『OuterWilds』感想 ネタバレあり/なし
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かにです。先日、『OuterWilds』をクリアしました。
話題の謎解きゲームということで前々から興味はあったのですが、Steamのストアページからウィッシュリストに入れる程度で、実際に購入・プレイには至っておりませんでした。(なかなか自分からやりたいと思えるような雰囲気ではなかったので)
ただ12/1に誕生日を迎え、ウィッシュリストに入れていたものをプレゼントとして友人から贈られたので、数日後プレイしました。
――めちゃくちゃ面白かった(100点満点中120点)
もうね、とにかくびっくりしました。
予想の遥か上です。良作を期待していたら神作。
誇張抜きで、今までの人生で「プレイして良かった」と思えるゲーム部門で五指に入るかもしれません。(他はグランディアとかundertaleとか)
プレイ中何度も「このゲーム実はめちゃくちゃ面白い!?」って叫びました。
(贈ってくれた友人に画面配信しながら二人であれこれ言いながらプレイしてたので、その場で感想の共有ができて楽しかったのもあります)
これ以上の感想は何を言ってもネタバレになってしまうので、一旦ネタバレなしの感想、ありの感想でページを分けていきます。
とはいえ、正直このゲームは「予備知識を一切持たずにプレイする」のが一番面白くなるタイプのゲームです。
「まだやったことないけど、やりたい」という方はこんなページなんて見ずに、今すぐプレイしてください。さぁ早く。
◆ネタバレなしの感想
まずはネタバレなしの感想。ネタバレなしといっても多少はゲームの内容に触れています。(ストアページで見られる程度)
◇ゲームの内容について
ゲームの流れは「古代文明の謎を追いかけ、少しずつ真相に近づいていく」ストーリーとなります。ぶっちゃけこの時点でもう大好きなのですが、またそのアプローチが素晴らしい。
ゲーム内ではレベルアップ要素どころかインベントリすら存在せず、ただただ手探りで世界を冒険することになります。
OuterWildsというゲームにおけるプレイヤー最大の武器は「自分の知識」、そしてプレイヤー達の最大の目的は「知ること(知識を得ること)」です。
これだけ聞くと「知るだけが目的ってしょぼくない?」「焼いたクッキーでクッキーを増やす装置を買うようなもんじゃないか?」等と思われるかもしれませんが、ところがどっこい、それが面白いのです。
例えば多くのストーリー重視のゲームにおいて「物語の結末を見る」というのは十分な最大目的となり得るでしょうが、「結末」という「知識」のために「知識」が必要となる……と言い換えれば良いでしょうか。
(あまり自信のある表現ではないですが)
とにもかくにも、自分自身の得た知識と手がかりのみを使って大きな謎に挑戦していくゲームとなります。
どうです?そう聞けばワクワクしてきませんか?
本当に何を言ってもネタバレになるので、まだプレイしていないという方はこんな記事読んでないで今すぐプレイしてください。(二回目)
◇世界観について
舞台は宇宙。我々の住んでいる世界よりも遥かにミクロな宇宙ですが(歩いて惑星一周等も楽々できるほど)その世界では宇宙探査艇や宇宙服、信号探知機や偵察カメラ等が使われています。
遥かに進んだ文明でありながら宇宙探査艇は木造だったり、月で火を焚きマシュマロと音楽を嗜む同郷の仲間達など、SFでありながらどこかファンタジーで牧歌的な世界です。
それでいて量子力学やワープ航行等、SFらしい設定も沢山出てきますし、宇宙のどこかで見つかる古代文明の遺物は考古学のロマンに溢れています。
SFとファンタジーと考古学、その三つをギュっと凝縮して一切の違和感なく融合している、そんな世界観です。
どうです?そう聞けば気になってきませんか?
◇音楽について
最高。あまり詳しく語れることもないのですが、作品の雰囲気、そして作品の世界観自体にマッチしており、旅を大いに盛り上げてくれます。
◇それでも容易にはオススメしにくいゲーム
……とまぁ、このように絶賛はしたのですが、このOuterWildsというゲームにはいくつか、人にオススメする上で致命的な難点があります。
まず、操作の難しさ。3Dアクションゲームを慣れている人なら慣れるのにそう時間は掛からないかと思いますが、3D慣れしていないとかなりの確率で最初の段階で躓きます。
このテのゲームとしては特別難しい訳でも操作性が劣悪なわけでもないのですが、とにかく難しいです。宇宙が舞台ということもあって、360°自由に見回すことができるのですが、相応の空間把握能力が求められます。
そして3Dが苦手な人は恐らく酔います。
他にも動いている惑星との相対速度が云々、衝突速度が云々、惑星の重力圏が云々……と、特に慣性制御がそれなりにできるようになるまでは謎解きどころではありません。
探査艇の操縦や着陸もこなさなくてはならないので、操作面はとにかく難しいです。(基本は宇宙服とそう変わらないのが幸いですが)
次に、高すぎる自由度。
言ってしまえばこのゲーム、最初から全てができます。
というよりもゲーム進行によってできることが増えるゲームではないので、最初からどこにでも行けますし、何をしてもOK、という風になっています。(いちおう宇宙探査艇を飛ばせるようになってから、ですが)
基本的に手探りで謎に迫っていくのですが、あまりにも世界が広大すぎて、最初は何をしたらいいのか全く分からないと思います。
例えば筆者は3時間程プレイして初めてゲームの本質を理解しました。
逆に言えばゲームの本質(チュートリアルやオープニングで説明されるようなこと)を理解するまでに3時間かかるという、現代では考えられないほどプレイヤーに投げっぱなしのゲームです。
ですが一度引き込まれ始めると、ブラックホールの重力のように加速度的にこのゲームの面白さが理解できるようになっていきます。
このゲームを始める方、始めたばかりの方、どうか操作の難しさや序盤の意味不明さを少しだけ我慢して、探索を続けてみてください。
あなたが「調べて、紐解く」ことが好きな方だというのならば、その先で最高の体験と出会えることでしょう。
……ネタバレ無しで語れるのはこのくらいです。
「こんだけ?」と思われるかもしれません。ですが先ほど触れたように、このゲームは「知識」が最大目的となりますので、内容に関して何を言ってもゲームの面白さを損ねてしまいます。いっそ語りすぎかもしれません。
この記事を読んで興味が湧いたという方は、今すぐプレイしてください。(三回目)
以下はネタバレありの感想。
◆ネタバレありの感想
ここから先はネタバレありの感想です。「OuterWilds」をクリアした方のみが見てください。未プレイ・未クリアの方は絶対に見ないでください。
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◇ネタバレありの感想1
全体の感想。面白すぎてヤバい。
初手から語彙力が危ぶまれる感想となってしまいましたが、なんというか自分の言葉でこのゲームの魅力を半分も語れる自信がありません。そのくらい魅力たっぷりで素敵なゲームでした。
まず、「古代文明を紐解いて」「現代にも残る謎を解く」という構図、完全に筆者が好きなやつです。自作のロールプレイングゲームで「古代文明の謎を碑文やその他手がかりから集め、まとめて見ると一つの結論が浮かび上がる」という演出をやったことがあるのですが、まさにその完成形を見せつけられた感じです。感服しました。
見えているけど行けない場所にどうやって行くかを考え、試し、断念と再挑戦を繰り返した先で手に入れた知識の意味を理解し、パズルのピースとして他の情報と結ぶことで答えに近づいたと実感する時に感じるカタルシス。
他のゲームではなかなか味わうことができません。そしてそのカタルシスを何度も何度も繰り返し得られるのだからすごい。
特に筆者のテンションが上がったのは、
・「巨人の大海」の彫像工房への入り方に気付いた時
・空中都市で闇の茨に捕らえられた船の壁画を見た時
・量子イメージングを理解して「量子の月」に辿りついた時
・量子もつれを理解して量子の月の塔を動かし、宇宙の眼のマークの場所に移動した時(そして扉を開けてガッカリまでがセット)
・巨人の大海の量子の月の赤道上に壁がないことに気付いた時
・そして北極で塔に入り、宇宙の眼の月に移動して扉を開けた時
・Solanumと出会った時(あそこで鳥肌立たない人間いる?)
・探査砲の追跡モジュールを起動した時
・探査砲で宇宙の眼の座標を見た時
・船の信号を追跡する方法に気付いた時
・船で操作できるアレが座標入力装置だと気づいた時
・灰の双子星のコア内に入った時
・灰の双子星のワープコアを取り、外に出てBGMが流れ始めた時
・座標にワープしてから起きた全ての出来事
……あたりです。(殆どが量子の月のエピソードだな…)
ゲームを進める度に真相に近づき、グっと一気に近づいた時に脳汁がどばどばと溢れる感じです。小説とかノベルゲームでも謎に気付いたり答えを突きつけられた瞬間に鳥肌立つことってあるじゃないですか、アレが冗談抜きで何度もありました。(「DL6号事件を忘れるな」みたいな)
筆者はメモを取ったり状況を整理したりしながら進めていたのですが、メモの整理中に「Nomaiの灰の双子星プロジェクトがループを引き起こすためのものだった」という仮説を立てた時には背筋が凍りつきました。
その後、探査砲の追跡モジュール内で探査砲の発射が300万?以上試行されていることを知った時「探査砲は一発撃ったら壊れるはずなのに……?」と疑問に思い、それが灰の双子星プロジェクトによるループと結びついた時にはもう……ね。
その辺りはゲームをプレイしていない時に気付いたので、早くその確認がしたくてしたくて堪らなかったです。仕事に身が入らなかったほどです。
◇ネタバレありの感想2
「量子の月」という不気味で神秘的な存在や「宇宙の眼」の存在、邪悪な「闇の茨」に不穏な「侵入者」……全ての天体に役割と見どころがあり、特に「砂時計の双子星」がそのままゲームのタイムリミットを表す砂時計になっているという事に気付いた辺りは、もうこの世界が大好きでした。
だが脆い空洞、テメーはダメだ。
脆い空洞の攻略には本当に時間が掛かりました。ブラックホールに落ちるんですよね……やたらめったら。特に南部観測所に続く重力水晶の道が難しすぎて、何ならこのゲームで一番難しかったポイントは「Nomai船」でも「高エネルギー研究所」でも「侵入者のコア」でもなく、間違いなく「南部観測所へ続く道」でした。
他にも量子知識の塔への入り方が本作では考えにくいタイプの力技(?)だったり(唯一、攻略サイトをチラ見しました)と、脆い空洞にはいい思い出がありません……しかも量子知識の塔で得られる知識が状況から推測できる第六の場所の法則だという。
よく感想サイトでアンコウが怖すぎてダメ、みたいな意見は目にしますが、自分は断然脆い空洞アンチ派です。Nomaiはまずブラックホールを殻で覆え。まぁ自分の不注意が全ての原因なんですけど。
◇ネタバレありの感想3
エンディングは賛否諸説色々ありますが、とにかくエモかった。
ゲームを始めてしばらく経ち、自分の目的のようなものが見えた時「世界を救うんだな」と思っていた時もありました。
侵入者か闇のイバラのどちらかが物語の元凶でラスボスだと思い、それをなんとか排除できないかと考えた時もありました。
(星系に来たNomaiにとってはいずれも元凶・滅びの原因ではありますね。アンコウは実際ラスボスみたいなもんでしたけど)
ゲームを進めるうち、Nomaiの計画を止めれば太陽の超新星爆発を止められるのではと思った時もありました。
そして太陽の超新星爆発がNomaiの計画に関係なく自然現象として起きていたことを知った時は絶望し「宇宙の眼に行けば何とかなるのか……?」という縋るような気持ちと「これは滅亡しかないのか?」という諦めの気持ちが同時に湧いていました。
……それでも最後のワープコアを取る手は止められず、「救い」でなく「答え」を求めてNomaiの船へと向かいました。
船を経由して宇宙の眼に入り、木立の中で爆ぜゆく宇宙を見て「やっぱり宇宙はこれで終わっちゃうのか」と途方ない寂しさに包まれながら森を彷徨っていたと思ったところで見つけたロッキングチェア。
誰が座っていたっけな、と思い出そうとするうちに、すぐさまEskerが現れる。何故そこにいるのか、どうせ量子的な何かフシギ現象だなと半ば強引に納得しつつ、そこにいる理由よりもまず、そこに現れてくれたことが嬉しくなる。
宇宙の終焉を一人で見届けるのは、寂しすぎた。
そしてシグナルを追っていくうちに集う仲間達。最後の信号は誰……?聴いた事ない音色だな、等と思って天を目指すと、見つけたSolanumの仮面……正直ね、泣いた。
だって「友達と思っても悪く思わないで」って言ってくれたSolanumのことを、主人公は他のOWVの仲間達と同じように「仲間」だと認めていたってことでしょ……泣く。
そして始まる最後のセッション。エモがエモすぎて実体化してしまいそうなほどだった。何だあれは。人類はどうやったらあそこまでのエモを生み出せるのか。
宇宙の終焉の観測者として孤独に最後の時を待つのかと思いきや、どこからともなく現れてくれた仲間達。暖かい焚火の周りで音楽を奏で、マシュマロを焼き、焦がし、ゆったりと流れる時間を楽しむ。
……そんな時間を永遠に楽しんでもいい。だが、そこに未来はない。未来を築くためには、終焉の観測が必要なのだ。
最後にSolanumに諭され、未来を築くために過去を破壊する。ビッグバンの直前に皆が散り散りになるのが本当に辛かった。
それでも直前の仲間達の言葉で救われた気がする。いつか長い輪廻の先でまた会えるかな、そんな気がしたからだ。そして新しい宇宙が築かれ、新しい命がまた焚火を囲む……
とまぁ感傷的に書きましたが、みんなと終わりを迎えられたのが本当に嬉しくて、宇宙を危機から救えなくても、確かにあれは「救い」だったんだなと。そういう風に思います。
そう思えた時点で、自分は既に、OuterWildsの世界の住人になっていたのかもしれません。そうでなければ、仲間が駆けつけてくれた時にあんなに嬉しくなるはずがない。
いつか出会ったらまた結成しよう、OuterWildsVentures。
22/01/17追記
友人に勧めたらなかなか楽しんでくれたようなので自分でもアウワイへの想いにふけって攻略中のメモを掘り起こしました。せっかくなので掲載。
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最後まで侵入者やイバラの正体は分からないままでしたが、いずれもNomaiにとっては滅びの原因となる存在でしたね。許せねぇな!