命をうまくつなぐ者たち / 環境に合わせることは恥じゃない。でも逃げる準備はしておけ
「生きた化石というのは、なんで生き残ったかっていう理由がちゃんとあって、さまざまな環境の激変に強いわけで、それが生き残りの策。いろいろ教えてくれることが多いですよ。人間も窓際族っていって、生きた化石は大事です」
---アクアマリンふくしま館長 安部 義孝
動かざる者
事が起きようが起きまいが、何もしない動かないという生き方を手にして、世の中をよく見たり見なかったりしていたら、ナマケモノ(動かざる者)の隣にいたっていうお話です。
生きた化石、シーラカンスの話じゃないの?
それにナマケモノは生きた化石じゃないけど。
ナマケモノの生態を見てみると、ふむふむ納得できるエピソードばかり。
では、ざっと紹介しますね。
(シーラカンスのくだりはスルー)
〈ナマケモノの生活〉
・動かざる者と呼ばれているらしい
・食事は1日、8gくらい。
・身体についた苔とか藻も食料
・[迷信]風から栄養を摂る動物だと信じられていた。
・1枚の葉を消化するのに最大30日もかかる。
・毎日食べて満腹なのに餓死することもある。
・移動速度、通常は1分間に26cm。
・緊急事態は1分間で2m。
・排泄は命がけ。週一で、天敵のピューマやジャガーがいる地上に降りる。
・50%以上は、うんちをするときに死んじゃう(食べられちゃう)
・体で蛾や藻を育てながら共生する循環型社会を実現しているとか。
・蛾の幼虫はナマケモノのうんちが主食
・樹上でも天敵のワシに見つかったら最後
・あきらめてお腹をみせて痛くない死に方を選ぶ......と言われている。
……感想。
謙虚かっ!!
寛容と謙虚さを手に入れた種族
シーラカンスやナマケモノ、クマムシやカックンなどの生物は、目に見える変化に惑わされることもなく、目に見えない変化と共に生きてきました。
「自分は自分!」と腹を括り、見た目では判断できない激動の中で寛容と謙虚さを手放さないように小さく細かくふんばってきました。しかも低燃費に。
そう、ぼくたちは......
環境の激変を、いなす!ごまかす!はぐらかす!ついでにもみ消す!?
そうやってサボったり怠けることに命をかけ生き残りの極意に辿り着きました。
そう信じたい……泣
命をうまくつなぐ者
ここでいう「うまく繋ぐ」とは、無理をしないということ。「命をうまくつなぐ者」とは、自分の命と、隣にあるものを大切にしながら無理せずひっそりと死んでいく者たちのこと。決してまわりの環境に左右されずに自分の気持ちと、ちょっとだけ隣に合わせて生きていくことを選んだ者たちのこと。
「あぁ、いつかは死ぬんだよなぁ。とりあえず、それまでは生きていよう」
命をつなぐ者とは、そういう生きざまなんですよね。
低燃費の化石の先輩たちの生きざまを見て、幸せになりたいけどがんばりたくないぼくも、生き残りをかけて、より一層はぐらかしながら生きていこうと決意したのでした。おしまい。
✳︎写真の生き物は想像だけで描いた〈ナマケモノ〉。なんで赤くしたんだっけなぁ。きっと意味があった気がする……あ、生きざまを表したんだっけ。
おまけ
生きた化石のように環境の激変を利用する植物の生命力にも注目が集まっています。
「動けないからこそ、植物は植物独自の“社会”を築き、ここまで地球上に繁栄してきた。植物は予測し、選択し、学習し、記憶する能力をもった生物だということが、この数十年に蓄積された実験結果のおかげで、ようやく認められはじめている」。
---『植物には知性がある』より
シーラカンスの話は、読者のみなさん、自分で調べてください!