Bill Evansとの対話 Vol.2を聴く
土曜日。
午前中の仕事を終えて、急いで帰宅、お昼を食べすぐ出発。世田谷は遠い。
それでもどうしてもこのライブは行っておきたいと思ったのです。
Bill Evans、自分が結構歳とってからジャズピアノに興味を持つようになって以来、当たり前のように好きですが、(クラシックピアノ出身の人はエヴァンス好きが多い、という例に漏れないんだと思います。自分、ドビュッシーを弾いて大学卒業しましたし、)聴いて衝撃を受けた、というような特別な存在でなく、ジャズの伝説の偉人という感じ。絶対に近付けない遠い存在。
そしてコンプレックスのモトでもあるのです。
何度教えて貰っても、あの美しいハーモニーが押さえられないし、枯葉の5連符のイントロはコピー譜を見てもいまだに弾けない。
(自分よりずっとい若い石井さんのお弟子さんはエヴァンスのサウンドを奏でるピアニストとして活躍されているのに…)
なんだかエヴァンスが好きだって素直に言えない。CDだって20枚以上持ってて、しょっちゅう聴いているのに。セッションでカワイイ女子ピアニストが「ビル先輩が好きなんです❤️」とか言ってるの聞くとイラッとして、当てつけのように不思議の国のアリスを弾いてしまったこともあった(その女子アマチュアピアニストさん、あっアタシの曲を!と言ってたけど 苦笑)
石井さんがEvansのナンバーを弾いているのはもちろん何度か聴いていますが、「エヴァンスみたいで凄い!」とか思って聴いたわけではなく。
エヴァンスの音楽が聴きたいというよりは、石井彰氏というピアニストがエヴァンスの音楽とどう向かい合うのか、ということに興味があるのかもしれません。石井さんのこの企画に対する意気込みは何か上記のブログのライブ(9年前!!)の頃とは違っていると感じました。前回は都合がつかず伺えませんでしたが、、
というわけで少しモヤモヤしながら予約をしておいたのですが、スタート10分前につきましたらほぼほぼ満席!ですがNさんのお隣の席が空いていたのでちゃっかり正面に近いところに座ってしまいました。
石井さんと共演されている箏奏者真由子さんもいらしてましたし、顔見知りのピアニスト様やベーシスト、ボーカリスト様も。
スタート時間を過ぎても満席のお客さんのオーダーが出きらず、その間石井さんの今回の企画に関するお話が始まりました。おおお、楽しい!自分はエヴァンスマニアではないけれど、音楽の魅力の秘密を紐解いていく言葉にも惹きつけられました。
お話の内容については、ライブに参加した人だけが味わえるもの、と思うのでここに書くのは控えます。でも、詳しくわかりやすかった。
ライブは石井さんがエヴァンスのレコードを買って初めに聴いたというCome rain come shine から。
I wist I knew 、Israel (冒頭のみ)、When I fallin' love、Midnight mood 。
セカンドはSpring is here、酒とバラの日々、Like someone in love、Someday my prince の断片、凄い仕掛けがある「コンレードコンラッド、」
For all we know 、My romance 、My foolish heart、そして最後はNardis。
もうセカンドセットが始まって80分を超えていましたが、、
自分の一番よく聴いてるエヴァンスのライブアルバム、パリコンサートの最後のように、モノローグのようなアドリブソロが続く、いつラストテーマが登場するのだろうか、とどきどきしながら聴くのでした。これぞ渾身の演奏。
アンコールはDany boy。エヴァンスはこんなに優しくは弾かない気がする。
石井さん、ビル・エヴァンスの音楽を食べて血肉にして、また音楽を新しく生まれ変わらせているのかな、と感じました。
次回は来年1月19日(日)だとのこと。伺えるとよいな。。