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新説・魚食レポート

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魚の新しい食べ方、食べてみて新しく気づいたことなどを、なるたけ親切にレポートします。
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#日記

【新説・魚食レポvol.11】糠イワシのピチッとシート干し

脂が乗った岩手産マイワシを手にした時、僕の頭は糠でいっぱいになった。 好きな本に宮本輝さんの「にぎやかな天地」というものがある。 日本に眠る発酵食品を通し、人間を含む生物の生死、ゆっくりとした営みと醸成を描いた作品だ。 途中、本の装丁家である主人公が発酵食品の魅力に惚れ込み、糠を自宅で飼い始めるのだが、昔そこを読み猛烈に糠を飼いたくなったことを覚えている。 しかし当時の僕は出張の多い仕事で、場合により2ヶ月近く家を留守にするため糠飼いには踏ん切れなかったのだ。 時は

【新説・魚食レポvol.9】ビワマス入り赤ちゃん寿司

皆さん、お久しぶりです。 かにへーです。 光陰矢の如し。 あっちゅうまに8月目前。 私事で恐縮ながら、僕の子供もあっちゅうまに1歳となりまして。 今回は、そのときのお話です。 妻は家内イベント好きなので誕生日の2週間以上前から色々考えてまして。 お~~お~~頑張ってるな~~! と横目に思ってたんですが、ふと来週に迫ったある日、 「あなたは、何やるの?」 ほう…… そう来たか…。 魚と触れ合い、美味しい魚情報を嗅ぎまわってばかりの僕。 1歳児を何で祝うか妻任せ

【新説・魚食レポvol.5】骨切りクロシビカマスの蒲焼き風握り

とある日、出社したら知る人ぞ知る旨い魚がいた。 クロシビカマスだ。 「カマス」と名前についているものの、 クロタチカマス科の魚。 カマス科では無く分類上は名前ほどに近しい魚ではない。 石油を被ってしまったかのような、ヌメっと黒く虹色に光る皮を持つカッコ良い魚だ。 この見た目から「スミヤキ」(炭で焼いたような魚という意)とも呼ばれる。 口を開くと歯がかなり鋭い。 これで漁師の縄を噛みちぎることもあるようで、「ナワキリ」と呼ぶ地域もあるのだとか。 「煮付けにしたらうまい