するなどまだまだ錆びつかない燻し銀のストライカー。今年びっくりだったのは樋口のポストワークがそこそこ上手いというとこ。空中戦はともかく地上戦なら普通に背負って収められるしそこから相手を食いつかせて前に通せるから凄い。そんでやっぱり樋口の点の取り方は上手いよね。死ぬほど上手い。裏抜けはそんなでもないけどエアポケットにフリーで入るのがべらぼうに上手いしワンタッチで流し込むシュート精度が抜群。そんで前プレの掛け方と量もFW陣で群を抜いて良い。もうベテランなんだけど点とって起点になってアシストして前から誰よりも走ってで素晴らしいとしか言いようがない。正直樋口は個での打開力がそんなに無いので毎年開幕前に試合に出られるかヒヤヒヤするんだけど、蓋を開けてみるとどんな選手よりも監督の求める働きを忠実に実行するしその中で自分の強みを出して点を取るんですよね。アジャストする力が強いというか。来年も渋い点の取り方をしてくれると期待してます。願わくば二桁得点!
監督
寺田周平
J3優秀監督賞を受賞。契約更新済。ポゼッションスタイルを一切ブレずに続け、夏の補強もほぼ行わずに現有戦力を成長させて就任1年目で福島を5位まで連れて行った手腕は称賛に値。実際に様々な方面に評価されたからこその優秀監督賞受賞なのでね。「このメンバーでもっと成長したい」と言い続けて実際にターンオーバーも駆使しながら様々な選手を戦力化して競争力を維持した点も素晴らしかった。僕は去年までの服部年宏を見てるので「生まれも育ちも神奈川の都会で25年も川崎フロンターレみたいな金の困らないクラブにいる人がいきなり福島で監督とか大丈夫なの〜?」と思ったんですけど監督としても優秀だし普通に福島を楽しんでくれてて余りにも人が良すぎる。来年は新人監督ではなくボトムハーフクラブを5位に引き上げた優秀監督という目で見られるので今季以上の頑張りと繊細な舵取りを求められるだろうけど選手だけじゃなく監督もスケールアップして優勝まで突き進んでもらいたいところ。大関や塩浜といった主力の抜けた来季は今年のポゼッションスタイル、パスサッカーをどれだけブラッシュアップできるか、真価が問われます。
レンタル組の方々
向井 颯
東海社会人リーグ刈谷FCへ期限付き移籍だったものの刈谷側からも福島側からも契約満了。刈谷でも試合に出てはいたけど絶対的な主力というわけではなさそうなので地域リーグで結果を残せてないとなると契約満了は致し方なしかと。向井の契約満了は福島の高卒採用の終焉を意味してると思ってて(宝納はまだ残ってるけど)、長野以降は高卒を全然戦力化出来てないんですよね。鎌田大夢の同期の賀澤も福島では全く育てられずに北信越リーグに流して引退させちゃいましたし、八木にしても福島に在籍した期間より地域リーグに行ってた期間の方が長いわけで。池田、鎌田、長野で気を良くした節はあると思うんすよ。興国高校の向井とかいた頃の監督がインタビュー記事で「高卒でプロに行った選手たちにはもっと大学を強く勧めるべきだった」というのは誰の事とは言ってないけどほぼ向井颯を指しての言葉だと思うんですよね。育てられる環境と余裕をクラブとして持てるようにならなければ。向井颯には悪いことしたけど、何とか次のクラブを見つけて福島を見返してほしいところ。
途中退団の方々
堂鼻 起暉
なんかそんな人もいたらしいですね。在籍時の献身には感謝します。
というわけで今年の通信簿でした。結構前半戦と被ってる内容多いけどそれだけ選手が印象に残る部分だったということで。
今年はプレーオフにまで出られたので本当に最後まで熱いシーズンでした。あと少し、その果てしなく遠いあと少しを追い求めて、夢の続きはまた来年。プレーオフで可能性があればと思ったけどやっぱ自動昇格を勝ち取りたいし優勝してJ2に行きたいっすよね。今年のフットボールはマジで面白かったし信じる事ができたからこそ、このフットボールがどこまでJ2で通用するのか見てみたいし、このフットボールがJ3で一番強かったと証明したい。正直今年の福島は幸運でした。J2経験のある永遠のライバル盛岡は最下位でJリーグを去り、J3オリジナル12で福島と同じくJ2を経験したことのない2クラブ、YSCCは入れ替え戦に成す術なく敗れJFLへ、長野も最後まで残留争いで苦しみました。一寸先は闇。一歩間違えば逆の立場になっていたかもしれない。もはやJ3がかつての牧歌的なリーグではなくなってしまったんだと感じさせられました。もしかすると来年、福島も残留争いに巻き込まれているかもしれない。そういう恐怖と来年こそは笑ってシーズンを終えているはずだという期待感。それらを抱えながら私は年を越します。
今年はプライベートで色々あったし福島ユナイテッドへの熱量が以前ほど無いなーと思いながら過ごしたシーズンだったんですよね。もう10年以上追っかけてるので熱量を保てないというのもあるんだとおもうんですけど。スタジアムにはキックオフ30分前にしか行かなくなったし、ユニフォーム以外のグッズも大して買わないし、試合に行ける日も別の予定入れたりとか。それでもJ2へ向けて闘うクラブを見てるとどんどん熱は高まるし、ゴール裏で声出しするつもりはないけどプレーオフでクラブが松本に乗り込むなら少しでも赤いユニフォームがいた方がいいだろと松本まで行ったし、まだこのクラブはこうやって熱くさせてくれるんだと思えました。もう1ヶ月半後にはまた新しいシーズンがやってきます。来シーズン、今年以上に熱いシーズンにしてください。それこそ福島市に「福島ユナイテッドJ2行っちゃったしこの際だから市の起爆剤としてスタジアム建てちゃおう!」と思わせるくらいの盛り上がりを期待してます。いつの日も地元にフットボールがあり、それをあ~だこーだ言ってられるのは幸せですからね。皆にそれを感じてもらいたい。