「ガンダムとナウシカとAKIRAと私」
私は小中学生の頃から、掲題の3タイトル(ガンダムは初代とZガンダムと逆襲のシャア、ナウシカは原作である漫画版、AKIRAは原作と映画両方)が変に好きだった。
もちろん小中学生だった私はそれら作品に込められた“人類の革新”とそれに纏わる葛藤や孤独感や、人類の現状に対して何かすべきか放って置くべきかという選択に対する各々の作者の思いや結論、などと言うそれら作品に共通するテーマに気づく筈も無かった。
ただ何となく緻密に創りこまれた世界観や、登場するキャラクターの台詞など込められた何かに魅了されていたように思う。
ちなみに私は当時から漫画やアニメにあまり関心を持たないタイプであったので、この3タイトル以外のビデオや漫画等はほとんど家に無かった。
さて、そんな私がちょうど20歳の頃に、掲題の作品で語られる“人類の革新”の当事者としての一歩を踏み出した訳だが、ガンダム・ナウシカ・AKIRAに影響を受けてそうなったのかと言えば、たぶんそうでは無いように思う。
たぶん、としか言えないのはガンダムのような作者の念が篭ったような作品、そのテーマが“人類の革新”といった普遍的なものなら特に人間の深層心理に直接訴えかける力がある事を今は理解しているからだ。(個人的な感覚かもしれないが、ナウシカ(宮崎駿)とAKIRA(大友克洋)よりガンダムの富野由悠季御大の作品に生々しい念を感じます。笑)
と、まあそのあたりの理屈はある程度“革新”を遂げてからでないと、詳細に説明しても理解し難いところだろうし、それについてくどくどと言葉で説明するほどバカげた事もなかろうと思うので割愛するとして、極々平凡であった私が今に至るまで“革新”を遂げる直接のきっかけとなったのは自分自身の心理的メカニズム、とりわけ心理学用語で言うところの防衛機制心理なるものに気が付いてしまったからだ。
とは言え文章を読むのも書くのも苦手な私が心理学の本など読むはずもなく、ファミコンを分解して中身の構造を知ろうとした子供時代と同じ感覚で自分自身の内部構造、とりわけ当時の私の言葉でいうところの誤魔化し機能が一体何のために何を誤魔化していたのかを19歳頃の私は丹念に精査する事に強く没頭していった。
その動機とういうのは何の事は無い、ただ未知の物事への好奇心、ただそれだけで、その結果として“革新”に至る事など想像すらしていなかった。
「なぜ?どうしてそうなる?なんのために?その不可解な誤魔化し・まやかしのメカニズムは何処から出てきたのだろう?」
一つ問いが解けるたびに発見があって、その発見がまた次の問いを生む。それがまるで昨今の海外ドラマの手法のように“やめられない止まらない”だけだったのだ。
そうして最初の一歩というべき革新に至った時、すぐさま頭に浮かんだのが先にあげた3作品だった。
ガンダムのアムロとシャアの問答は作者本人の葛藤を代弁していて「“人類の革新”を急いで推し進めねば!」と若々しい急進論的な衝動をシャアが口にすると「俺はオマエほど急いじゃいない!」とアムロが大人びた正論で返す。どちらの言う事も良く分るし、もう既に自分の中でせめぎ会っている。
長い旅路の中で世界の理を知ったナウシカは「これを人々に伝えるのは残酷だ」と思って最後に姿をくらましてしまう。ジブリ映画のウソ臭さはそういう訳か。そんな風に突き放すのは納得が行かないけど心情としては理解できる。
制御不能の混沌と化した鉄雄とアキラの無機質な理の光が混ざって宇宙になるのは、革新の第一歩を踏み出したであろう自分が見ているものとそっくり同じだ。
今まで雑多だった物事がピタっとハマる面白さや感動、実は自分の中をほじくり返し過ぎて気が狂い始めてるだけなんじゃなかろうか?全てただの事実で正常だとしても急に途轍もない事を知りえて俺は今までの日常に戻れるのか?こんな経験をするのは俺だけか?いやあの作品の作者達が居るって事は・・・
「汝自信を知れ」
誰の言葉かは知らないが、自分自身を知った先にあったのがそんな経験だった。
その言葉を残した誰か、3作品の創り手達、今の私自信、その他の古今東西の同類達、恐らくみんな口を揃えて「まずは自分自身をよりよく理解しなさい。それ以外に革新に至る道はない」と。
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蛇足:この話には少々のウソも含まれています。漫画は他にもキン肉マンが数冊あったような・・・あと革新に至る裏道というのがあるらしい。とある薬草を使うのだとか・・・もちろんそれはオススメしません!自力でやらないと楽しくないと思うので。
まあソレは置いておくとして、敢えてネタバレしないように、ふわっとした感じにしてます。好きな事なのでホントはもっと色々書きたいんですが、他人の楽しみを奪っちゃいけないなと思って。
多くの人にはキチガイの与太話かと思いますが、今現在ほんのりとでもこの事に縁のある人がたまたま読んで何かの足しになればいいな、と思ってこんな事書いてます。