「漬ける」第4話「新たな味」

ご挨拶申し上げます。

この度、私の小説を手に取っていただき、誠にありがとうございます。作品には覚醒剤が登場しますが、ここで明確にお伝えしたいことがあります。この小説は決して覚醒剤を推進するものではありません。

物語の中で描かれる覚醒剤は、主人公や他のキャラクターたちが直面する様々な課題や葛藤の一部として存在しています。私の意図は、薬物の危険性やそれがもたらす影響をリアルに描写することにあります。薬物依存やその結果としての人間関係の崩壊、社会的な影響について考えるきっかけを提供できればと願っています。

読者の皆様がこの作品を通じて、薬物の問題について深く考え、理解を深めていただけることを期待しています。どうぞ、物語をお楽しみいただきながら、同時にそのメッセージにも目を向けていただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

 第四話：「新たな味」

事件後、トンコと天野の間には、以前にも増して強い絆が生まれていた。失敗した計画により、トンコは自分のやり方を見直す契機を得た。彼女は天野との対話の中で、新しいビジネスのアイデアを提案する。

「天野君、私たちの新しい道を探してみない？力ずくのビジネスじゃない、もっと心温まる仕事...例えば、ラーメン屋なんてどうだろう？」

天野はその提案に少し驚いたが、すぐにそのアイディアに魅力を感じた。「ラーメン屋...それは面白いかもしれませんね。私たちの新しい挑戦にぴったりかも。」

二人は一からラーメン屋を始めることに心を決めた。トンコの経営手腕と天野の実行力で、彼らはラーメン作りの基本から学び始め、試行錯誤を重ねる。スープのベース、麺の選定、具材の組み合わせなど、すべてが新しい学びの場だった。

一方、ダビッドソンは自身の農場での生活を続けていた。トンコと天野がラーメン屋を始めるという話を聞いても、彼は自分の道を進むことに専念していた。あの事件以来、彼らとの接点はほとんどなく、ダビッドソンは平和な農業生活を楽しんでいた。

数ヶ月後、トンコと天野のラーメン屋「パキパキラーメンシャブ家」がオープンした。店は小さいながらも、二人が注いだ情熱と努力で、地元でたちまち話題となる。注文は全てテレグラム、追加のトッピングをパケに入れて客席まで運ぶという斬新なスタイルで大繁盛。トンコは店の経営を、天野は厨房を取り仕切る。 

ラーメン屋は成功し、二人は過去のビジネスから完全に足を洗う。新たなビジネスは、彼らに安定と新たな喜びをもたらした。

この第四話では、トンコと天野が新たなラーメン屋経営に挑戦し、ダビッドソンとは別の道を選んだ。彼らの人生はそれぞれに新たな方向へと進み、ラーメン屋「パキパキラーメンシャブ家」は彼らの新しい人生の象徴となった。