「三十六書伝」(みどろカキつたえ)
痛い痛いと申せば「それはそれは大層気の毒ざ」と散痛薬つけてくれる人居っても、足の裏にトゲ刺さって膿んでいること知らんのでは、一時したらまたすぐ痛むぞ。
痛めばまた薬つけて貰えばいいように思っていても、薬つける人一人も居らん時、痛とうて痛とうて我慢ならんと泣くこと、ただの道理ざ。
それで足元見よと、くどう申しておるのぞ。
足元にトゲ刺さって、悪し元になっておるのぞ。
トゲ自分で抜かねばならんぞ。
悪し元のトゲ、自分以外の手届かんぞ。
細まいトゲ見つけて抜くのは難儀なことざが、難儀した分のお陰あるぞ。
トゲ抜けた足元に、次の道(未知)出る。
壬寅、五月十三日:三十六急ぎカキ記す。