【新説・魚食レポvol.11】糠イワシのピチッとシート干し
脂が乗った岩手産マイワシを手にした時、僕の頭は糠でいっぱいになった。
好きな本に宮本輝さんの「にぎやかな天地」というものがある。
日本に眠る発酵食品を通し、人間を含む生物の生死、ゆっくりとした営みと醸成を描いた作品だ。
途中、本の装丁家である主人公が発酵食品の魅力に惚れ込み、糠を自宅で飼い始めるのだが、昔そこを読み猛烈に糠を飼いたくなったことを覚えている。
しかし当時の僕は出張の多い仕事で、場合により2ヶ月近く家を留守にするため糠飼いには踏ん切れなかったのだ。
時は