例えばの話。
最後に会ったのはいつでしたっけ。
私、結婚をしました。
妊娠9ヶ月、新しい命を育てています。
仕事は変わらないけど部署だけは異動になりました。
周りの人も良い方ばかりです。
こないだ産休に入らせてもらいました。
夫は優しくて、私のことも、私の家族も大事にしてくれる人です。
くだらない話をして、
夫婦にしか通じないネタがあって、
何をするでもなく昼寝をしたりして、
そんな何をするでもない時間が穏やかに過ぎるような、そんな日々です。
たぶん幸せとはこういうことで、つまり、私は幸せです。
あの人に、あなたに、
「幸せになってね」
あの時、そう言ってもらえたからでしょうか。
今度会えるのはいつになるかわからないけれど、
「幸せだよ」
と、言えそうです。
あなたもきっと幸せなのだと思います。
もうお子さんはいますか?
素敵なパパになっているのでしょう。
「◯◯くんの奥さんになれる人は、
前世でどんだけの徳を積んだんだろう、幸せだね」
この台詞、あなた本人にも言ったんでしたっけ。
私が単に友人にこぼした言葉でしたっけ。
きっと奥さんは本当に幸せなのでしょう。
心から思って出た言葉です。
本当に好きで、
会えないけど毎日考えてて、
とにかく大事だったあの人。
先に結婚したあの人の幸せを、今も変わらず心から願っています。
そして私も今は幸せです。
前に進めました。
それなのに、ふとした瞬間に思い出すのです。
あなたが好きだと言っていた女優さん。
あなたが好きだと言っていた音楽。
目にした時、耳にした時、
胸がぎゅっとなって、思い出します。
そして、あの時、あなたが言った言葉に、自分が別の言葉を返していたら?と考えたりします。
何を話したか、こんなにも覚えているなんて。
あなたは、私が好きだと言ったものは、思い出さないでしょうけど。
そんな片思いだった、と思います。
会わなくなってからも取っていた誕生日だけの連絡。
今年のあなたの誕生日は、連絡しませんでした。
もちろん覚えていたけれど、
もう、やめたほうがいいのかなと思ったから。
あなたは必ず返してくれてたけれど、迷惑ではないかと気になったから。
私からの連絡がないことには気付きましたか?
たぶん何も気にならなかったと思います。
そんな片思いだった、と思います。
でもやっぱり私は思い出してしまいます。
時々、思い出して、
あの時のあなたの言葉の意味を考えたりします。
でも結局、正解はわからなくて、
答え合わせは今更できません。
そのこともわかっていて、最後にはいつも、あなたの幸せを願っています。
怪我や病気もなく、
あなたも、あなたの家族も健やかで幸せでありますように。
そんな風に思える人に出会えて幸せだなと思います。
例えばの話、いつかまた出会えたら、こんな話をしたりもするのかな。
そんな風に少しだけ考えたりもしますけど、
それは例えばの話。