『Outer Wilds Echoes of the eye』感想 ネタバレあり
かにです。
先日、名作アドベンチャー『OuterWilds』のDLCシナリオ『Echoes of the eye』をクリアしました。
『Outer Wilds』本編については下記の記事で触れておりますので、よければこちらからご覧ください。(ネタバレあり部分、なし部分があります)
https://note.com/kani_of_moon/n/n3f1ae9a5827c
今回は(おそらく)本編クリア者対象のDLCということもあってのっけからネタバレ全開で書いていきますので、例によって未プレイ・未クリアの方は絶対に見ないでください。
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◇ネタバレありの感想1
・好調に滑り出す序盤
深宇宙探査機?の信号は本編時点でゲットしていたのですんなりキャッチ。電波塔周りも本編プレイ時に既に下見していたので、「あ~、あそこか」とすんなり進めることができました。角度らしきものが見えていたので、その辺りの導入もスムーズでした。急に写り込んだgabbroにビビったけど。
そして日蝕を捕らえてEchoes of the eye(以下Eote)の舞台「流れ者」に到着。見たこともない超文明的技術な建造物とUFO、そして車輪型のコロニー。最初は地球人でも出てくるのかと思いましたが、探索するうちに異文明種族である彼ら(流者民と呼んでます)の肖像画を発見し、「なんかブキミな種族だなぁ」ということで恐る恐る探索を続けます。
焼けたスライドリール等、何かと不穏な気配が漂ってるなぁと思ってると起きるドゴォォォン。はい。クリアした方からすると時報みたいなもんですが初見はクソほどビビり散らかしました。ダムの決壊ですね。
水に沈む村を見ながら、OuterWildsをクリアした方はきっと直感的に思ったことでしょう。「あ、これ起きる前後で行ける場所変わったりするやつだ」と。なんというか本編の双子星のギミックや経験がここにきて謎解きのヒントになるような作り、プレイヤー自身の成長を実感させて面白いですね。
そんなこんなで何度も村を探索し、外周も色々見て回り、ついに異物を片手に焚火の前でウトウトする時がやってきました。
・暗闇に屈した中盤
「え?怖すぎ?」
正直、暗闇パート(仮想世界)は暗所恐怖症の筆者には辛すぎて心が折れかけました。というか折れました。
ネタバレ等を知らずに「ヤバいのに追われる」という情報だけチラ聞きしたので、一体どんなヤバいのが出てくるのかと震えながらプレイしておりましたが、どうにも……手がね、前に進めたがらないんですよ。
正直に告白すると、この部分で一度Eoteについてはプレイを中止しました。怖すぎるのであとは動画見て満足しよう……と。
ですが友人がせっかくなのでとプレイを引き継いでもらえたので、(データは別々でも引継ぎプレイができるのもアウワイの構造的に面白い部分ですね)今度は視聴者サイドに回ります。
あれだけの暗闇だと見ているだけではあまり分からないのですが、まぁどうやらヤバいのは灯りを消してからだということが判明。友人も友人でホラーもアクションも苦手でその上方向音痴だそうなので、なかなか苦労しておりましたが、それならということで、再度こちらがプレイを引き継いで再開することに。(恐怖緩和OPや明化MODを入れることでなんとかプレイできる程度にはなりました)
森・塔・谷の順に攻略して図書館?へ。
DLCは全体的にヒントが答えに直結しているという印象なのですが、図書館のヒントは割と直接的だったなぁと感じました。
とはいえ、燃えていたリールの完全版は衝撃でした。
特に、流れ者の建造にあたって母星の資材を使い果たした事実を見た時のあのもの悲しさたるや……
余談ですが、攻略の過程で流者民に捕まったりした際、それが頭からパックリ食われるとかではなく、まさかの「フッ」された時に不覚にもトキメいてしまいました。優しいかよ。
リールの内容等から割と「ヤバい連中なのでは」という、知らない相手に対する恐怖のようなものがあり一方的に恐れていたのですが、「フッ」から印象が一変。「恐ろしい部族」が「可愛い角ちゃん」に見えるようになりました。
(まぁ2つめのランタンの実験失敗した後に平気で3つめの実験敢行する辺りで部分的に感じるサイコさは一部Nomaiと共通ですが)
この「知らない何かに対する恐怖」は、彼らが宇宙の眼や滅亡の未来に抱いていた感情に近いのかもしれません。そういうテーマ性みたいなものがしっかりしてるのはすごいなぁと。
……とまぁ、そんな感じで彼らに対する愛着が出てきた頃に突きつけられる、彼らの運命と真実……正直辛すぎる。
Outer Wildsは感情の動かし方が本当に巧いですね。残酷なほどに。毎度コロコロ感情を揺さぶられております。
・真実に打ちのめされた終盤
ファンタジー色が強かった物語が急激にSFチックに変貌していく展開は度肝を抜かれたというか、この圧倒的展開は刺さりました。大好物です。
高度文明を持っている時点で仮想世界もVR的な何かだというのは分かっていたのですが、改めてああいう「バグ」的なものを視覚的に見せられちゃうと……ね。
そんなこんなで3つの鍵を開錠。警報器だけは少し悩みましたが、航行記録をちゃんと読んでリールを思い出せば割とすぐクリアできました。
3つの鍵をブチ開けたら中から何かが出てくるのかな、と思っていましたが、まさかの入る側。そして最奥で出会う、みんな大好き囚人君。
(これについては友人が燃えるリールの隙間から「誰か入っている?」と考察していたので、実はある程度想定していたのですが)
囚人君のメモリーを見て、彼が何故掴まっていたのかを知る。
信号の発信を再開しちゃったんだね……少しだけ。
それがバレて投獄。いや牢獄ゴツすぎるやろ。
ここで明らかになる全ての答えと、それに対する主人公の返しで泣いてしまった。この辺については後述。
・真のエンディング
こちらも詳しくは後述。
夢の世界でちょいちょい楽器が散見されてたので予感はありました。
ここで囚人君の感情が明らかになったのもよかったですね。
◇ネタバレありの感想2
これが「救い」か
本編の感想でも少し触れましたが、Outer Wildsは滅びゆく者達の物語で、同時に「救い」の物語でもあると思っています。
本編では宇宙の滅亡と新しい宇宙の創造が描かれ、絶望的な滅亡と対面してもなお仲間達との思い出や言葉に支えられながら最後を迎えるエンディングを「救い」だと感じました。
Eoteにおいても宇宙の結末は変わりません。やはり宇宙の眼から滅びを観測し、仲間と焚火を囲んだのちに新しい宇宙を創世して終わります。
ですが、Eoteのシナリオでは更に囚人君を救うことができました。クリアした方が滅び(クリア)の後にゾンビになっていたところに出たDLCらしいので、DLCの発売自体がある種救いといえるかもしれませんが。
彼が部族を裏切ってでも、一縷の望みを託して(「期待しないようにしていた」という言葉の重みがすごいです)出した宇宙の眼の信号。
それを奇跡的にNomaiがキャッチし、奇跡的なまでに行動力溢れるNomai達がそれを目指してワープ。ただし信号が出たのはその一瞬で、Nomaiの奇跡的な技術力によって宇宙の眼を(奇跡的なほどバカげた力技で)発見し、奇跡的に同じ星系で誕生した文明人が奇跡的にループ能力を手に入れ、そんな彼が奇跡的に撮影された流れ者の影を追って遂に囚人君の元へやってくる……
幾重もの奇跡の果てにやっと巡ってくる出会い。
その出会いは間違いなく囚人君にとっては衝撃であり、そして救いだったことでしょう。
なんせ、夢の世界とはいえ何万?年も収監されたままだったわけですよ。
ループ切って夢に死に入りした時のEDで「前世の記憶が曖昧になってきた」といった旨の記述がありますが、そんな無限とも思える時間が巡った後、本当の滅びが訪れる寸前に出会いを果たすわけですよ。
これがエモじゃなくて何なのか。
主人公が彼に返したのは、既に訪れていた滅びの事実、囚人君が届けた信号が誰かに届いたという事実、そしてそれを追って自分が来たという事実。
全てを受け止めた囚人君の慟哭。あの声にはどんな感情が篭っていたのでしょう。きっとここでは書ききれないほどの、沢山の思いが込められていたと思います。
あとストーリーもですが、「主人公とプレイヤーが積み重ねてきた"今までの旅の記録"を、ここにきて物語の登場人物に渡す」という驚異的なゲーム構造……凄すぎる。
一礼して先に出ていく囚人君。
囚人君が最後に入水する前に残したメモリー、そこには主人公と二人で朝日に向かって船出しているところが記録されていました。
それは、永遠の夜の世界からの脱出と、未来への希望を託したメッセージ。「未来で待っている」と言わんばかりの、最後の置手紙でした。
言葉は伝わらなくても、想いは伝わる。間違いなくあれは囚人君に対する「救い」だったと思います。
泣くよ、そんなの。
それを経て再びループする主人公。そして宇宙の眼での再会。
「思い出してもいいのか?」と控えめに尋ねる囚人君。
良いに決まってんだろ!!(即答)
流者民とNomai、そしてHearthianという三つの文明が交差し、ともに新たな宇宙を紡ぎ出す。
それは、恐怖から目を背けずに前に進んだものの特権。
(まぁ俺は屈したんですけど)
名前は最後まで分からなかったけど、彼もやっぱり仲間だった。
一緒に宇宙の眼を探した、Outer Wilds Venturesの一人だった。
もちろんSolanumも。
ED絵が変わってるのもよかったですね。
ランタン持ったデカい民族が追加されてて、一緒に焚火に混ぜて貰ってマシュマロ焼くんだろうな。
改めて、最高のゲームだった、Outer Wilds。ありがとう。